ポルシェ/パナメーラ4 Eハイブリッド プラチナエディション(価格:1739万円/試乗・撮影車両は2039万5000円)

 ポルシェを愛してやまない現役アイドルが、ついにポルシェを公道で走らせる日が来てしまいました。ハンドルを握るマシンは、システム最高出力462PS(340kW)、システム最大トルク700N・m(71.4kgf・m)、試乗車価格2000万円弱の高級サルーン「パナメーラ 4 Eハイブリッド」。

果たして無事に帰ってくることはできるのでしょうか……。


◆ポルシェ沼にハマったら戻ってこられない!

エコもスポーツも優秀な「パナメーラ 4 E-Hybrid」で体感するポルシェの進化と真価
ポルシェ
ゆみちぃ部長とポルシェのBEV「タイカン」

 人間知らない方が幸せなことは多々あります。ASCII.jp自動車部のゆみちぃ部長こと、純情なアイドルの寺坂ユミさんにとって、ポルシェはまさにそれでした。その出会いから今までの足跡については、彼女がタイカンで富士スピードウェイをパレードランした記事をご参照頂ければと思います(史上初づくし!? アイドルがポルシェ・タイカンで富士スピードウェイを爆走)。


 こうしてポルシェに対する憧れは深まるばかり。「(SUVの)マカンが欲しい! でもカイエンも捨てがたい!」と大きな2つの夢で胸が膨らみます。当然「試乗してみたい」という話になるわけですが、マカンはGTSグレードを部員Sがすでに記事化しているので(助手席や後部座席は乗っています)再度の記事化は要検討です(一番売れているポルシェ、SUVの「マカン」はSUV嫌いも虜にする!)。


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新型カイエン

 じゃぁカイエンは? というと来年新型が出るので、それまでおあずけ。一方、代表モデルの911はというと、憧れはあるけれど4名乗車は厳しそうであったり、荷物が載らないとかあったりして、ゆみちぃ部長的にはあまり選択肢には入らない様子。


 そこで今回は「ちゃんと4人乗れる」「荷物もいっぱい載せられる」大型サルーンのパナメーラになりました。車高は違いますが、カイエンと同じような大きさですから、きっとご満足いただけるハズ!


◆日常使いできるポルシェ、それがパナメーラ

 パナメーラが登場したのは2009年のこと。同社初の5ドア・ファストバックセダンとして産声をあげました。同社としては「日常生活での使い勝手を考慮した4人乗りのスポーツカー」という位置づけ。実にワガママなクルマだったりします。

それゆえ、結構街で見かけるように思います。


 現行モデルである971型は2016年に誕生。ボディーサイズはほぼ変わらず、パワーユニットを一新。最上位モデルのパナメーラ ターボが、ニュルブルクリンク北コースで911(997型) GT3のアタックタイム7分40秒を2秒上回ったことで話題を集めました。「最新のポルシェは最良のポルシェ」という格言がありますが、パナメーラもそれにならったといえるでしょう。


 翌年にはシューティングブレイクという、ステーションワゴンタイプのボディーもラインアップ。

一層、魅力あるシリーズとなりました。そして、2020年にマイナーチェンジがありました。高性能モデルの「ターボS」、ハイブリッドに「4S Eハイブリッド」がラインアップに加わり今に至ります。


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ポルシェ
ポルシェ/パナメーラ 4 Eハイブリッド プラチナエディション(価格:1739万円/試乗・撮影車両は2039万5000円)

 現行パナメーラはファストバックタイプ、シューティングブレイクそれぞれに、パワートレインとしてガソリンエンジンとプラグインハイブリッドモデルの2種類を用意。さらにそれぞれ、出力違いのエンジンを3種類用意します。


