●LABI池袋本店はLIFE SELECTの最高峰
LABI池袋本店は2009年、LABI 1 日本総本店池袋としてオープン。21年には家具やインテリア、生活雑貨も取り扱うLABI 1 LIFE SELECT池袋とリニューアルし、今回が2回目のリニューアルオープンとなる。
同店の近隣にはビックカメラが池袋本店と池袋カメラ・パソコン館、ソフマップ池袋店を出店しており、池袋駅直結の西武百貨店にはヨドバシカメラの出店が計画されている。
ヤマダHDは23年3月、ビックカメラ池袋本店のビルを挟んだ隣にYAMADA池袋2号館を出店したが、25年4月に同館をIDC OTSUKA 池袋ショールームに業態変更した。リニューアル後は約5000坪のLABI池袋本店と約1000坪のIDC OTSUKA 池袋ショールームの2館体制で同社の「くらしまるごと」を推進していく。
リニューアルオープンに先立って行われた説明会で、ヤマダHDの上野善紀代表取締役社長兼COOは「LABI池袋本店で目指したのは、家電専門店として50年以上の歴史を持つ当社だからできる圧倒的な品ぞろえと3世代が楽しめる提案型の売り場」と述べた。
今回のリニューアルでは特に情報発信を重視しており、店内にライブコマース専用スタジオを設けた。このスタジオでは「最新の商品情報はもちろん、商品をそのまま購入できるライブコマースやメーカー・地域のコミュニティとコラボしたさまざまな企画などを日々発信します」と語った。
さらに上野氏は「LIFE SELECTは当社が出店を加速している最新の店舗フォーマットですが、LABI池袋本店とIDC OTSUKA 池袋ショールームの2館体制がLIFE SELECTの最高峰と位置づけています」と結んだ。
続いて登壇したヤマダHDの子会社であるヤマダデンキの佐野財丈代表取締役社長は、各フロアのコンセプトを説明。各フロアはそれぞれで取り扱う商品がイメージできるような名称が付けられている。
●付けられた名称で各フロアのコンセプトがイメージできる
B2Fは『ワールド・ヘルス・ラボ』で、健康器具や医薬品、自転車などのフロア。B1Fは『TAX FREE&ワールド・ビューティー』で、佐野氏は「インバウンド需要もしっかりと取り込みながら、ヤマダデンキとしては初めての試みであるZ世代に向けた韓国コスメやお菓子などを集めた“Y LABO”を設けています」と説明した。
1Fは『モバイル・ワールド・テクノロジー』。スマホやアクセサリーに加え、リユースのスマホも扱っている。また、前述のライブコマース専用スタジオも同フロアにある。2Fは『パソコン・ワールド・テクノロジー』で、パソコンと周辺機器、デジタルカメラのフロア。「フォトスポットを見立てたジオラマも用意して、実際の写真を撮影してもらうことができます」という。
3Fはテレビとレコーダー、オーディオの『サウンド&ビジュアル・ワールド』。4Fは冷蔵庫と洗濯機、照明器具にリフォームコーナーも併設した『サステナブル・ライフ・スタイル』だ。
5Fはエアコンや季節家電、クリーナー、調理家電などの生活家電を集めた『スマート・ライフ・スタイル』で、6Fは玩具やガンダム、ゲーム、ガチャガチャなどからなる『ワールド・トイ・ステーション』というフロア構成だ。
質疑応答に立った山田昇ヤマダHD代表取締役会長兼CEOは「今回のリニューアルでは、日本を代表するような魅力のある店をつくりたいということで、満足のいく店ができたと思っています」と述べた。
また、前述の佐野氏は「今回のリニューアルは、ヨドバシカメラさんの池袋出店がきっかけというのは間違いありません。ただ、当社はこれまでLIFE SELECTを40店くらいオープンしてきて、いろいろな経験を積み上げてきました。その集大成として日本一の家電売り場を池袋でつくるという面もあり、池袋で初めて導入したことも多数あります」と話した。●Z世代に人気の韓国コスメなどを展示したY LABOを併設
では、各フロアでの新しい取り組みや他店とはちょっと異なる展示などを紹介しよう。B2F『ワールド・ヘルス・ラボ』の医薬品コーナーではヤマダの店舗で唯一、処方箋に対応した調剤薬局も併設。これはリニューアル前からの取り組みで、医薬品の品揃えはリニューアル前と比べて大きく増やしている。
SIXPADのコーナーでも品揃えを拡充し、フィットネスコーナーも座って運動できる器具が多い。これは高齢者を意識したとのことだ。
自転車も相当量の台数が展示されている。自転車を扱っているヤマダの店舗は全国で28店しかなく、車社会ではない首都圏の池袋はその28店の中で最も販売台数が多いという。リニューアル前は上層階に配置していたが、健康つながりという観点からB2Fに移動した。
B1F『TAX FREE&ワールド・ビューティー』の“Y LABO”は前述のとおり、Z世代に人気のある韓国コスメやお菓子、キャラクターグッズなど約7800アイテムを集めたコーナー。
インバウンド向けにTAX FREEコーナーも併設しており、同コーナーの奥にある約5000アイテムを集めた時計コーナーは、どちらかというとインバウンドの土産需要に対応する取り組みという。
理美容器具は約2000アイテムの品揃えで、新たにパウダールームを配置。最新の美容家電を実際に使ってみてから購入ができる体験・体感の場だ。
男性化粧品も含めた化粧品類は約1万アイテムの品揃えで圧倒的なボリューム感がある一方で、コスメはメーカー別の展示にもなっている。商品を発見する楽しさとともに目的の商品を探しやすい展示構成といえるだろう。
●自社工場でチェック済みのリユース商品も幅広い品ぞろえ
