■公選法違反という風物詩



 茨城6区から衆院選に立候補し、当選した自民党の国光文乃。選挙戦では岸田文雄が応援演説に入ったが、声援を送っていた聴衆は、日当で雇われたサクラが多かったそうな。



 「週刊FLASH 」は、自民党の支持団体である茨城県運輸政策研究会が、石岡や土浦など、県内の各支部に送った文書を入手。そこには、「また、参加者に対しまして、日当5000円/人をお支払いさせていただきますので、別添の名簿にてご報告を頂きたく、よろしくお願いします」とある。



 記事にある大学教授の説明によると、投票を期待して日当を支払った場合は「投票買収」、街頭演説会を盛り上げるために日当を払って観客を動員し、拍手や声援をおこなわせた場合は「運動買収」となり、いずれも公選法違反の可能性があるとのこと。「桜を見る会」ならぬ「サクラが見る会」と言っていた人もいたが、うまいことを言うね。



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 なお、安倍晋三主催の「桜を見る会」には、安倍に近い統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていたが、いろいろ終わっている。



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 公選法違反と言えば、他党を圧倒するのが維新の会。

今回も兵庫4区から出馬し比例復活した赤木正幸の運動員森宏成が公職選挙法違反(買収約束)容疑で逮捕された。森の孫の森弐奈も同容疑で逮捕。2人は共謀し、知人ら6人に対し赤木の選挙運動を手伝う報酬を約束したとされる。安定の維新クオリティ。



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 日本政策金融公庫の融資を巡り、貸金業の登録を受けていない事業者が行った仲介に公明党議員の公設秘書らが関与したとされる疑惑で、東京地検特捜部は公明党議員だった遠山清彦を任意で事情聴取した。遠山は事務所の関与や現金の受領を否定したという。

特捜部は8月、遠山の元秘書2人と前衆院議員の太田昌孝の元秘書1人が、事件に関与した疑いがあるとみて、太田の事務所と、遠山の元秘書2人が秘書を務めていた衆院議員吉田宣弘の事務所を家宅捜索していた。



 なお、遠山は、緊急事態宣言下に銀座の高級クラブで深夜まで知人と滞在していた問題で今年2月に議員辞職していた。仏罰は下るのか?



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 自公政権の9年間は、新自由主義勢力と政商、反社会勢力、カルトの複合体による国家・社会に対する総攻撃だった。それを固めていたのが周辺のメディアや広告会社である。ネトウヨとは右翼ではなくて、ネット上にウヨウヨいる情報弱者のことだが、そういう連中を洗脳誘導する組織もある。これは陰謀論ではない。

つい最近は、安倍や麻生太郎といった特定の政治家が有利になるデマや歪曲動画を個人(Dappi)を装った企業に制作させ、世論形成・世論誘導を行っていた疑惑が発生。自民党はまともな説明もしないまま総選挙に突入したが、「しんぶん赤旗」が国民の税金が使われていたことをスクープした。



 この企業は、自民党から少なくとも1100万円超の業務を受けており、東京都連の政党交付金使途報告書(16~18年、20年)によると、使い残した政党交付金を国庫に返さずため込んだ「政党基金」からも支払われていたという。



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 先日、『100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め!』(祥伝社新書)という新刊を出したが、産経新聞に書評が載った。おかげ様で売れ行き好調です。産経新聞社様、ありがとうございます。

本書では『徒然草』のハイライトの部分を引用し、その前後も含めた現代語訳を載せ、私のコメントを追加した。難しいことは書いてない。さらっと読んで、兼好法師の思想の全体像がわかる仕様になっている。



 なお、記事には《ニーチェに学んだ思想を土台に、日本人と日本社会に忖度(そんたく)することなく礫(つぶて)を投げ続ける著者が、兼好法師の『徒然草』を読み解いた》とあるが、私が礫を投げているのは、安倍とその周辺の国賊売国奴を支持することにより、日本を歪めてきた産経新聞なんだけどね。





■甘利明と枝野幸男の責任の取り方



 森友学園問題を巡る財務省の決裁文書改ざんで自殺した近畿財務局の元職員の公務災害認定報告書に関し、人事院が元職員の業務内容などを不開示とした決定を取り消した。元職員の妻側が明らかにした。

頭の悪いネトウヨのテンプレート、常套句に「いつまでモリカケやっているんだあ」というのがあるが、これからやるんだよ。



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 自民党幹事長だった甘利明が小選挙区で落選。比例で復活したものの、幹事長から退くことを表明した。衆院選の2日前には「私は未来を見通せる」「その私がいなくなれば大変なことになる」「未来は変わっちゃう」などと言っていたが、わずか数日後に自分がどうなるかは見通せなかったんですかね?



 岸田と安倍、麻生は再三にわたり「こんなことで辞めてどうすんだ」と慰留したが、翻意させられなかったという。私も甘利には続けてほしかった。まだまだ、いろいろやらかしてくれそうな人材なのに、もったいない。



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 総選挙で自民党は単独で過半数(233議席)を獲得。補完勢力の維新も改選前からおよそ4倍の41議席を獲得した。税金を使って国民を洗脳していた疑惑などが噴出し、直前には元法相が票の買収をしていた件で実刑判決まで食らっているのに、自民党は追加公認2人を含め公示前から15議席減らしただけ。



 選挙後、立憲民主党の枝野幸男は責任をとって代表を辞任したが、「枝野はよくやった」「枝野を責めるな」といった声が大量に出てきたのは腑に落ちない。今回、立民、共産、れいわ、国民、社民の5党は213選挙区で候補者を統一。それ自体は高く評価すべきだし、成果も出したが、この大きな流れを生かしきれなかったのが枝野である。党内の思考停止した反共勢力、支持団体の連合による共闘妨害を抑え込む力もなかった。これだけ自民党がボロを出しており、共産をはじめ周辺にお膳立てしてもらって、この最大のチャンスを棒に振った。野党共闘は続けるべきだが、反省すべき点は反省しなければ先はない。



 前回の総選挙後、自民党の幹部が「最大の功労者は野党共闘をぶっ壊した小池百合子と前原誠司」「小池と前原には足を向けて寝られない」と言っていたが、今回、自民党は枝野に足を向けて寝られないね。





文:適菜収