 心情的にはガソリンエンジンにトキメキを覚えるものの、プラグインハイブリッドモデルの方が高出力で低燃費。

さらに新車登録時に減税などの優遇も受けられます。それにプラグインハイブリッドなら、街乗りは電気、長距離を走る時はガソリン、という使い分けが可能。昨今はガソリン代が高騰しているので、駐車場に充電設備があるなら(もしくは近くに充電設備があるのなら)、2023年現在においてプラグインハイブリッドが自動車購入の最適解だと筆者は思います。


 今回試乗する「ポルシェ・パナメーラ4 Eハイブリッド プラチナエディション」は、3種類ラインアップされているパナメーラのハイブリッドモデルのエントリーグレード「パナメーラ4 Eハイブリッド(1584万円)」の豪華装備版。エントリーとはいえ、価格とパフォーマンスは立派にポルシェであるのは冒頭に書いた通り。


 ちなみに最上位の「パナメーラ ターボS Eハイブリッド」はシステム最高出力700PSで3094万円、真ん中の「パナメーラ4S Eハイブリッド」は560PSの1935万円で、いずれもSUPER GTマシンよりも高出力。

「そんなクルマ、日本で必要なのか?」と常日頃思うのですが、街中で時折見かけるんですよね。購入層が気になります。


◆人がゆったり乗れるぶん、ボディーはかなり大きい

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全幅1937mm、全高1423mm
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全長5049mm、全高1423mm、ホイールベース2950mm
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リアビュー

 ボディーサイズは全長5049mm、全幅1937mm、全高1423mm、ホイールベース2950mm。全幅、全高、ホイールベースはタイカンと同等ですが、全長は80mmほど長かったりします。車両手配係の部員Kが運転すると、「ちょっと大きいなぁ」というのが正直な感想。感覚的に都内の幹線道路では車線幅いっぱいという印象ですし、特に困るのが車庫入れ。最小回転半径が大きめので、ボディー全長が5mであることから、コインパーキングによっては、かなり苦労します。


 試乗車には4WSになるオプションのリアアクスルステアリングが装着されていたのですが、それでも「思ったより曲がらない……」となったりするので、マストなオプションと言えそう。ちなみに価格は29万7000円。


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都内のコインパーキングに停めようとしたところ(左側)
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都内のコインパーキングに停めようとしたところ(右側)

 コインパーキングついでにお話をすると、車幅に対して車庫枠が狭いということが多々ありました。実際、部員Sからも「入らないから別の駐車場を探します」という内容の連絡が来たくらい。さらに跳ね上げ式のロック板だったりすると、ホイールをガリるんじゃないかとヒヤヒヤ。


 「そんなデカいクルマに乗る方が悪い」という意見もありますが、部員Kは「イマドキ、車幅1.9mの輸入車は当たり前。だいたい都内は輸入車が多いのだから、それに合わせて車庫枠を設定するべき」と思うのです。それに跳ね上げ式のロック板、心臓によくありません。


 さらに困るのがタイヤ止め。この話はスポーツカーあるあるなのですが、道路交通法によると、クルマの最低地上高は9cm以上と定められているにもかかわらず、多くのタイヤ止めの高さは12cmくらいあるため、普通車のようにタイヤ止めまで後退すると、バンパーに傷がついてしまうのです。よって車庫枠をはみ出して前に止めざるをえない状況に……。


 パナメーラを見たゆみちぃ部長は、テンション爆上がり! と思いきや、いたって冷静。むしろ「こんなに大きいんですか?」と不安な表情を浮かべます。そして「これって……セダンですよね」というではありませんか。そうです。ゆみちぃ部長は、セダンがお好きでないのです。でもタイカンはカッコイイと言っていたのに……なぜ? というと、これは別の記事でも記載しましたが、これは色によるところが大きいものと推測(セダン冬の時代が到来中に「スカイライン 400R」をアイドルとおじさんが乗り比べ!)。


