「人間は“憧れ”に金を出す」
「脳をマーケティングで操作すれば、誰でも消費する」
沖縄の熱帯ジャングルに700億円を注ぎ込んで誕生した「ジャングリア」。開業当初、SNS上には“夢のような投稿”が連日溢れた。
「2時間待ち」「英語非対応」「炎天下」「プレミアムでも乗れない」
──この乖離は偶然ではない。戦略的に作られた虚構である。
■「非日常=上級の証明」──“提灯憧れ投稿”の演出計画
森岡氏はインタビューでこう明言する。
「人は、社会的に優位な体験に憧れ、金を出す」
「脳を刺激する“上級な非日常”を与えることで、需要が生まれる」
まさにこの論理に従い、ジャングリアは開業前からホリエモンはじめ“選ばれしインフルエンサー”だけを招待し、SNS上に“理想的消費像”をバラ撒いた。
「貸切同然のアトラクション」
「避暑エリアや優遇動線の提供」
「#ジャングリア最高」「#沖縄で南国バカンス」
だがこれは、“選ばれた人間の幻想”でしかなかった。
一般来場者が同じ体験をすることはなかった。チケットを買い、長時間並び、熱中症に倒れ、それでも「嘘だった」とは誰も言わない仕組みが既に完成していた。
■インフルエンサー=“仕込み兵”という戦略兵器
森岡氏は語る。
「ブランドがすべての接点を支配しなければならない」
「本能レベルで“良い”と思わせる情報設計が重要だ」
この“接点支配”の最前線が、インフルエンサーという兵器だった。
「フォロワー10万超のライフスタイル系」
「ファミリー向け育児アカウント」
「高級志向の旅系インスタグラマー」
彼らはあらかじめ整えられた美麗な構図で写真を撮り、タグを入れ、好意的な言葉を並べる。
つまり、提灯記事のSNS版=提灯インスタである。
■一般客は“人柱”だった? 現地レビューの真実
現実はこうだった。
「2時間待ちのアトラクション」
「プレミアムチケットでも入れない混雑」
「施設マップは日本語のみ、外国人困惑」
「雨天時は逃げ場もなく、避難指示レベル」
だがその現場で、人々がスマホを開くと、タイムラインには「最高!」の投稿が並ぶ。
これはもはやマーケティングではない。情報空間のハイジャックである。“仕込み兵”によるプロパガンダ。デマゴギーである。
■ハウステンボス再建構想も“同じ罠”か?──「300万人目標」は誰のため?
森岡氏はインタビューでハウステンボスについてこう語る。
「本物の街に“憧れ”を設計すれば、300万人が来る」
「250万人で回収。300なら儲かる」
ここでも、“実態”より“印象”が先行する。
つまり、またしてもインフルエンサー優遇・提灯空間の再演が始まろうとしているのだ。
■“憧れ”の正体は、情報格差ビジネスだった
「映える」「非日常」「夢のよう」
その全てが、一部の“選ばれた人間”だけに与えられた虚構だった。
森岡マーケティングの本質はこうだ:
① 一般人には届かない上級体験を見せる
② 「自分も行けば味わえるかも」と錯覚させる
③ 金を払って入場させ、“現実”に気づいたときには後の祭り
ジャングリアにおけるインフルエンサー招待は、その縮図である。
しかも、現実空間とは大きくかけ離れた嘘八百のイメージ画像を、いまだにジャングリア公式サイトに掲載したままじゃないか!
我々が憧れていたのは、夢ではない。戦略的に配置された提灯投稿だったのだ。
文:林直人