使っているスマホはAndroid。QRコードでダウンロードするのは面倒だと、Google Playで「DJI Mimo」を検索、ダウンロードすることにした。これが悲劇を生むことになる。検索の結果、アプリは「2番目」に表示された。ちょっとした違和感があった。普通は一番上なんじゃないのか? まあ、いつもそうだとは限らないと、とりあえずダウンロード、インストールした。アプリを起動する。最初に表示されたのは緑色の大きな「続ける」というボタン。タップすると「モバイルアクティベーション」という画面が現れた。さらに「続行する」をタップして続ける。IDとパスワードを設定し、アカウント作成、アクティベートという流れだ。
一旦偽アプリを終了させ、再度起動してみると、最上部に「DJI Mimo Camera G… アプリに移動>」という小さな表示があった。緑色の大きな「続ける」ボタンがある枠の左上には小さく「広告」と表示されている。この表示には、最初から気づいてはいたが、何かの手違いだろうと無視していた。しかし、そうではなかった。「続ける」は、表示の通り広告の一部だったのだ。画面の一番下には「プレミアム映画、シリーズ、音楽、ゲーム、AllAccessBundle.com」という見慣れない表示がある。ここから、「続ける」をタップすると、AllAccessBundle.comなるサイトに飛ばされた。ここで「なんちゃってアクティベーション」を進めさせられる。しかし、OSMO POCKET 3と接続もしていなければ、シリアルナンバーのようなものの入力もしていない。アクティベートなどできるはずもない。
ちなみに最上部に表示された「DJI Mimo Camera G… アプリに移動>」をタップすると、かなり貧弱なトップ画面に遷移する。
引っかかってしまったことに気づいた後、2分悩んだ。「面倒くさいなぁ」と思ったからだ。しかし、すでにカード情報は洗いざらいBadGuysに渡ってしまっている。迷っている暇はない。気を取り直し、その場でカード会社2社に電話。決済の即時停止とカード番号の変更、再発行を依頼した。幸いその時点では2枚のカードとも、不正な利用履歴はなかった。
それでは、ドローンでは押しも押されもせぬ世界のトップメーカー、DJIの公式アプリが、なぜGoogle Playで検索できなかったのか。実はDJI、ファーウェイと同様、米中貿易摩擦の影響から、米商務省のエンティティリストに入っているからなのだ。掲載日は2020年12月22日。リスト入りすると、貿易上で厳しい取引制限が課せられる。その一環としてGoogle Playにアプリが掲載できなくなる。
1月18日現在、エンティティリストに掲載されているのは、中国企業やその関連会社を中心に90か国、9358の企業や団体に上る。これをいちいちチェックするのは事実上不可能だ。したがって、アプリをダウンロードする際には、まずメーカーなどが公表している公式ルートからダウンロードすることがきわめて重要、というわけだ。いまさらながら、だが。さらに、Google Playに掲載されているアプリであっても、間違いなくどこかに詐欺アプリが紛れている、ということも常に警戒しておかなければならない。やれやれ。聞くところによるとこの緑の「続ける」ボタン、いろんなアプリやサイトで頻繁に出現しているらしい。ご注意あれ。(BCN・道越一郎)
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