二子玉川の「都市」としての歴史は比較的浅い。世田谷区は、かつて近郊農村として栄えていたが、1960年代からベッドタウンとしての需要が高まり住宅都市へと移り変わった。区は、さらに都市の核を作るため、87年に二子玉川地域を対象とした都市再開発の計画原案を策定し、15年に「二子玉川ライズ」を完成。約30年を費やして、商業施設・オフィス・住宅を備えた新しい街をつくり上げたのだ。10年ごろに分譲を始めた高級マンションは、都市開発とあわせて人気を博し、高所得者の転入によってセレブな街へと変化を遂げた。
駅近2LDKの低層マンションが、中古でも7000万円ほどで売られているケースもある。そんな二子玉川で生活するにはハードルが高くて浮いてしまうと思われがちだが、意外とそうでもない。高島屋から5分も歩けば創業50年以上の店が軒を連ねる商店街にたどり着き、さらにその先はゆったりとした時間を感じさせてくれる住宅街と畑が現れる。
住宅の間には畑がいくつもあり、日中、農作業に勤しむ人々が軽トラを走らせている。直売所も設けられており、区のブランドである「せたがやそだち」の野菜や果物が安価に購入可能だ。
二子玉川における20年前の街を知る人は、近年の発展とセレブの街という持ち上げ方が滑稽との見方もある。しかし、“都会の便利さが享受できる田舎”に住むことは一番の贅沢ではないかと考えることができる。地方では、高齢者が車を手放すことができないし、若者も都会から戻らない傾向がある。一方、都会は、窮屈さや生活コストの高さで精神的な豊かさを得るのが難しい。ここ、二子玉川には人間の生活の理想があるのではないだろうか。(フリーライター・me_me)
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