●タッチしてゴーするだけ
TOUCH TO GOは、3月14日に開業するJR東日本の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の2階テラス部分にオープンする無人AI決済店舗だ。同駅では新しい取り組みが満載だが、特に便利さが体験できるのはこの店舗だろう。
商品を手に取ってルート通りに進めば、レジに交通系ICカードをタッチするだけで買い物ができる仕組みになっている。念のため、購入する商品をレジで一度確認する必要はあるが、その時にリーダーで商品のバーコードを読み取る必要はない。まさにタッチしてゴーするだけの手軽さに惹かれた。
リーダーの代わりに商品を認識しているのは、天井に敷き詰められた50台ほどのカメラやセンサーだ。これらが来店客が手に取った商品を認識して追跡。レジに到着したら手に持っている商品を一覧で表示する。仮に商品が認識されていなかった場合は、レジのリーダーで該当の商品を読み取る必要はある。
決済方法を選べる画面もあるが、現段階で選べるのは交通系ICカードのみ。
●TOUCH TO GOのコストパフォーマンス
TOUCH TO GOの阿久津智紀代表取締役社長は、「この店舗の大きな目的は省人化による人手不足の解消。通常、同規模の店舗では通常、3人ほどが常駐するが、TOUCH TO GOなら商品の陳列や案内などを担う1人で済む」と効率の良さをアピールする。月額80万円ほどのサブスクリプションサービスとして展開する計画だ。コストメリットとしては、時給1000円のスタッフを1人雇ったときと同程度の予算で導入できることを打ち出す。
人手不足は小売業界で喫緊の課題になっているほか、国の「ポイント還元事業」などの影響でキャッシュレス決済の浸透度が深まっている。TOUCH TO GOが普及する条件は整いつつあるといえる。
省人化というと、「NewDays」やコンビニエンスストアに導入されているセルフレジも同様の役割を持つ。ただ、TOUCH TO GOと大きく異なるのは、利用者の負担。セルフレジの場合はユーザー自らが商品を読み取る作業を行うので、使い方の確認や周知が欠かせない。また、監視カメラなどを設置していたとしても、防犯上の懸念はどうしても残ってしまう。
日常生活で切符を購入する機会はもうほとんどない。旅先で交通系ICカードに対応していない駅に出会ったときは、もはや面倒というよりも懐かしさが勝る。いつか、“レジで商品のバーコードを読み取る”という工程も手間を通り越して、懐かしく思う日がくるのだろうか。近未来の技術が満載の新駅で、そんな想いを馳せた。(BCN・南雲 亮平)
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