日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。


 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・?
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️



■瀬戸内海と日本海をつなぐ

大正3年の初公演以来、今も人気を集める宝塚歌劇団。現在は宝塚と東京に劇場がある。" />



《兵庫県の由来》かつて「武器庫」が置かれた地

 「兵庫」は「武器庫」の意味で、大化の改新の際、摂津国境の播磨関を守るため、武器を収める庫として設置された「兵庫(つわものぐら)」に由来すると考えられる。
 ただし、「兵庫」という地名の史料での初見は、長治元年(1105年)の古文書『橘経遠寄進状』に記された「兵庫庄」という荘園名になる。
 近隣には古代より瀬戸内海水運の重要拠点となっていた大輪田泊(おおわだのとまり)があったが、鎌倉時代になるとここが「兵庫津」と呼ばれるようになっていった。



《地名の由来》◉神戸(こうべ)神社に税を納めた集団

 「神戸(かむべ・かんべ)」とは、神社に属して租・庸・調を納めた集団のこと。
 神戸市の場合、生田神社に付属する集団が住んだ地域を「神戸」と呼ぶようになり、これがいつしか「神戸(こうべ)」という地名になった。



◉宍粟(しそう)「シシ」は動物の古語

 『播磨国風土記』には伊和大神(大国主命)が「舌を出した大きな鹿に会った(シシアワ)」とある。また、「鹿沢(ししさわ)」が「ししあわ」「しさわ」「しそう」に変化し、その間、「宍粟」の字があてられたと考えられる。
 現在、宍粟市と千葉県の匝瑳(そうさ)市が連携し、難読地名で町起こしに取り組んでいる。



◉宝塚(たからづか)幸せを呼ぶ宝の塚

 『摂陽群談(せつようぐんだん)』によれば、その昔、この地にはまわりで物を拾うと必ず幸せになれる「宝の塚」があったそうで、これが地名の由来とされる。
 また、「宝塚」という地名の初見は、宝泉寺の縁起帳にみられる山号の「宝塚山」。



◉武庫(むこ)都の向こう説が有力

 神功皇后がこの地に武器を埋めた伝承から「武器の倉庫」を由来とする説、一帯に「椋(むく)」の木が茂っていたことが起源という説、この地は難波の都から見て「向こう」にあたるという意味が転訛した説などがある。



(2020年一個人5月号から

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