●あえてレンジ機能に着目して、マグネトロンを二つ搭載
象印マホービンの市川典男社長は「毎日使っていただけるオーブンレンジを開発した。30Lのフラッグシップモデルは各社オーブン機能に注目しているが、毎日使うレンジ機能があまり充実していない。そこに着目し、『ツインエンジン』という新しい独自技術で、オーブンはもちろん、レンジによるあたためムラの解消、時短調理の充実、解凍機能の向上を実現して、毎日使っていただける製品にした」と語る。フラッグシップモデルだからこそ、たまに使うオーブン機能ではなく、毎日使うレンジ機能を充実させるべき、というわけだ。
30Lクラスのレンジ機能では、庫内が広いのに一度にたくさんの品をあたためられない、あたためや解凍のムラが多い、あたためや調理に時間がかかる、オーブングリルの焼きムラが多いなどの不満があった。
原因は、オーブンレンジのサイズに関係なく、熱源としてのエンジンであるマグネトロン(300W)を一つしか搭載していないから。庫内が広くなるほど、中心部のあたために加熱が集中し、これがあたためムラを生んでいる。
そこでES-LA30では、エンジンであるマグネトロンを二つ搭載。通常の底にあるエンジン(150W)のほか、奥から出力するエンジン(150W)による「ツインエンジン構造」を採用した。合わせた能力は通常と同じ300Wだが、2方向から分散してあたためることで、あたためや温度ムラを抑えることに成功した。
もちろん、ツインエンジンの開発過程では、底と上、底と側面など、100通り以上の試験・検証を繰り返したが、最終的に庫内の温度ムラを抑える「底と奥」にたどり着いた。
●金属製と角皿と二つの赤外線センサー
ES-LA30のレンジ機能の進化では、もうひとつポイントとなる独自ツールの開発がある。それが、レンジ加熱で使う金属製の角皿だ。通常、金属製の素材は、レンジであたためるとスパーク(火花)が発生してしまうため使えない。象印独自の金属角皿は、スパークが発生しない厚みのアルミで、庫内と接触する部分を樹脂で囲うなどして使用できるようにした。
金属角皿により、庫内を上段と下段に分けて、最大4品を同時にあたためられる時短調理を実現した。しかも、上段と下段の温度を検知するために、二つの赤外線センサーを搭載。ツインエンジン構造と二つの赤外線センサーにより、上段と下段で異なる食材を同時にあたためられるようにしたのだ。
特に、同時あたためで困難とされる汁物のあたためもできるのは画期的だ。ごはんやおかずと一緒に、味噌汁や豚汁などの汁物をあたためられる。これも、上段と下段で別々に温度制御しながら加熱できるからこその成せる技だ。
実際、ユーザーは上段と下段の温度を調整できる。
●1品あたためも時短に、ひき肉の解凍もほろほろに
底と奥から加熱するツインエンジン構造は、同時あたため以外の通常調理にも温度ムラの解消と時短を促す。
1品をスピーディーにあたためる「すごはやWレンジ」は、幕の内弁当なら500Wで3分だったのが2分6秒に短縮、冷凍チャーハンなら600Wで3分50秒だったのが3分4秒に短縮した。
煮物や煮込み料理を時短でできる「Wレンジ」機能も搭載。温度ムラを抑えるのはもちろん、味が食材にしっかりとしみこむ。
「すごはや解凍」は、全解凍と半解凍のどちらにも対応。やはり底と奥の2方向からやさしく加熱しながら、かつ時短で解凍のムラを抑えて仕上げる。実際にひき肉500gを約6分で解凍し、庫内から取り出されたひき肉は手で簡単にほぐれた。
レンジ機能ばかりに注目してきたが、レンジとオーブンの合わせ技でオーブン機能も進化している。「すご技オーブン」では、鶏のローストやスペアリブなど厚みのある食材も、レンジで食材をすばやくあたためながらオーブンでうまみを閉じ込めて、焼き色をつける。
フラッグシップだからこそ、毎日使えるオーブンレンジに――。象印マホービンが満を持して発売するES-LA30は、30Lのオーブンレンジ競争で台風の目になるのは間違いない。(BCN・細田 立圭志)
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