 今回のパナメーラは「アベンチュリン グリーンメタリック」という、かなり渋めの色。きっと単純な白とか赤なら話は違ったのでしょう。この傾向は、ゆみちぃ部長に限らず、ほかの若年モデルさんでも同様で、広報車の色が悪いとクルマがどんなによくてもネガティブな評価になりがちだったりします。


◆ハイブリッドの走行モードも豊富に用意

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ボンネットを開けてパワーユニットを見る
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2.9LのV6エンジン
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断熱シート

 フロントに置かれたパワーユニットは、最高出力330PSの2.9L V6 DOHC 24バルブ ツインターボエンジンに136PSの交流モーターという組み合わせ。エンジンそのものはカバーされており、姿を見ることはできません。すごみを感じさせるのはコクピットとエンジンの間に貼られた断熱材の量! 「なんだコレ?」と驚く部員たち。システム最高出力462PSという数字に、ゆみちぃ部長は恐れをなします。ちなみにトルクベクタリングの四輪駆動なのですが、そのトルク配分は後輪寄りにセッティングされているようです。


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走行モードは4種類
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センターに置かれたディスプレイでも設定可能

 パナメーラの走行モードはE-Power、Hybrid、Sport、Sport PlusとIndividualの5つ。


 E-Powerは、その名の通り17.9kWhのリチウムイオンバッテリーがカラッポになる最長56kmまでモーターを主に走行するモード。これが少しクセモノで、車両の電源を入れた時は、E-Powerモードで動き出します。自宅で充電でき、通勤や近距離など日常的にクルマを使われる方には良いのですが、充電環境がなかったりすると「おぉ! 静かなクルマだな」と喜んでいるうちに電池がなくなってしまいます。


 ちなみにアクセルペダルに対する踏力が一定の値を超えるか、バッテリーの充電レベルが最低値を下回ると、パナメーラは「Hybrid」モードに切り替わります。


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ハイブリッドモードの中には3種類のモードがある

 Hybridモードの中には「Hybrid Auto」「E-Hold」「E-Charge」の3モードがあります。E-Holdは現在のバッテリー残量を減らさずキープするモード。バッテリーを残しておいて、夜中の住宅街を走るときに電動で走るなんてことができます。


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下側の黄緑色が充電量

 E-Chargeはエンジンを発電機としても使うモード。信号待ちの状態でもエンジンが動き充電し続けます。充電中は当然燃費が悪くなり、都内でリッター4kmくらいに。ガソリン消費もですが、気になるのがジェネレーターの音とステアリングに伝わる微振動。充電量などによりその程度は異なるのですが、空っぽに近いと結構音がします。ちなみに充電は8割ほどで止まり、その時モーターだけの走行は40kmと表示されます。


 通常はHybrid Autoモードで走行。ポルシェ・ジャパンのウェブサイトによると「地形データとナビゲーションを用いてエネルギーを節約」というから驚きます。ちなみにハイブリッド走行をし続けると、当然電池は空っぽになり、ジェネレーターが常時動く状況になります。ただ、車両停止時はエンジンもストップするようで、E-Chargeほど気にはなりません。


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充電は200Vのみ。いわゆる急速充電には対応していない

 充電は200Vのみで、いわゆる急速充電は非対応。「急速充電できないの?」と驚かれると思いますが、欧州車のPHEVのほとんどはこの仕様で、かつ先にモーターの電力を使おうとします。よって自宅で充電できない人は、このクルマを購入した場合、ハイブリッドらしいパワーは得られても、その恩恵である燃費の良さは得づらい状況になります。逆に充電できる環境なら、このクルマはとてもよい選択肢となるわけです。


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車高は3段階に調整可能

 Sportにするとエンジン主体で走行します。排気音も図太く、サスも硬めとなりテンションが上がります。Sports Plusになれば、車高も下がりサスも硬め、変速タイミングもさらに上まで回すようになるようです。そしてステアリングホイールに設けられているポルシェ・スポーツレスポンスボタンを押せば20秒間パワー全開! まぁ、一般道で使うことはないでしょうが、気分はアガりますね。


◆後席のゆったり感と上質さはさすが大型サルーン!

