アップルがRetinaディスプレイを搭載する13.3インチ「MacBook Air」の2020年最新モデルを発表した。新しいMagic Keyboardを搭載し、従来比で処理パフォーマンスが最大2倍に向上。
●MacBook Airの個性的なウェッジシェイプを継承
新しいMacBook Airは従来と同じゴールド/スペースグレイ/シルバーの3色で展開される。シリーズ独特のパームレスト側に向かうほど先端形状がシャープになるウェッジシェイプ(くさび形)も健在だ。筐体には100%再生アルミニウムを使いながら上質な質感に仕上げている。
本体のサイズを筆者が所有する2019年モデルのMacBook Airと比較してみた。手に持った質量の手応えはほぼ変わらない。2台のパネルを閉じて並べてみると、スペック上では0.03mmしか差はないが、新しいMacBook Airの方がほんの少しだけ高さがある。
筆者はふだん愛機のMacBook Airを保護するためにサードパーティ製の保護ケースを装着している。半年以上使い込んでいるケースだからかもしれないが、新しいMacBook Airにボトム側のケースが装着できなかった。新しいMacBook Airの購入を検討されている方は、ケースなどのアクセサリー製品は最新モデルに対応しているものを選ぶと安心だ。
●感度良好。
キーボードは2019年秋に発売されたRetinaディスプレイを搭載する16インチのMacBook Proと同じ、アップルが独自に部品を設計し改良を施したシザー構造のMagic Keyboardを搭載した。
キーキャップの安定感が高く、1mmのキーストロークを確保したキータイピングの手応えがとても心地よい。反応も機敏だ。長い時間テキストを書いていても疲れにくく、何よりも静かにタイピングできるようになったことが屋外で原稿を書く機会の多い筆者には心強く感じられた。
右下側にレイアウトされている上下左右矢印キーは逆T字型配列になった。特に左右のキーがMagic Keyboardになって打鍵感が向上したことと相まって、ミスタイプが減らせる。細かいところではTouch IDセンサーを搭載する電源ボタンが他のキーと同じつや消し処理になって、見た目にも統一感が増した。
●処理性能の向上に手応えあり
新しいMacBook AirはCPUにインテルの第10世代Coreプロセッサを採用している。内蔵GPUはIris Plus Graphicsだ。店頭販売の標準モデルはデュアルコアだが、上位モデルからはMacBook Airとして初めてクアッドコアのCPUが搭載される。アップルの直販サイトから購入する場合などには、オプションとしてそれぞれに上位のCoreプロセッサとメインメモリ、最大2TBまでのSSDストレージを選んでカスタマイズもできる。
今回は筆者がふだんAdobe Photoshopを使ってよく行うコンタクトシート(画像一覧のファイル)の作成処理が、新しいMacBook Airでどれぐらい速くできるようになるのか、筆者の2019年モデルと比べて試した。
今回借りることができたMacBook AirはCore i3の仕様は、デュアルコアCPU、メモリは8GBの3.733MHz/LPDDR4。筆者の愛機は第8世代Core i5のデュアルコアCPU、メモリは8GBの2.133MHz/LPDDR3。アプリケーションソフトにはAdobe Photoshop 2020を使った。デジタルカメラで撮影した30枚の写真データからコンタクトシートを生成するのに、筆者の2019年モデルは1分37秒を要したが、新しい2020年モデルは54秒という結果になった。
また、新しいMacBook Airは処理パフォーマンスを伸ばしつつ、“約1日使えるバッテリー”のスタミナ性能をキープしていることにも触れておきたい。30WのUSB-C電源アダプターと2mのUSB-C充電ケーブルが付属する。
●エンタメ視聴の迫力がスケールアップしている
13.3インチのRetinaディスプレイは2019年モデルから変更されていない。ただ、内蔵グラフィックの性能等が向上したことにより、最大6K解像度の外部ディスプレイが1台までThunderbolt 3(USB-C)ポートに接続して本体ディスプレイと同時に使えるようになった。クリエイティブワークへの活用についてはMacBook Proシリーズの性能に軍配が上がるものの、新しいMacBook Airもクリエイターのサブ機として十分に活躍してくれそうだ。
新しいMacBook Airはオーディオ体験が大きく向上していた。自宅やオフィスなどでMacBookの内蔵スピーカーで音楽ストリーミングをBGMとして聴きながら作業をしている方も多いと思うが、最新版のMacBook Airはスピーカー再生のステレオイメージをソフトウェア処理によって大幅にブラッシュアップしている。音の分離感と定位がとても鮮明で、音場の広がりに一段と豊かさが増した。
