3Dゲームやメタバースに欠かせないVR・ARゴーグル。昨年11月以降の売れ行きは好調で、連続して前年の実績を上回っている。今年に入り、2月以降は台数で150%前後、金額で200%前後の水準を維持しており活況。この5月は台数が148.5%、金額が200.2%と昨年比で台数は1.5倍、金額は2倍の伸びを示している。VR・ARゴーグルには大きく2つのタイプがある。1つは、スマートフォンと組み合わせて使う非通電型のフォルダータイプ、もう1つは、本体にディスプレイを備えた本格的な通電タイプだ。
利用シーンは似ているが、製品自体は両タイプで全く異なる。平均単価の開きも大きい。フォルダータイプの税抜き平均単価(以下同)が3000円前後。対して通電タイプは3万5000円前後。10倍以上の開きがある。しかし、このところ売れているのは高価な本格通電タイプだ。
コロナ禍で当たり前になったオンライン会議。さらに進んだオンラインコミュニケーションに欠かせないのがメタバースだ。コンピューターネットワークの中に3Dの仮想環境を構築し、自分の分身ともいえるアバターなどを活用して現実さながらのコミュニケーションを実現できる。アバターを使った仮想世界といえば、ルーカスフィルムが1986年に開発したオンラインゲーム「Lucasfilm's Habitat」が最初だろう。日本では1989年に富士通が同社のパソコン「FM TOWNS」向けソフトとしてリリースした「富士通Habitat」が有名だ。その後、アバターによるコミュニケーションの流れは、2003年にリンデンラボがスタートさせた「セカンドライフ」に引き継がれた。そして、コロナ禍を経て、また新たな局面を迎えつつある。
現状では、Habitatやセカンドライフに相当する、決定版ともいえるサービスやソフトは、まだ定まっていない。しかし、3Dのバーチャル環境を実現するキーデバイスとしてのVR・ARゴーグルは着実に販売を伸ばしている。アバターによるコミュニケーションは、3Dテレビと同様、生まれては消え、生まれては消えを繰り返してきた。VR・ARゴーグルの好調がどこまで継続するのかは、今後、メタバースが本格的に普及するか否かを占うために欠かせない要素の1つと言えるだろう。(BCN・道越一郎)
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