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スポイラーが上がった状態
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スポイラーを格納した状態

 気分がアガるといえば、リアのバックドアに電動スポイラーが取り付けられていました。車両メニューから操作が可能なのですが、ルームミラーから動いているかどうかは分からず。動いていると信じましょう。


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バックドアを開けた様子
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バックドアの開口の様子
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バックドアを開けた状態
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荷室の奥行きはとても深い
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後席を倒した状態

 荷室は奥行があり広々。この広さにはゆみちぃ部長も大満足。高さは仕方ないかなというところでしょう。感心したのは12Vのアクセサリーソケットを備えている点と、プライバシーシェードがロールスクリーン状でカンタンに取り外しできるところ。これが板状のパネルですと、どこに保管するんだ? となってしまうわけです。これはほかのクルマも同じ。ぜひロールスクリーンにしていただきたいところです。


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後席に座るゆみちぃ部長
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後席シート
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後席側サンルーフ

 続いて後席。「このクルマ、5人乗りですよね?」というのがファーストインプレッション。というのも、中央は子供なら乗れますが、大人は無理っぽいから。部長は窮屈さを感じなかったとのことですが、大柄の男性が乗るとちょっとタイトな印象。「シートの下に足が入らないから、そう感じるんでしょうね」と、後席部長は分析されていました。


 インテリアはさすが1000万円超のクルマだけあります! 「この質感とかすごくイイですね」と大絶賛です。ちなみにこちらはレザーインテリア ブラック、スムーズレザーという仕様で59万3000円。「え? お金かかるんですか?」と、部長は大きな目をして驚きを表します。天井にはサンルーフがついており、解放感満点。しかも運転席側と後席側で独立しているので、運転の邪魔にはなりません。


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後席ドア内貼り
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サイドシルは高め

 乗降性ですが、残念ながらそれほど良くはなく、背が高い人、またお年寄りに辛いかも。というのも、ドアは45度くらいまでしか開かないですし、サイドシルが高く、しかも幅広だから、けっこう跨がないとダメなのです。また、お年寄りは先に腰を下ろしてから足を車内に入れるのですが、シートのサイドサポートが高めなので、乗降は少し辛いかもしれません。


◆スマホの充電もドリンクホルダーもあり快適に車内を過ごせる

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エアコン等の調整機構。シートヒーターも用意する
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USB端子はTYPE-Cを2系統用意
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スマホを置いたところ
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幅広い端末では浮いてしまう

 アメニティをみると、エアコン送風口が中央のほかBピラーにも用意。ただ、風量を強くすると結構耳障りな音がします。シートヒーターが用意されているのはうれしいですね。USBはType-Cが2系統用意され、スマホトレイも完備されています。が、iPhoneのPro MAXシリーズのような大きな端末だと、幅が狭くて納まりが悪いようです。


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運転席室内
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シート
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ドア内張
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ドアリモコンまわり
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パナメーラの室内
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高級車の証であるダッシュボード上の時計
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シフトまわり

 運転席もチェック。「こっちは広くてイイですね」とのこと。「センターコンソールの幅がすごいですね」というように、本当に幅広で驚きます。「ダッシュボードに時計があるのが高級車らしくてイイです。コクピット感が強くてスポーツカーらしさ満点ですね」とニンマリです。


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USB端子はアームレストの中にある

 ASCII.jp的にはUSB周り、スマホトレイが気になるところ。これらはすべてアームレストの中にあります。どうやらワイヤレス充電には対応していないようですが、USB-Cが1系統ありケーブルを収めた状態で充電できます。


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ステアリングホイール
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メーターパネル内
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ナビを表示させた様子
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スマホライクなメニュー画面

