【家電コンサルのお得な話・256】例年より早い6月27日の梅雨明け発表後、関西ではずっとうだるような暑さが続いているが、毎年この時期になると、どうしても心配することがある。それは、エアコンの冷房をつけないお年寄りが結構多いことである。


●「電気代がもったいない」高齢者に、命を守る1世帯5000円の支援
 私はガス機器販売などの営業同行でお客様宅を回ることも多いが、真夏でもエアコンをつけず、首にタオルを巻いたシミーズ姿の70歳代後半くらいの女性を目にすることが少なくない。大阪の下町特有のものかも知れないが……。
 顧問先では、エアコンを扱っていることもあり、失礼にならないよう「熱中症」についての説明を行い、エアコンの使用を勧めているが、なかなか素直に受け入れていただけないのが実状である。話を聞いていると、「電気代がもったいない」という主張に加え、「我慢できない暑さじゃない」といった、よく耳にする「高齢の方は暑さを感じにくい」ということが、ぴったりと当てはまっているようだ。
 最近の物価高騰により、余計に「我慢できるのにもったいない」という風潮が増強されているような気がする。
 そうした中、東京都江戸川区は、高齢者の熱中症リスク軽減と物価高対策を目的とした「熱中症・物価高騰対策事業」を実施する。これは、75歳以上の方がいる世帯に対し、7月・8月のエアコン使用にかかる電気代の一部として、1世帯5000円を支給する事業だ。所得制限はなく、1回限りの支給で、申請方法などの詳細は7月15日ごろに区のホームページで発表予定となっている。
 わずか5000円という金額は、実際にはエアコンの電気代に使われず、物価高の影響で食費など他の支出に消えてしまう可能性もある。それでも、こうした取り組みの価値を高めるためには、制度の存在をしっかりと周知し、エアコン使用の必要性を伝えることが欠かせない。
 また、自身や親が居住する自治体でも、同様の施策が実施されていないか確認するとともに、再度、年老いた両親へ「熱中症は命に関わる」という意識を浸透させていただきたい。事故はいつも「これくらい大丈夫」という油断から始まる。
しかし、世の中に大丈夫と言い切れることなど、一つもなく、後で悔やむことが多すぎるのも事実である。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
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