モバイルプロジェクターに明確な定義はないが、ここでは重さ1kg以下の製品をモバイルプロジェクターとして、販売状況を集計した。まず、プロジェクター全体に占めるモバイルプロジェクターの割合は、この1年で着実に拡大している。昨年5月時点では3割に満たなかったが、12月以降は3割台に突入。この5月には38.9%とほぼ4割の水準まで拡大した。この勢いはプロジェクター市場全体の活性化にも貢献している。今年1月まで台数、金額はともにおおむね前年割れの基調だった。
原動力は、アンカーが1月に発売した主力シリーズの新製品「Nebula Capsule 3」だ。2月以降徐々に売り上げを伸ばし、4、5月と2カ月連続でプロジェクターの販売台数シェアトップの座についた。ユニークな円筒形の筐体が目を引くこのシリーズ。新製品はGoogle TVを新たに搭載し、フルHD投影に対応しながら重さ1kgと可搬性に優れているのが特徴だ。内蔵バッテリでも動作するため、さしずめ手軽に持ち運べる動画表示装置ともいうべき存在。動画を一人で楽しむなら、スマートフォンやタブレットで十分。しかし、2~3人と複数で楽しむなら、もう少し大きな画面がほしくなる。そんなニーズにはまった。日常使いだけでなく、旅行やキャンプといった場面でも活躍しそうだ。
Nebula Capsule 3の人気はアンカーのメーカーシェアも浮上させている。
小型のプロジェクターは以前から数多く存在していた。しかし、なかなか売り上げが伸びず、ニッチなカテゴリーとして細々と存続していた状態だった。そこにアンカーがNebula Capsuleシリーズで参入し、潮目が変わった。コンセプトや基本性能もさることながら、実はその円筒形のデザインが市場を変えたのではないかとも思う。どれだけ新しい製品だと訴えても、形状が旧来と同じならインパクトは薄い。
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