ヤマダ電機は、10月1日に会社分割によるホールディングカンパニー(持株会社)体制に移行する。経営の管理・監督と業務の執行を分離することで、グループガバナンスの強化を図る。


 10月1日付で、商号をヤマダホールディングス(ヤマダHD)に変更する。グループ経営戦略の企画や立案、グループ会社の経営管理や監督などを担う。社長は山田昇氏が就任する。資本金は約710億円。
 分割する部門の承継会社は、ヤマダ電機分割準備会社となり、10月1日付でヤマダ電機に商号変更する。事業内容は、現在のヤマダ電機と同じ家電・情報家電などの販売と住宅関連の商品販売となる。社長は、現在の三嶋恒夫社長のまま。資本金は1億円。
 実態は、ヤマダ電機の創業者である山田昇会長が今よりもさらにグループ全体ににらみを利かせる体制に移行するとみられる。
 家電流通業界に限らず小売業を取り巻く環境は、生活防衛による消費者の節約志向の高まりや、業種・業態を超えた競争の激化、人手不足による人件費や物流コストの上昇、少子高齢化、人口減など日本が抱える課題が山積していて、事業環境の急速な変化や不透明感が増している。
 こうした中でヤマダ電機は新市場を開拓するために、山田会長自らが旗振り役となって「暮らしまるごと」をコンセプトにした家電と住空間のトータルコーディネートを提案する事業に力を入れてきた。具体的には、従来の家電専門店のテックランドから、新しい「家電住まいる館」へのリニューアルや、大塚家具の子会社化などにみられる。
「これらの改革をさらに推進するには、持株会社体制に移行することが最適と判断した」という。
 親会社であるヤマダHDは、グループ経営戦略の企画・立案だけでなく、業務提携、資本提携、M&Aなどの事業再編も迅速に行っていくという。
 もっとも、家電量販店の持株会社制の導入は新しくなく、2007年にケーズデンキがケーズホールディングスに移行したほか、ヨドバシカメラもヨドバシホールディングスになっている。(BCN・細田 立圭志)
【関連記事】
家電量販店で50%還元の「メルペイ」と20%還元の「au PAY」を賢く使おう
大塚家具が家電販売開始、ヤマダ電機とコラボで家具とトータル提案
新型コロナ対策の「臨時休校」で、家電量販店も営業時間短縮
ヤマダ電機、会員向け顔認証決済サービス「ヤマダPay」導入、5店舗から開始
ヤマダ電機初の「電子棚札」導入、大塚家具のコラボ店から開始
編集部おすすめ