映像系のコンテンツを再生する場合も、新しいMacBook Airがドルビーの新たな立体音響技術であるDolby Atmosに対応したことに注目したい。Apple TV AppやNetflixで配信されているDolby Atmos対応の作品を再生すると、左右方向への広がりだけでなく、高さ方向からも包み込まれるような効果音の臨場感に思わず息をのんでしまった。エンターテインメントPCとしてもMacBook Airの魅力がまた一皮むけたようだ。
●テレワークを強力にサポートする各機能
さらに本体に内蔵するマイクの数は3基と2019年のモデルと変わっていないが、指向性を高めるビームフォーミング技術に対応したことで、話者の声をより鮮明に聞き取りやすくピックアップする。ノートPCをテレワークのツールとして活用する機会の多いビジネスパーソンにとっても、新しいMacBook Airが頼もしいパートナーになってくれるはずだ。
MacBook Airをテレワークに活用する際に便利な機能をもう一つ紹介しておきたい。最新モデルにも搭載されているmacOS Catalinaには、ユーザーのApple IDにひも付いて、それぞれiCloudにサインインしているiPhone、iPadなどのアップルデバイスと強力に連携できるHandoff機能がある。
MacとiPhoneを近くに置いて、各デバイスでBluetoothとWi-Fi、そしてHandoffの設定をオンにしておけば、ブラウザやメール、メモにメッセージなどのアプリケーションの作業内容がリアルタイムに共有できる。例えば移動中にiPhoneで書きかけにしていたメールの続きをオフィスに到着してからMacで仕上げたり、浮かんだアイデアをiPad miniとApple Pencilで箇条書きにして、後で落ち着いてからMacでプレゼンテーションのドキュメントを作成するといった具合に使えば仕事の効率アップが図れる。
可搬性にもすぐれる機能美を追求したデザインに最先端のキーボードとパワフルなプロセッサーを載せて、ストレージも倍に増えたMacBook Airは価格の面から見ても“初めてのMac”にも最適と言える選択肢だ。多くの人々のオフィスワーク、クリエイティブワークをサポートしてくれる1台になるだろう。(フリーライター・山本敦)
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標準仕様モデルのストレージ容量も2倍に増えて、価格は10万4800円(税別)から購入できるようになった。来週から店頭販売が始まるが、本機を品定めする前に知っておきたい、注目すべきポイントについて実機をハンドリングしながら紹介したい。
●MacBook Airの個性的なウェッジシェイプを継承
新しいMacBook Airは従来と同じゴールド/スペースグレイ/シルバーの3色で展開される。シリーズ独特のパームレスト側に向かうほど先端形状がシャープになるウェッジシェイプ(くさび形)も健在だ。筐体には100%再生アルミニウムを使いながら上質な質感に仕上げている。
本体のサイズを筆者が所有する2019年モデルのMacBook Airと比較してみた。手に持った質量の手応えはほぼ変わらない。2台のパネルを閉じて並べてみると、スペック上では0.03mmしか差はないが、新しいMacBook Airの方がほんの少しだけ高さがある。
筆者はふだん愛機のMacBook Airを保護するためにサードパーティ製の保護ケースを装着している。半年以上使い込んでいるケースだからかもしれないが、新しいMacBook Airにボトム側のケースが装着できなかった。新しいMacBook Airの購入を検討されている方は、ケースなどのアクセサリー製品は最新モデルに対応しているものを選ぶと安心だ。
●感度良好。
静かにタイピングできるMagic Keyboard
キーボードは2019年秋に発売されたRetinaディスプレイを搭載する16インチのMacBook Proと同じ、アップルが独自に部品を設計し改良を施したシザー構造のMagic Keyboardを搭載した。
キーキャップの安定感が高く、1mmのキーストロークを確保したキータイピングの手応えがとても心地よい。反応も機敏だ。長い時間テキストを書いていても疲れにくく、何よりも静かにタイピングできるようになったことが屋外で原稿を書く機会の多い筆者には心強く感じられた。
右下側にレイアウトされている上下左右矢印キーは逆T字型配列になった。特に左右のキーがMagic Keyboardになって打鍵感が向上したことと相まって、ミスタイプが減らせる。細かいところではTouch IDセンサーを搭載する電源ボタンが他のキーと同じつや消し処理になって、見た目にも統一感が増した。
●処理性能の向上に手応えあり