 インフォテインメントシステムはスマホライクで、ナビはメーターパネル内でも表示可能。ですが、拡大縮小はメインモニターともにちょっとやり辛く、特に高速道路の分岐は分かりづらかったことを正直に申し上げます。目的地入力は音声認識にも対応。その認識率は良好ですが、検索結果が出るまでちょっと時間がかかりました。


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Apple CarPlayを起動した様子
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音楽を再生したところ
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ワイヤレスApple CarPlayには対応していない模様

 スマホ接続はApple CarPlayで試してみたところ、アッサリとつながって問題ナシ。ただワイヤレス接続には対応していないようです。


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BOSEのサウンドシステムを搭載
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音質設定画面

 カーオーディオシステムは、BOSEのシステムが搭載されていました。中低音に重きを置いたバランスで、柔らかな語り口はあまり音楽を選ばず、そして聞き疲れしづらいように感じました。ちなみに、ドイツにはブルメスターという高級オーディオブランドがありまして、ポルシェにカーオーディオを供給している模様。ちなみにそのお値段は300万円だとか……。


◆ボディーは大きいがグングン前に進む

 エンジンをかけて、Hybrid Autoモードにセット。走り始めて感じるのは、まごうことなきポルシェであること。すべての操作系で遊びが少なく、ほかのクルマでは得られない精密機器を扱っている感覚。いかなる道でもミシリとせず、剛体という言葉がピッタリの乗り味です。


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 前出の通り、車幅が広いため慣れるまでは結構ドキドキ。ゆみちぃ部長も「デカい! 幅広すぎますよ」と悪戦苦闘でおっかなビックリです。「本当にタイカンと同じ大きさなのですか?」と尋ねる部長。タイカンに乗った時は、富士スピードウェイのコース内でしたから、白線とか気にしなくてよかったのですが、一般道だとそうはいきません。「カイエンも同じ車幅ですし、マカンも言うて3cmしか車幅変わりませんよ」と伝えると「えぇ? でもこっちの方が車高が低いから……」と言い訳をします。


 スポーツ系だから足はガチガチ……。そんな野暮なことをポルシェはしません。高級サルーンらしい、うっとりする乗り心地。ですから長時間乗っていても疲れづらいのが美質。さすが耐久の王者ポルシェです。「それじゃ運転は面白くないの?」というと、そんなわけがなく。さすがに911やケイマンのような「リアマウントエンジンゆえの高い回答性」や「リアタイヤにトラクションをかけた走り」とはいきませんが、時計のような精密機械を彷彿とさせる、ポルシェのドライブフィールを味わえます。


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 「飛ばさないと面白くないのでは?」というわけではありません。30km/h制限のスクールゾーンのような低速時でもポルシェらしさ、味わいがあるのも魅力。クルマの味わい、みたいなものが希薄になりつつある中で、ポルシェは常に運転の喜びをドライバーに伝えてきます。ゆみちぃ部長の「ほとんどアクセル踏まなくていいんですね」というコメントの通り、ホントに踏まないクルマで、ちょっとアクセルに触れる程度で十分。「運転していて、すごく高級というのが伝わります。それと手ごたえがあります」と、パナメーラを走らせます。


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運転支援を使っている様子

 運転支援も試してみましょう。キッチリと車線を監視し、実に快適。特に渋滞時に威力を発揮します。完全停止から30秒以内なら自動発進もしてくれます。


 このクルマから感じるのは「大人の余裕」。450PSを超えるパワーはまったくもって影をひそめ、とはいいつつも、アクセルを踏めばどこでもシートと背中が張り付くような加速をみせます。速く走らないと楽しくない、ではなく、ゆったり走っていても楽しめる。そして「なんだよ、ポルシェのクセにチンタラ走るなよ」と喧嘩を売られても、少しアクセルを踏めば、相手の姿が視界から消えていきます。


