「非常用」のアイテムにはいろいろありますが、皆様ちゃんと管理できていますか? 筆者は一応、水、食料、ポータブル電源などをある程度準備しておりますが、気づいたら消費期限、寿命を迎えたりしていて、定期的な入れ替えができておりません。
そこで今回レビューするのが、「フェーズフリー」を謳う多機能ラジオ「RELAX(リラックス)」。普段利用しているものを、非常時にも役立てられるようにすることで、「日常時」と「非常時」のふたつの状態(フェーズ)をフリーにするという考え方の製品なのです!
……ということはあまり関係なく、「レトロでカーワーイーイー!」という理由でメーカー様から借用したのですが、予想以上に多機能&実用的だったので、ぜひ皆様にもその魅力をお伝えしたいと思っております。
日常時にも非常時にも役立つ7つの機能を搭載
RELAXは「1台7役」の「マルチレトロラジオ」。「FM/AM/短波ラジオ」、「懐中電灯」、災害時や緊急時に大きな音と光を出す「緊急アラーム」、手回し充電・ソーラー充電・USB入出力に対応する「モバイルバッテリー」、USBメモリー・microSDカードから読み込める「MP3プレーヤー」、「時計」、BluetoothとAUX接続軽油で利用可能な「スピーカー」機能がギュッと凝縮されています。



本体サイズは約128×98×57mm、重量は約395g。内部には8W、4Ωのスピーカー、短波:7~16MHz/FM:76~108MHz/AM:522~1620MHzのラジオチューナー、120ルーメンのLEDライト、ソーラーパネル、手回し充電用ハンドル、2000mAhのリチウムイオンバッテリーなどが内蔵。またスマホやパソコンなどと接続するためのBluetooth機能(バージョン5.0)が搭載されています。
充電方法はUSB、手回し、ソーラーの3種類。メインはUSB充電で、緊急時用に手回し充電が利用でき、サポート用としてソーラー充電が用意されています。充電時間はUSB充電で約3~4時間。約1分の手回し充電では懐中電灯を約30分間、ラジオを約5分間使用可能。またソーラー充電は「平均的に日光が当たっている場合」で、約70時間で充電が完了するとのこと。正直ソーラー充電は気が長い話だなーと思いましたが、手回し充電は回す時間よりも長く、懐中電灯とラジオを利用できるわけなので十分実用的ですね。
Bluetooth接続時の動作時間は最大ボリュームで約3.5時間、75%のボリュームで約5時間。ラジオ使用時の動作時間は約20時間とされています。






ちいさいボディに詰め込まれた
RELAXの7つの機能を試してみた
まずは気になるサポート用の充電性能を試してみました。10月下旬の快晴の日、試しに9時から1時間ほどソーラーパネルを太陽に向けて放置しましたが、懐中電灯、ラジオともに動作しませんでした。フル充電には約70時間かかるということなので、もっと強い日差し、またはしっかり時間をかけなければ、充電できないようですね。



一方、緊急用の手回し充電では、1分で懐中電灯、ラジオを使用できることを確認しました。ただし同じ状態でBluetooth接続を試してみたら、すぐに「ローバッテリー」の警告音声が鳴りました。MP3データの再生もスタートしません。バッテリーが極端に少ないときでも、懐中電灯やラジオは使えますが、Bluetooth接続、MP3データの再生機能は利用できないようです。

スマホなどを充電できるモバイルバッテリー機能については、問題なし。ただし、RELAXのバッテリー容量は2000mAhなので、たとえばバッテリー容量が4422mAhの「iPhone 15 Pro Max」は、1回の充電ではフルチャージできません。充電時の内部損失を考慮すると、フルチャージのためには3回以上の充電が必要となります。とは言え電源を確保できない場所でも手回し&ソーラー充電でスマホを充電可能なのですから、緊急時には重宝しますね。

ラジオとしてはやや微妙。というのもアンテナが本体に内蔵されているのはよいのですが、感度があまりよろしくなく、周波数スケールの調整がシビアなんです。さいたま市の筆者の自宅ではいくつかのラジオ局はわずかにノイズが入るぐらいの音質で聴くことができましたが、やはり外付けアンテナを搭載してほしかったなーというのが率直な感想です。普段はRELAXに接続したスマホから「radiko」を再生して、非常時に本製品のラジオ機能を利用する……という使い方がよいかもしれませんね。

時計、アラームは搭載されていて嬉しい機能ではあるのですが、ちょっと設定方法が複雑。ちなみに説明書では7つのステップで解説されています。毎朝の目覚ましとして利用するならよいですが、日によって起きる時間が違うのなら、素直にスマホのアラーム機能を利用しましょう。

災害時や緊急時に大きな音と光を出す「緊急アラーム」は底部スイッチを「SOS」にセットするだけで利用可能。緊急時にもすぐにオンできますね。ただ本体のスピーカーを使用しているので、音はそれほど大きくはありません。安全に直接関わるので、防犯ブザーや緊急ホイッスルなどと併用することをお勧めいたします。

懐中電灯としては120ルーメンということで一般的な用途であれば十分な明るさです。消費電力を節約できるように明るさを調整する機能がほしかったところですが、シンプルな使い勝手を重視してあえて機能を絞った作りにしたのだと思われます。

MP3プレーヤーとしては非常にシンプルな作り。MP3データを保存したmicroSDメモリーカードまたはUSBメモリーを装着すると、自動的に音楽が再生されます。ディスプレーには曲番号が表示され、ボタン操作で曲戻し、曲送り、再生/一時停止が可能。MP3の対応フォーマットについての仕様は不明ですが、今回試したかぎりでは192kbpsのファイルは再生できました。

Bluetooth接続スピーカーとしての使い勝手も明快。バンドスイッチを「BT」に合わせれば、スマホからBluetooth経由で接続可能です。
音質はかなり低音寄り。メタル系の曲を再生すると、バイブレーションモーターでも搭載しているのではと思うほどの振動が手に伝わってきます。筆者は低音大好きなので、RELAXの音は非常に好みです。
小さなボディーながら音圧もなかなか大きいのですが、最大ボリュームだと音によってはビビリ音が気になりました。80%ぐらいのボリュームでも十分大音量なので、曲によって調整すれば問題ないと思われます。



YouTube Studioのオーディオライブラリーから取得したBGM「Take You Home Tonight」を再生しているところを動画で撮影しました。音質の参考用にお聴きください
見えるところに置いておきたくなる
インテリアにもかわいいボディー
恒例の主観的評価は、エモ度が100点満点中95点、レトロ度が100点満点中95点です。RELAXはとにかくデザインが秀逸。見えるところに置きたくなるかわいいボディーは、眺めていると遠く過ぎ去った昭和を思い出します。今回借用したミントグリーンは、キッチンの片隅に置くと映えるんじゃないでしょうか?
見た目もさることながら、アナログ的操作で選局するRELAXはレトロ度も高得点。ラジオを素早く局合わせするため、あえて目印のシールを貼れば、さらにレトロ度が増しますよ!
レビューパートではやや辛口のコメントをしてしまいましたが、RELAXの7つの機能は実用レベルをクリアしています。ボディーの質感は高く、日本語説明書も丁寧。かわいい姿に惹かれたのなら、買って後悔のないマルチレトロラジオです。
■関連サイト
この記事を書いた人──ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始した。