ネットで格闘し、ときに炎上する男(*)——青汁王子、その実像とは⁉️
「フルーツ青汁」を大ヒットさせ、20代で年商131億円を稼ぎ出し、脱税容疑(法人税法違反)で逮捕されるなど、まさに急転直下「ジェットコースター」のような人生を歩んでいる三崎優太氏に、絶望と希望をテーマに、自らの人生で得た、その真実を赤裸々に語ってもらった。
シリーズ3回目は三崎氏が陥った成功からの「転落」とそこからの復活。
◼︎「広告が当たるから商品が当たる」という真実
【ここまでの「おさらい」】
高校時代に始めたアフィリエイトで1億円もの収益を上げ、18才で起業。株式会社メディアハーツの社長に。しかし、「人を雇う」ことの困難さに直面。貯蓄があっという間に2億から1000万円に減少。ここからいよいよ「青汁王子」の通販のドラマが始まる。年商130億のビッグビジネスへの「道」。その骨法を三崎氏が語る———。
三崎———貯蓄2億円があっという間に1000万円に減少したのです。「人は自分の意図通りに働いてくれない」ということは、会社経営する難しさとは、人だということに気づかされました。
ですから、この年、もう気力も無くなって、一人でビールを飲んで年越しをしたのを覚えいるんです。「それで、これからじゃあ何をしようか」とじっくり考え分析したんです。
株式市場で得た知識を生かして、企業分析をひたすらしたんですよね。そしたら僕が後にやる通販ですね。リピーター通販と言われていたのですが、その業態を、誰よりも早く見つけたんですね。「これだ!」と。それが後にD2C【注】って言われるんですけれどもね。
【注】D2Cは、Direct to Consumerの略で、消費者直接取引。 中間流通業者を通さずに、自社のECサイトを通じて製品を顧客に直接販売すること。 直接販売の一形態。
編集部——三崎さんがつかんだ「商法」とはどんなものだったのですか?
三崎———私はすでに広告アフィリエイトで実績を出していたので、「広告が一番大事だ」と考えていました。もちろん「何を、どうやったら売れるか」についていろいろ分析しました。そうしたら私なりの「答え」が分かってですね。
編集部———健康食品や、青汁という商品への思い入れがあったのですか?
三崎———まったくありませんでした。誤解を恐れずに申し上げますが、私の「青汁」へのアプローチは、「この商品ががいいから、当たる」っていう思い入れがあったからではないのです。はっきり言えば、私は青汁のシロートですし、商品に対する興味があったわけではないのです。今思えば、だから「成功した」とも思えるのです。
■広告が当たるから商品が当たる
編集部———「思い入れがないから、売れた」とはどういうことでしょうか?
三崎———例えば、「扱う商品に対する思い入れがあるから、売れる」ならば、商売というものが、「好きこそものの上手なれ」ということわざ通りになりますよね。でも、商売は、そんな簡単じゃないんです。たぶん世間の9割の方は、ここを誤解していると思うんです。よく「プロダクト・アウト」とかを言いますけれど、商品がいいから当たっていると思う人達は、大きな間違いをしてしまいます。もちろん、私はフルーツ青汁が「商品としていい」と思って投資し、世に出したのですが、しかし、商品がいいから当たるんじゃなくて、「広告が当たるから商品が当たる」と思ってたんですよ。そうしたら案の定、売れました。
編集部———「広告が当たるから商品が当たる」とはどういうことでしょうか?
三崎———そうですね。これは極論ですが、ネット広告が当時出せれば、この商品じゃなくてもフルーツ青汁じゃなくて、何を出しても売れたと思います。当時。それぐらいの「広告を出す方程式」みたいなものが自分なりにあったので売れたのだと思うのです。そしてたまたま出したのが「青汁だった」から、そうなった。
編集部———最初は青汁が「マズい」というところに気づいたわけですよね。
三崎———そうです。で、飲みやすい青汁を出そうかなと思ったんですけれど。しかし、それはきれいに言えば、その思いが「すっきりフルーツ青汁」の成功譚のきっかけと言った方が読者の皆さんにとっては腑に落ちる話だと思うのでしょうが、やはり、正直にお話ししたい。別に本当に、なんか商品の設計に対して思い入れとかがあって設計したっていうよりは、本当に広告先行で作ったんです。マーケティング先行で作ったんです。
編集部———たとえば扱う商品が青汁でなくても、なんでもよかったのですか。
三崎———そう。私にとって商売で成功するための商品は、何になるか分からなかったのです。たまたま青汁だっただけなんです。要するに広告を使って、ちょうど参入障壁の低い美容の中で、何があるかなと思って、フルーツ青汁って、飲みやすい青汁みたいでしょう、実際の青汁が「マズくて飲みにくかった」のでじゃあ行くしかない!みたいな直観です。でもその商売の環境よりも、裏舞台としては、私にとって広告をこうやったら絶対売れるっていう方程式があったんですよ。
編集部———なるほど。つまり、ビジネスモデルというよりも、自分の広告の計算式を実験し、成功したということなのですね。
三崎———そうです。当時、環境的にはスマートフォンで健康食品やサプリメントや化粧品を売るっていう文化が、まだあんまりなかったことも事実です。もちろん、大手はやってました。
編集部———月々での販売ですか。最初にお金をもらい、納品し続ける。
三崎———はい。それが結局、1年目で8億円、2年目で20億円ぐらいですね。3年目で130億円と右肩上がりで収益が増えていきました。
編集部———130億円まで行ったその後に、いよいよここで2018年の1月30日を迎えるわけですね。
三崎———はい。それで突然、ちょうど「マルサ」いわゆる国税局査察部が来たわけです。脱税の容疑による強制捜査です。
(「絶望と希望の真実」最終回:厳然とある不公平のなぜ——逋脱(ほだつ)率100%の上級国民は修正申告、私は刑事事件》へつづく)