ビジネスマンたるもの、「水が一番おいしい温度」くらい知ってお...の画像はこちら >>



日本マクドナルド創業者・藤田田いわく――人間の精神活動にもっとも適切な温度は摂氏18度だといわれている。あるいは、水が一番おいしいのは摂氏4度である。

口のなかに入ってくるモノが一番おいしいのは摂氏62度である――ビジネスマンたるもの、これぐらいはそらんじることができなければ話にならない。要は「数字に強くなれ」ということだ。著書『勝てば官軍』(ベストセラーズ)より。(「勝てば官軍」シリーズ#3 / #1 #2 を読む )



■数字に強くなれ 

 ビジネスマンが数字に強くなければならないのは当然のことである。たとえば日本人は「今日はバカに暑いですね」とか「少し寒くなったようですな」とか、感覚的で曖昧(あい まい)ないいまわしをするが、そういう曖昧なことでは成功はおぼつかない。



 外気の温度は何度、室内の温度は何度と数字で示すデジタル温度計がある。その温度計を見ると、温度差がはっきり数字であらわれている。人間の精神活動にもっとも適切な温度は摂氏18度だといわれている。とすれば、部屋の温度を23度にする必要はない。勉強するときには18度ぐらいにしておき、テレビを見たり友達としゃべったりするときは23度ぐらいにすればいいのである。



 あるいは、水が一番おいしいのは摂氏4度である。口のなかに入ってくるモノが一番おいしいのは摂氏62度である。

そういうことを知っている必要がある。ただ漠然と「うまい」とか「まずい」とかいっていてもしようがないのだ。



 だから、わたしは朝起きるとすぐに、外気と室内の温度差が何度かと、温度計の数字を読む。そして、外はマイナス1度で室内は15度になっているとすれば、その差は16度もある、防寒具を持って出ないと風邪を引いてしまうといったように考える。



 時計を見て、いま何時何分かを正確に確かめることもいうまでもない。その時計も、時間がアバウトになりがちなアナログではなく、デジタルできっちりと数字を出すようにしないと、金儲けなどできない。



 マクドナルドの冷凍冷蔵庫の温度計もすべてデジタル方式に変えたので、マイナス20度にきっちり保つことができるようになった。



 数字に慣れ、強くなることは、金儲けの基本なのである。もしも、金儲けをしたいと思うならば、ふだんの生活のなかに数字を持ち込んで、数字に慣れ親しむことが大切である。生活のなかでは数字とは無縁でいて、商売のときだけ数字を持ち出してくるのでは遅すぎる。



 ところが日本人は、何事によらず、理論的に解明できないことに出くわすと「不思議ですねえ」と首をひねる。ひねるだけで、それ以上にはなにも解明しようとはしない。

たしかに、日常生活には「理屈では割り切れない」ように見えることはとても多い。わたしにいわせれば、だから日本人は金儲けが下手なのだ。



 そもそも「不思議」というのは数字の単位である。数字であるからには、理論的に解明できるのだ。



 数字の単位をあげてみよう。一、十、百、千、万……億、兆、京。ここまでは、誰でもわかる。問題はその先だ。京の次は垓(がい)、それから順に、杼(じょ)、穣(じょう)、溝(こう)、澗(かん)、正(せい)、載(さい)、極(きょく)、恒河沙(ごうがしゃ)、阿僧祗(あそうぎ)、那由他(なゆた)、不可思議(ふかしぎ)と、ちゃんと数字の単位として存在するのだ。不可思議の次が無量大数(むりょうたいすう)。(「塵劫記」による。96ページの表を参照のこと)



 つまり「不可思議」はケタが非常に大きいが、無量大数よりは小さな数字である。

数字に弱い日本人に、不可思議が数字の単位だと答えることのできる人が何人いるだろうか。



 数字というものは、具体的な形で見えるものではないが、生活のなかで慣れ親しむようにしなければならない。



『勝てば官軍』より構成〉

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