モータースポーツの舞台で数多くの金字塔を打ち立てたNISMOブランドは、昨年誕生40周年を迎えました。今回、そのNISMOの名を冠した2台のスポーツカーを、ドライブ大好きのタレント“あらた 唯”さん乗ってもらい、お好みの1台をチョイスしていただきましょう!
【NISSAN GT-R NISMO】ド迫力のキングオブスポーツカー
まずは今夏に生産終了する「GT-R」のフラグシップモデル「GT-R NISMO(MY2024)」から。GT-R NISMOが誕生したのは2014年のこと。

R側を任されたGT-R NISMOは「Nアタックパッケージ」を装着したとはいえ、世界屈指の難コース「ニュルブルクリンク北コース」を当時の量産車最速となる7分8秒679で駆け抜け世界中を驚かせました。あれから10年以上の時が経ったことにも驚きますが……。

その後、GT-R NISMOは2017年、2020年、2022年、2024年とバージョンアップを繰り返します。気づけばGT-R誕生から17年。ここまで長寿で熟成を重ねたクルマになるとは、誰が想像できたでしょうか? そして3000万円を超えるプライスタグが付くことも……(初期型は700万円台でした)。

2024年型GT-R NISMOの深化ポイントは空力性能の改善だとか。ベースモデルの外装変更に合わせて、前部はエアフローの最適化に加え、開口の小径化と冷却性能の向上を両立するグリルデザインへと変更。


リアもサイドエッジ延長による側面気流の巻き込み抑制や、ウイングステーをスワンネック化として翼面下部の効率向上などがなされています。結果、空気抵抗(Cd値)はそのままに、最大13%のダウンフォース増加を達成したのだとか。そのエクステリアを見た唯さんは「やっぱりウイングがあるクルマがカッコいいですね」とニッコリ。

ブレーキは世界最大級のカーボンセラミックローター(フロント410mm、リア390mm)が装備されています。

ホイールはRAYSの鍛造アルミホイール。GT-Rは全グレードRAYS製のホイールにダンロップのタイヤを履いています。


エンジンは日産自動車横浜工場に勤務する3000名の工員の中から選ばれた、わずか5名の匠が組み上げたVR38DETT。最高出力600馬力、最大トルク66.5kgf・mというスペックは過去のモデルと変わりませんが、ピストンリングとコンロッド、クランクシャフト、フライホイール、クランクプーリー、バルブスプリング(吸排気とも)に高精度重量バランスエンジン部品を採用しているとのこと。サーキット走行でもしないと効果のほどはわかりませんが、そのありがたみは所有欲を充たすのに十分でしょう。



インテリアはメーターが指針式など古さは感じるものの、ダッシュボードもピラーもステアリングもスエードタイプで実にレーシー。しかも、レカロ製のカーボンスポーツシートは剛性とホールド感を大幅に強化したという新デザイン。乗り込みには苦労しますが、座ってみると快適そのもので、しかもコーナー時に体をシッカリとサポートします。「いいですねぇ」と唯さんは思わず笑みに。

GT-R NISMOを一般道で走らせることほど、もったいないというか、ぜいたくというか……。
そのようなコトは知らない唯さん。「都内じゃすごさがワカラナイ」と今回の企画そのものをバッサリ。「渋滞ばかりじゃないですか。全然、前に進まない!」というわけで、GT-R NISMOの性能の片鱗を見ることすらなく試乗を終えたのでした……。
ですがサーキット走行を前提としたクルマが、渋滞でも普通車のように走れるという技術力の高さには感服した様子。モノのスゴみや17年の歴史を感じたようでした。
【フェアレディZ】スポーツカーといえばロングノーズショートデッキ

続いてフェアレディZ NISMO。2023年8月に登場したモデルですが、このクルマを一般道で見かけた人は、ほとんどいないのでは? というのも、ただでさえ標準モデルの生産が追い付いていない状況なうえに、当初NISMOグレードは「納車待ちの中でNISMOへ切り替える人のみ」という販売をしたため。
コロナ禍による半導体不足で納期が遅れているという話を聞いて久しいですが、そろそろ「欲しい時が買い時」な時代に戻ってもいいですよね。



フェアレディZ NISMO専用のエクステリアにより、ノーマルに比べて40mm伸長、25mm拡幅したボディーは迫力十分。

中でもカッコよさを引き立てるのが、逆スラントのフロントバンパー。NISMOらしい赤いラインが純白のボディーに映えます。白いボディーのクルマが好きな唯さんは、この段階でハートをガッチリキャッチされています。

GT-R NISMOと違い、こちらのブレーキキャリパーは赤色で、曙ブレーキ工業製。タイヤはフロントが255/40R19でリアが285/35R19。リアのみスタンダードモデルよりも10mm太いようです。ちなみにホイールはRAYS製。

搭載されるエンジンは「スカイライン400R」譲りのVR30DDTT型 3L V6ツインターボ。ブーストアップやGT-R同様の気筒別点火時期制御などのNISMO専用チューニングが加えられており、最高出力420馬力/6400rpm、最大トルク520N・m(53kgf・m)/2000~5200rpmを発生します。生み出された動力は9段ATを介してリアへと伝えられます。




NISMOグレードらしい黒と赤の車内。

再び都内を運転する唯さん。「GT-Rと違って扱いやすいですね」というように、洗練された乗り味で、試しにスポーツ+モードにしても、シフトチェンジで荒々しさをみせることは少ない様子。しかし、正確なステアリングとしっかりとトラクションがかかる後輪に、良い意味でクラシカルなスポーツカーらしさをのぞかせたりもします。
荒れた路面でもボディーはミシリともせず、足だけがスムーズに動く印象。これがイマドキのスポーツカー、いやGTカーの姿なのかなとも。
【結論】MTがないのが残念だけど
フェアレディZが見た目で好み
「どちらを選べ、と言われたらZの方が好みですね。何より見た目がイイです」と唯さん。「できればMTがあればいいのですが」というように、NISMOグレードにはAT設定しかないことを残念に思われていました。
最後に、フェアレディZ NISMOのお値段をお伝えしましょう。これが標準モデルの約540~670万円よりだいぶお高い920万円! 金額を聞いた瞬間、唯さんも周りのスタッフも思わず絶句。
街乗りしかしていないということもありますが、NISMOでなければダメなんだ――と思わせる部分が街乗りでは見出しにくかったのも事実で、Zに対して特別な想いを抱く某マンガの愛読者的には、もっと硬派でもいいのでは? という印象を受けました。
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モデル紹介――あらた唯

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。