自転車用品情報2024、私は四本淑三です。今回の話題の中心といたしますのは、今時の自転車生活における困難を解消するため購入したグッズの数々。


 ロードバイクのタイヤはチューブレス化が進み、ライト・サイコンはもとより変速機構も電化、ヘルメットにも安全性向上の工夫が見られ、一昔前とは快適性も安全性もずいぶんと向上いたしました。しかし、それぞれの進化の過程には、必ず新たな困難が待ち受けており、新しもの好きのユーザーにはそれらを乗り越えてゆく試練が与えられるのであります。


 では、どのような試練が待ち受けているのでしょうか。


試練その1 ビードが落ちない

ビード落ちない!MIPSでハゲそう!試練を乗り越える自転車用品2024上半期PART1

 ロードバイクにチューブレスタイヤが普及し始めた頃は「硬くてリムにハマらない」「ビードが上がらない」など散々な話を聞いて参りましたが、最近のタイヤやリムについては以前より楽になったと感じております。


 チューブレス対応リムの中央には窪みが設けられており、その窪みへビードを落としてゆくと訳もなく入っていくんですな。これはビードが乗るリム両端より内径が小さいから。取り外す際も同様。親指でビードをペチペチと窪みに落とし、手の腹でタイヤ全体をグリッと下へ押し出すとポロっと外れる。なんだクリンチャーより楽ではないか。おかげでタイヤレバーとは無縁の生活……と思いきや。


 私に試練を与えてくれたのがIRCのチューブレスタイヤ「FORMULA PRO」でした。おのれのビードは接着剤で張り付いとんのか! だったらいっそのことチューブラーにしてやろうか! などと怒気が湧いてくる程度にビードが硬くて外れない。もっとも、そのおかげでエア漏れは少なく安心して使えるタイヤなのですが、ビードが落ちない事にはレバーを使おうが何をしようがタイヤは取り外せません。


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 そんな時、私はドアにタイヤを挟んでこじる、タイヤに分厚い革手袋を当ててバイスグリップで挟むといった非道な手を使い難局を乗り切ってまいりました。でも広い世の中、もっと簡単に使える何かがあるはずじゃないか。


怪力クイックバークランプ

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 ということで買ってきたのが、男の子大好きピストル型工具「SK11 怪力クイックバークランプ SRC-150M」。引き金をニギニギして締め付けるタイプの小型万力で、締め付け力は80kg、顎の長さは150mm。最寄りのホームセンターで税込1408円というお手頃な工具でありました。


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 これでリムとタイヤの境目のところを挟んでニギニギして手前にこじると、あっという間にビードは落ち、今までの苦労が嘘のようにタイヤを取り外すことができるのであります。ロード以上にビードが落ちにくいMTBのタイヤもいけます。やったぜ。


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 とはいえDIY向けの工具がたまたま使えたという話でありまして、指で押して落とせるなら、それに越したことはございません。もしあなたが同じような困難に直面し、藁でも掴みたい気分になったらお試しください。


試練その2 MIPSが挟んだアホ毛が痛い

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 今まで使ってきたOGK KABUTOのヘルメットがもう寿命だというので、GIROのヘルメット「SYNTHE MIPS AF」を買いました。Amazonで税込2万9920円也。


 ヘルメットは衝撃吸収材としてスチロールが使われているので劣化しやすく、日本ヘルメット工業会は購入後3年を寿命としています。ところが特に何の不満もなかったおかげで、OGKを使い始めて気がつけばもう5年。


 舶来品のGIROですがAF=アジアンフィットという我々モンゴロイド向けの形状も用意されており、フィット感も日本のOGKに負けず劣らず。何より興味深があったのは最近流行りの「MIPS(ミップス)=Multi-directional Impact Protection System(多方向衝撃保護システム)」という安全機構であります。


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 ヘルメットの帽体とライナーによる二重構造で、人の頭に直接触れるライナーから帽体はフローティング状態にあります。例えるならビルの免震構造のようなもの。10mm程度の範囲で帽体が自由に動くことで、走行中の落車により受ける回転方向の加速度を緩和しようという仕組みです。


 ただ、私は使ってすぐに毛髪の危機を感じました。ここでロードレースをご覧になる方は、ヘルメットの穴から飛び出すタデイ・ポガチャルのアホ毛を想起してください。歳も歳なのであそこまでの元気はありませんが、私のような凡人にもアホ毛はあります。


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 ヘルメットを被ると、そのアホ毛が薄い透明なライナーの隙間を突き抜け、帽体の溝に接します。この帽体がMIPSの仕組みで左上へ動くとどうなるか。赤い矢印の部分にご注目ください。


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 それまで見えていた溝が見えません。

つまりアホ毛はライナーと帽体の間に挟まれ、引っ張られる。電気カミソリの内刃と外刃のような関係とでも申しましょうか。もっとも、それで毛が抜けた切れたといった事態には至っておらず、なんかチクチクするぞ程度のものですが、毛髪の不可逆的損失にチャレンジし続けている私などには、その悪夢の瞬間がいつ訪れるのか、そればかりが気になって困るのであります。


人は何故サイクルキャップを被るのか

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 これを解決するために日本のサイクルウェアブランド、ナリフリの「ジェットキャップ」を買いました。頭頂部は通気性を重視したメッシュパネル、側頭部は我々アジア人の頭の形に寄り添う伸縮性のある素材。ツバの部分は跳ね上げられるし、下げればバイザー代わりになる。税込7150円とお高いですが、作りはなかなか丁寧です。


 ここで全くの個人的な話で恐縮ですが、私はサイクルキャップが似合いません。その昔のイタリア最強チームMAPEIのキャップがカッコいいので被って見たら、似合わないどころか鏡の向こうに見てはいけない人を見てしまったような衝撃。選手だったらツバにプリントされたスポンサーロゴの露出が何より大事でしょうが、素人が被ったところで何も報われません。なのになぜ人はサイクルキャップを被るのか。


 でも、これは被る必要のあるキャップです。

何より快適ですし、心と髪の健康には代えられません。もし似たようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、おすすめです。


 この続きはまた。

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