スイスのダボスで毎年1月に行われる「ダボス会議」。その名前は教科書にも載っているぐらい有名だ。
■成功者の会話からパージされる詐欺師
ダボス会議の舞台裏には、資本主義の最前線で熾烈な階層構造が広がっている。そこには、真の成功者たちと詐欺師たちが入り混じりながら、見えない壁が存在しているのだ。
参加者の中には数千億円の資産を持つ者もいるが、英語すら話せない大富豪が、他の成功者と自然に打ち解けている姿が印象的だ。奇妙な現象だが、人間というものは、似たような経済的バックグラウンドを持つ者同士で引き寄せ合う。成功者のコミュニティは言葉を超えた共通認識で結ばれ、そこに詐欺師が入り込む余地はほとんどなくなっている。
この地に詐欺師たちは当然のように世界中から集結する。名刺には「総理大臣アドバイザー」や「大企業特別顧問」など、いかにも信頼を誘うような肩書きを並べ、いざとなれば有名な投資家や政治家の実名を挙げてくる。
しかし、そんな小手先は真の成功者には通用しない。彼らは自然体でかつ高い視座で、ビジネスや資産管理の高度な話を進める。
もちろん詐欺師の中にもレイヤーがある。たとえば、戦前の日本軍が隠したという架空の資産話を用いて巨額の金を騙し取る“M資金詐欺”で名を馳せたようなツワモノもいる。彼らは、最初の一言でメッキが剥がれる二流、三流の詐欺師とは違う。しかし、一流詐欺師たちでさえ、数百億円クラスの真の成功者が集うダボスの核心部には届かない。
このような現実を目の当たりにしながら、参加者たちはダボスの価値を再確認する。ここはただの国際会議ではない。資本主義社会の最先端を行く精鋭たちが、リスク管理、資産運用、次なるビジネストレンドについて密に情報を共有する場なのだ。
成功者たちはとても慎重である。単に資産を築くだけでは生き残れないことを理解している。戦争や経済的混乱に備え、世界各地にセーフハウスやビザを確保することを当たり前のように行っている。
■「騙される力」にも秀でているの成功者の特徴!?
ここまでの話と矛盾するようだが、彼ら成功者は一方で「騙される力」にも秀でている。
本当に大成功を収めた起業家の多くは、たいてい過去に詐欺に遭った経験を持っているものだ。ビジネスを推進するためには、時にリスクを取ることも避けられないからだ。数百億円以上の資産を築いた数々の成功者たちも「一度や二度は騙されたことがある」と語っている。すべてを疑いながら進み、詐欺師を完全にシャットアウトするスタンスでもダメなのだ。彼らは詐欺師に貸す耳も持っているのだ。この絶妙なバランス感覚が重要となる。
今回のダボス会議には、日本からも複数の政治家が参加していた。デジタル大臣の平氏や国民民主党の玉木氏も姿を見せたが、残念ながら多くの日本人参加者は、現地のブースを積極的に訪れることなく、日本人同士の会話で終わってしまっていたようだ。
これまでも触れてきたが、ダボスで熱い議論が交わされたのが、AIと仮想通貨だ。AIに関しては、すでにアメリカと中国が市場を牛耳っている中、今後日本やドイツなどが入り込めるのはアプリケーション開発分野だと見られている。
仮想通貨ブースでは、泡銭を掴んだ詐欺まがいの投資家たちも少なからず見受けられた。無から有を生む仮想通貨の特性を利用し、一時的に巨万の富を築いた彼らが、ダボスの高級ホテルに詰めかけていたのだ。
そして、世界の流れを大きく揺さぶったのは、トランプ氏の登場である。彼はリモート参加で「アメリカで生産するか、関税を払うか選べ」と強硬姿勢を示し、ダボス参加者たちにショックを与えた。グローバル化が進む一方で、各国が自国主義に傾斜する時代。こうした流れの中、真に価値を持つのは、一国を越えて活躍できる才能ある人材だといわれている。
■資本主義の縮図がこの〝ダボス会議〟だ!
ダボス会議は、資本主義の縮図そのものだ。成功者、詐欺師、政治家、技術者、そしてアーティストが入り乱れるこの場で、世界の未来が密かに形作られている。だがそこに足を踏み入れるには、莫大な資産か特殊な才能が求められる。ダボスの核心に触れることができる者は限られており、資本主義の本質が残酷なまでに剥き出しになっていた。

文:林直人
p.s.ダボス会議の裏側(非制限エリア)でダボス会議の期間中1週間1億円でレストラン・会議室・ブースを含めた施設を目抜き通りで貸してくださるという物件オーナーを知っています。
日本人を代表してダボス会議にブースを出したいという方はyourmanifestojp@gmail.com
までご連絡ください。
(ダボス会議・世界経済フォーラムの正式メンバーでない企業の方は、ダボス会議・世界経済フォーラムの公式の支援・ブランディングは受けられないそうですが、とりあえずオーナーさんとのzoomミーティングを設定することは可能です)
文:林直人