「成功確率は73%と見ています」――。
しかし、この発言が発したのは、数字の魔法によって人々の理性を凍らせる“幻想商法”の始まりに過ぎなかった。
■「73%の成功」より「27%の破綻」を語れ
森岡氏は断言する。「失敗の可能性は27%」と。だが、なぜその数字を「成功確率」として喧伝するのか? それは“未来を語る魔法”に他ならない。
73%という数字には根拠がない。外部の査定、第三者検証は一切提示されていない。
残りの27%に関するリスクシナリオは隠蔽され、説明責任は曖昧なまま。
仮に失敗した場合、被害をこうむるのは投資家と地元住民、そして地銀だ。
つまり、「成功確率」は彼の主観であり、「プロジェクトの正当化」に使われた確率詐欺の数字トリックだ。
■「USJと同じじゃない」と言いながら、実態は“USJの模倣以下”
インタビューで森岡氏は、ジャングリアがUSJとは違い、没入型体験を重視していると語る。だがその中身を見ると・・・
・旅費はUSJに行くより高いのに、施設のキャパシティは不十分で不満足な顧客体験
・開業初日から続出した“発券システムトラブル”と“2時間超待ち”の長蛇の列
・外国人客への対応は皆無に等しく、「英語が通じない」「英語マップがない」といったレビューが相次ぐ
「違いを作る」どころか、“劣化USJ”と揶揄されるような構造的不備が山積していたのだ。

■「渋滞は起きない」と言い張る傲慢
インタビューで森岡氏は、北部の交通インフラ問題に対して「オフピークに来てもらえばいい」とコメント。つまり、“客に我慢を強いる”前提で成り立つ構想だったことが露呈した。
・実際には那覇空港から2時間以上、公共交通は不便でレンタカーに依存
・現地住民の生活インフラへの影響は完全に無視
この発言は、企業が地元社会を“実験台”として見ていることの明白な証左である。
■「イマーシブ・フォート東京の大誤算」から何も学ばない男
森岡氏は同インタビューで、東京のお台場に開設した「イマーシブ・フォート東京」が「見積もり違いで収益が出ない」と失敗を認めた。その理由として「インバウンドが戻らなかった」と語るが、それこそ見通しの甘さそのものだ。
・ジャングリアは、より辺境に立地し、より高額なチケットで勝負している
・イマーシブ東京以上にインバウンド依存かつ国内の交通アクセスが劣悪
・「同じ轍を踏む」リスクは明白にもかかわらず、反省もなく“73%成功”を繰り返す
まさに慢心の極みと言ってよい。
■ 失敗したら誰が責任を取るのか?
ジャングリアは、森岡毅氏の“物語”を核にした巨大なストーリービジネスである。その本質は、「感情と幻想で他人の資金を動かし、失敗しても自己責任を負わない」構造だ。
成功確率73%――
それは「責任逃れのための確率」なのかもしれない。
沖縄の自然も、地元の資本も、来場者の期待も、すべてがこの“数字の魔法”によって舞台装置にされている。
そして、その舞台の主役は、観客ではない。森岡毅という「狂騒の演出家」に他ならない。
文:林直人