23年のスマホ市場は1月から99.8%と前年並みの水準でスタートした。3月から6月までは4か月連続で2ケタ減を記録。要因としては、前月に公正取引委員会が発表した「携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査について」の報告書の存在がある。端末の過度な割引販売を指摘したもので、キャリアの販売に影響を与えたことが考えられる。また、7月に総務省がソフトバンクに対し、「携帯端末と回線契約のセット販売で規制の上限を超えた割引をした」として行政指導を行ったこともマイナスに働いた。
また、5月に相次いだメーカーの動向も要因だ。21年から「BALMUDA Phone」を販売していたバルミューダが撤退を発表したほか、京セラが個人向け端末事業の終息を公表。富士通の携帯電話事業がルーツであるFCNTは経営破綻による民事再生法の適用を申請した。
国内勢が苦境に陥る一方、躍進を遂げたのはGoogleだ。 「Pixel 6a」(22年7月発売)と「Pixel 7a」(23年5月発売)の販売が好調で、シェアを大きく伸ばした。
8月の前年比は105.2%と一時的に盛り返したが、9月と10月は再び前年を割った。11月に入ると、総務省による端末割引規制の改正がニュースで取り上げられた影響で駆け込み需要が発生し、前年比は113.4%と2ケタ増を記録した。規制開始直前には販売数は更に急伸。12月の前年比は147.8%に達した。
23年は公的機関の介入に市場が翻弄された1年だったと言える。24年も1月1週目と2週目は前年を大きく下回った。23年末の介入の影響は続いているが、徐々に回復に向かうだろう。
Googleの台頭によるAndroid勢の激しいシェア争いは続く。一方、市場の約6割を占めるアップルについても不安要素はある。23年の販売台数は前年比88.9%と落ち込んだ。今後も円安が続けば端末価格の高騰は避けられない。
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