PCを構成するパーツの一つであるメモリ(RAM)。HDDやSSDなどのデータ保存用ストレージとは違い、PCのデータやプログラム、操作情報を処理するため一時的に保存するのがメモリで、保存容量が大きければ大きいほどPCの処理スピードが速くなる。
半導体部品の標準規格を策定する業界団体のJEDEC(半導体技術協会)では、メモリに採用するチップの規格も定めており、2020年7月には最新規格「DDR5(Double Data Rate 5)」の仕様が固まった。このDDR5メモリに初めて対応したのが、21年11月にインテルが発売した第12世代CPU「Alder Lake」だ。そこで、新規格DDR5メモリの販売動向を、全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」で調べてみた。

●発売3カ月で「Alder Lake」の構成比が半数超え
 まずはDDR5に対応したインテルの第12世代CPU「Alder Lake」の売れ行きについて見ていこう。BCNランキングによると、店頭で販売する自作PC用のインテル製CPUの中では、Core i3~i9までのCore iシリーズが約97%を占めており、その中でAlder Lakeは着実に販売比率を伸ばしている。
 Eコア(Efficiency-cores、高効率コア)とPコア(Performance-cores、高性能コア)をどちらも搭載したハイエンドモデルの発売が先行した2021年11月、Alder Lakeの販売台数比率は27%だったが、22年1月にPコアのみ搭載したCore i5、i3の各モデルが販売されると、Alder Lakeの販売比率は一気に上昇。22年1月は51.2%となり、インテル製CPUの半数を占めるまでに至った。
●Alder Lakeの販売と比例しなかったDDR5の売れ行き
 Alder Lakeの販売好調を踏まえ、DDR5メモリの販売比率を示したのが下のグラフになる。DDR~DDR5まで各規格別の販売枚数をグラフ化したものだが、DDR5はAlder Lake販売開始の21年11月はわずか0.5%、それから2カ月後の22年1月でも1.9%しかない状況だった。売れてないと言うよりは、昨今の半導体不足により、供給が需要に追い付いておらず品不足だった可能性もある。
 
 DDR5メモリとそれ以外の平均価格を比較したグラフを見ると、DDR4メモリは概ね5000円台に対し、DDR5メモリは1万6000円~2万3000円と、DDR4メモリの3倍~4倍は高い。
 
 最後にDDR5メモリにおけるメーカー別シェアを確認しよう。
直近の22年1月に最もシェアが高かったのはCorsair(コルセア)、次に21年末より急拡大したGSkill、22年1月より急進したADATA Technologyが目立つ。今はこの3社で8割の市場を占めるが、今後、Micron Technologyなど各社の量産体制が確立し、安定した供給が続くようになれば、シェア争いにも変化が生じてくるだろう。
 自作PC業界は、昔はメーカー製PCよりも安く組み立てられることを目的としていたが、今はオーバークロックはもちろん、動画編集やゲーミング用途など、性能を重視して組み立てる人も多いという。自身に最適な1台と出会うため、まずはパソコンショップへ足を運んでみるのはいかがだろうか。(BCN・栃木 亮範)
 
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
【関連記事】
続くCPU不足、特に売り上げを落としているAMD
栄枯盛衰…10年でマザーボード市場のシェア2位から転落のギガバイト 躍進するASRockとMSI
欲しいのはゲーミング“も”できるPC、ハイスペックの変形型ノートが受け皿に
Chromebookが前年比4.7倍の急上昇! 国内シェア首位のASUSは売れ筋モデルの後継機をリリース
VAIOがAMD Ryzenを初採用! 仕事でもプライベートでも使える「VAIO FL15」
編集部おすすめ