 もっとも、ポルシェに戦いを挑もうと考えること自体、井の中の蛙なのですが。ともあれ「金持ち喧嘩せず」とは、ポルシェのための言葉といえるかもしれません。


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充電をしている様子

 電池残量が尽きると、前出したジェネレーターの音や振動で「あぁ……」と思ってしまうところはあるのですが、そういう時は街中でもSportにすることで、少しは緩和。ですが、乗り心地は相応にハード傾向になるため、ここは考えどころです。素直にE-Chargeモードにするか、どこかで普通充電するか……。ともあれ電池がなくなると夢のようなフィールが消えてしまうのは惜しい限り。充電しないモード、というのがあればよいのですが……。


 本機が活きるのは夜の首都高やワインディングなのは言うまでもありません。当然、ここはスポーツモードにチェンジ。エンジン主体の走行モードに変わり、図太いターボサウンドが車内に轟きます。クルマの大きさは感じるものの楽しさ満点。スポーツカーに求める刺激を、たっぷりと味あわせてくれるとともに、色濃いポルシェフィールに心が踊ります。ゆみちぃ部長も楽しそうです。


 そして、Sport Plusモードは「羊の皮を被った狼」とはこのことか、と言わんばかりの豹変ぶり。ここまで来るとちょっと手におえそうになく、2000万円というプライスもあって、ここは大人しくSportでとどめておいた方が精神的によいかも。ポルシェのスポーツモデル(911など)はリアエンジン、リア駆動ゆえのトラクションのかかり方であったり、旋回性の高さが魅力。それは一方で、危うさをはらんでいます。


 パナメーラは、そういったクイックな味わいは求められないものの、FRベースらしい旋回に高度な4WDシステムにより、不安感は皆無に近いのも魅力。バツグンの安定感で、誰もが運転を楽しめる、というのはすごいことです。


 気になる燃費ですが、電池残量がある状態なら街乗りで10km/L、高速道路で17km/Lを記録。高速道路で電池残量がなくなると14km/L程度でした。


【まとめ】911じゃなくてもポルシェはポルシェ!

エコもスポーツも優秀な「パナメーラ 4 E-Hybrid」で体感するポルシェの進化と真価
ポルシェ

 911でなければポルシェにあらず、という方は少なからずいらっしゃいます(編集Sとか)。そういう原理主義的な考えはキライじゃありません。確かに同じ金額なら、アイコニックなモデルに目を奪われるのは仕方ないところです。


 ですが、クルマは買ってから想定外の使い方を求められることが多いもの。その中で「よりポルシェらしいスポーティーな走りをワインディングで楽しみながら、実用性をしっかり残したい」という方に、このパナメーラはピッタリの選択肢であり、とても高いレベルでの満足度が得られることは間違いございません。


 このクルマと比較する対象は何かないかと記憶をめぐらせてみましょう。2000万円という金額的を考えると、「Mercedes-AMG GT 43 4MATIC+」や「アルピナ B5」でしょうか。ここら辺になってくると、どれを買ってもハズレナシで、もはや比較することすらオコガマシイというもの。その中でパナメーラだけがPHEVになりますので、自宅充電できる環境の方なら、電動車の静粛性とエンジンのパワフルさの両方が楽しめる本モデルは、たいそう魅力に映るでしょう。


 逆に充電環境がないという方は、ジェネレーターの振動や音、E-CHARGEモードの燃費のことも考えると、普通のパナメーラ(2WD/1305万円~、4WD/1355万円~)の方が楽しめるような気がします。


 その大きさとセダンというスタイリングで、完璧にツボにはハマらなかったものの、公道でのポルシェ体験に、たいそう満足のゆみちぃ部長。「今度はスポーツモデルに乗ってみたいです!」と、まさかの発言。だんだんスポーツカー、欲しくなってきたんじゃないですか? 実に良い傾向です!


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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

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 1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近は自動車にも興味を抱く。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、当連載で、お気に入りの1台を探す予定。