1F『モバイル・ワールド・テクノロジー』ではスマホアクセサリーが充実。左右にスライド式の什器を採用して、展示の高さを変えずに展示アイテム数を増やし、エリア最大級の品ぞろえをうたう。また、加熱式タバコのIQOSもコーナーとして展開し、新たに新作の商品を試せるスペースも設けている。
スマホは各キャリアの受付カウンターと最新機種を展示。リニューアルで新たに導入したのが、リユーススマホコーナーだ。店舗で買い取った商品を自社工場で動作確認し、クリーンな状態にした後、このコーナーでリユース商品として販売している。
フロアの奥にはライブ配信用のスタジオが配置されている。ここで撮影した映像は夜8時から同社のデジタル会員アプリにライブ配信されるほか、池袋本店の正面壁面に設置されている大型ビジョンでも流され、店舗の背面にあるサイネージでもライブ配信中の告知が流れる。
2F『パソコン・ワールド・テクノロジー』のデジカメコーナーには、フォトスポットに見立てたジオラマを配置。ジオラマを取り囲むように展示されているカメラで撮影して、カメラの機能やモードが試せる仕掛けだ。
PCはメーカー別に展示され、インテルやクアルコムのNPUを搭載したモデルの専用コーナーも配置。ゲーミングPCのコーナーも設けられ、リユースPCのコーナーもある。
TSUKUMOコーナーでは、オリジナルのPCやBTO、ゲーミングギアなどを展示し、ゲーマーやクリエイターのニーズにも対応している。
●冷蔵庫と洗濯機のリユース商品は300アイテム以上を展示
3F『サウンド&ビジュアル・ワールド』では幅広いAV商品の体験や比較ができる。壁面に配置した大画面テレビは、前方にソファを置いて視聴した際にどのように見えるかが体験できる。また、テーブルやソファをテレビとセットで揃え、自宅での視聴をイメージさせる展示も配置されている。
イヤホンコーナーでは試聴コーナーを充実させるとともにさまざまなタイプのイヤホンを揃えている。
壁際の一角には暗幕を使って室内を暗くした3つの部屋を配置。
4Fの『サステナブル・ライフ・スタイル』では、フロアのメイン商品である冷蔵庫と洗濯機のリユース商品も合わせて展示している。その台数は冷蔵庫が約120アイテム、洗濯機は約110アイテムで、これも前述のスマホやPCと同様に自社工場で再製品化したものだ。
冷蔵庫と洗濯機はいずれも10年以上使用する商品で、10年前の商品とスペック比較を行っている家電量販店は多い。一般的にはパネルやPOPでの比較だが、池袋本店では国内メーカーに限って10年前の実機を新製品の隣に配置し、実機での新旧比較ができる展示となっている。
さらに洗濯機ではメーカーのラインアップをフルで並べ、下位から上位までの搭載機能の違いが分かる展示だ。冷蔵庫はメーカーのカラーバリエーションを全色揃え、色見本では分からないような色味も実物のモデルで確認することができる。
リフォームコーナーでは各種のバスやキッチン、トイレなどが展示され、常設のリフォーム相談窓口も配置されている。
●試食や試飲ができるキッチンスタジアムを併設
5Fの『スマート・ライフ・スタイル』には、キッチンスタジアムを配置。平日は炊飯器やトースター、コーヒーマシンなどの試食や試飲ができ、土日はメーカーの実演イベントが行われるという。試食や試飲という体感・体験を通すことで、自分の好みにあった調理家電を選ぶことができるというわけだ。
エアコンコーナーはメーカー別展示になっていて、メーカーごとに設置されているモニターで商品の特徴などをアピールしている。
また、前述のリフォームコーナーとは別にエアコンと内窓を組み合わせた省エネ提案も行われている。省エネタイプのエアコンと内窓によりWの省エネを実現できる提案で、補助金も活用できることを訴求している。
クリーナーコーナーではさまざまなタイプを揃え、展示している全機種は通電している。その場で操作性や取り回し、動作音などが確認でき、ほかの機種との比較も可能だ。
6Fの『ワールド・トイ・ステーション』には、約500台のガチャガチャが置かれ、ゲートも設置してテーマパークのようなつくりになっている。壁面には大型のサイネージを配置し、新商品や人気の商品を映像でアピールする。
ガンプラコーナーの両サイドにはガンダムとトランスフォーマーの巨大なフィギュアを配置し、ワクワク感を喚起。ガンダム以外のプラモデルも圧倒的なボリュームで展示されており、子どもだけでなく大人も多く訪れそうだ。
ゲームでは常設のニンテンドーコーナーを設けている。任天堂が売り場づくりを監修し、BGMや床の装飾など、ニンテンドーの世界観を演出したコーナー展開がされている。ゲームにおいても体感・体験に力を入れ、SWITCH 2とPlayStation 5は実際にプレイできるスペースを設けた。
リニューアルでの新たな取り組みとして、トレーディングカードのコーナーにはテーブルと椅子を置いたデュエルスペースを配置。自由に対戦ができ、今後は対戦イベントなども考えているとのことである。
各フロアのみどころや新しい取り組みを紹介してきた。強く印象付けられたのは、広い売り場を効果的に活用した豊富な品ぞろえと体験や比較ができる売り場構成だ。家電量販店を訪れる多くのお客は商品の購入を主目的としているが、LABI池袋本店は各フロアを見て回るだけで、新しい発見やさまざまな体験ができる。
全フロアを回遊するのは、売り場が広いためそれなりの時間がかかる。しかし、時間をかけてでも見て回る価値がある店舗といえるだろう。同社が日本一の家電売り場をつくると意気込んでリニューアルオープンしたLABI 池袋本店は、ヤマダデンキが培ってきた売り場づくりの経験やノウハウが凝縮された店舗だ。(BCN総研・風間理男)
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