新しいMacBook AirはCPUにインテルの第10世代Coreプロセッサを採用している。内蔵GPUはIris Plus Graphicsだ。店頭販売の標準モデルはデュアルコアだが、上位モデルからはMacBook Airとして初めてクアッドコアのCPUが搭載される。アップルの直販サイトから購入する場合などには、オプションとしてそれぞれに上位のCoreプロセッサとメインメモリ、最大2TBまでのSSDストレージを選んでカスタマイズもできる。
今回は筆者がふだんAdobe Photoshopを使ってよく行うコンタクトシート(画像一覧のファイル)の作成処理が、新しいMacBook Airでどれぐらい速くできるようになるのか、筆者の2019年モデルと比べて試した。
今回借りることができたMacBook AirはCore i3の仕様は、デュアルコアCPU、メモリは8GBの3.733MHz/LPDDR4。筆者の愛機は第8世代Core i5のデュアルコアCPU、メモリは8GBの2.133MHz/LPDDR3。アプリケーションソフトにはAdobe Photoshop 2020を使った。デジタルカメラで撮影した30枚の写真データからコンタクトシートを生成するのに、筆者の2019年モデルは1分37秒を要したが、新しい2020年モデルは54秒という結果になった。
また、新しいMacBook Airは処理パフォーマンスを伸ばしつつ、“約1日使えるバッテリー”のスタミナ性能をキープしていることにも触れておきたい。30WのUSB-C電源アダプターと2mのUSB-C充電ケーブルが付属する。
●エンタメ視聴の迫力がスケールアップしている
13.3インチのRetinaディスプレイは2019年モデルから変更されていない。ただ、内蔵グラフィックの性能等が向上したことにより、最大6K解像度の外部ディスプレイが1台までThunderbolt 3(USB-C)ポートに接続して本体ディスプレイと同時に使えるようになった。クリエイティブワークへの活用についてはMacBook Proシリーズの性能に軍配が上がるものの、新しいMacBook Airもクリエイターのサブ機として十分に活躍してくれそうだ。
新しいMacBook Airはオーディオ体験が大きく向上していた。自宅やオフィスなどでMacBookの内蔵スピーカーで音楽ストリーミングをBGMとして聴きながら作業をしている方も多いと思うが、最新版のMacBook Airはスピーカー再生のステレオイメージをソフトウェア処理によって大幅にブラッシュアップしている。音の分離感と定位がとても鮮明で、音場の広がりに一段と豊かさが増した。
映像系のコンテンツを再生する場合も、新しいMacBook Airがドルビーの新たな立体音響技術であるDolby Atmosに対応したことに注目したい。Apple TV AppやNetflixで配信されているDolby Atmos対応の作品を再生すると、左右方向への広がりだけでなく、高さ方向からも包み込まれるような効果音の臨場感に思わず息をのんでしまった。エンターテインメントPCとしてもMacBook Airの魅力がまた一皮むけたようだ。
●テレワークを強力にサポートする各機能
さらに本体に内蔵するマイクの数は3基と2019年のモデルと変わっていないが、指向性を高めるビームフォーミング技術に対応したことで、話者の声をより鮮明に聞き取りやすくピックアップする。ノートPCをテレワークのツールとして活用する機会の多いビジネスパーソンにとっても、新しいMacBook Airが頼もしいパートナーになってくれるはずだ。
MacBook Airをテレワークに活用する際に便利な機能をもう一つ紹介しておきたい。最新モデルにも搭載されているmacOS Catalinaには、ユーザーのApple IDにひも付いて、それぞれiCloudにサインインしているiPhone、iPadなどのアップルデバイスと強力に連携できるHandoff機能がある。
MacとiPhoneを近くに置いて、各デバイスでBluetoothとWi-Fi、そしてHandoffの設定をオンにしておけば、ブラウザやメール、メモにメッセージなどのアプリケーションの作業内容がリアルタイムに共有できる。例えば移動中にiPhoneで書きかけにしていたメールの続きをオフィスに到着してからMacで仕上げたり、浮かんだアイデアをiPad miniとApple Pencilで箇条書きにして、後で落ち着いてからMacでプレゼンテーションのドキュメントを作成するといった具合に使えば仕事の効率アップが図れる。
可搬性にもすぐれる機能美を追求したデザインに最先端のキーボードとパワフルなプロセッサーを載せて、ストレージも倍に増えたMacBook Airは価格の面から見ても“初めてのMac”にも最適と言える選択肢だ。多くの人々のオフィスワーク、クリエイティブワークをサポートしてくれる1台になるだろう。(フリーライター・山本敦)
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