~とんでもないミスをして、仕事相手を怒らせてしまった~
仕事で、自分がとんでもないミスをしたために、仕事相手を怒らせてしまいました。とにかく謝り続けているのですが、いくら謝っても先方は怒り続けています。■「お詫びのしるし」を用意する
大人の対応には、いわゆる〝形式〞が重要視されます。ですから、とんでもないミスをしたという場合には、ぜひ、虎屋の羊羹を手土産にして(笑)、直接頭を下げに行きましょう。
虎屋の羊羹というのは、決して適当に申し上げているわけではありません。
虎屋というブランドには老舗としての長い歴史があり、それに比例するように、多くの重要な場面でも使われてきました。言葉では足りない謝罪の意を、羊羹のずっしりとした重みが補ってくれることでしょう。
また、謝罪の際には「お詫びのしるし」の手土産の他に、もう一つの手土産が必要になります。それは、取引上での代替案です。
「ミスをしてしまったお詫びのしるしに、値引きをさせていただければと思います」
「△の件に関しましては、無料とさせていただきます」など、先方にメリットとなる取引を、必ず用意するようにしてください。
■代替案で相手の怒りを和らげるそもそも、深刻なミスには、それなりの〝代償〞が伴うということを忘れてはいけません。
値引きや無料化など、それなりの代替案をきちんと用意しておけば、相手の「こんなミスをして、一体どういうつもりだ!」という怒りにも対応できます。
「こういうつもり」を用意しておくと、怒りもおさまるのです。
したがって、羊羹を差し出すと同時に取引上での代替案も差し出すことによって相手の腹の虫もおさまり、場合によっては「そうですか、そこまでされては逆に悪いような……」となることすらあるかもしれません。
代替案のない謝罪など、ほとんど意味がないのです。
怒っている相手にただひたすら頭を下げ続けても、仕方がないと思いませんか?
ですから、「今回、○の件では取り返しのつかないご迷惑をおかけしてしまいました。
ついては規模こそ小さくなりますが、△についてはぜひ御社とお取引をさせていただきたいと考えています」と、本来とは違う規模の取引だとしても、それなりの代替案を用意することによって、相手も「そうか、では△だけでも……」と怒りが小さくなるはずです。
■ミスを補うアイデアたとえば、あなたにもこんな経験はありませんか?
レストランで頼んだ最後の一品がなかなか出てこず、しばらく談笑しているうちに店を出る時間になってしまいました。
会計の際に、「最後のコーヒーが出てこなかったんですが、時間もないのでもう結構です」と、店員にその旨を伝えます。
その際、それを聞いた店員が「そうでしたか、申し訳ありません」と詫びただけで店を出されるか、店員が「しばらくお待ちいただけますか?」と店長の元へ走り、結果、「お詫びのしるしとしてこちらをお持ちください」とクッキーを持たされて店を出るか……。
この対応には、歴然たる差がありますね。
後者のように、ミスがあってもそれなりの対応をされたら、「ただでクッキーもらっちゃったな。また、何かの機会にはあの店を使おう」という気持ちにもなります。
このように、「ミスの代償として何が出せるか、何をすることができるのか?」という代替案を用意してこそ、大人の対応だといえるでしょう。
決して、言葉だけでその場を乗り切ろうなどと考えてはいけません。
大人ですから、しっかりと頭を使ってアイデアを練るのです。
■「損して得とれ」&「負けるが勝ち」もちろん、ミスを上司に報告する際にも注意が必要です。単純に「ミスをしてしまいました。すみません」では、上司も納得できません。
「すみません、私の不手際でこのようなミスをおかしてしまいました。
ついては、どのようなことでフォローできるか、三案ほど考えてみましたので、ご確認いただけますでしょうか?」。
このように、代替案込みで相談するようにしてください。
「損して得とれ」という言葉があります。
たとえ小さな代償だとしても、それによって〝人間関係が維持される方〞を選択することが大人の対応のポイントです。
「負けるが勝ち」もそうです。たとえば、送ったはずの書類が届いていないと先方から逆ギレ状態のクレームが入ったとしても、「そうですか、すみません。
自分が譲ることで相手が納得するようであれば、それでいいと割り切る。
しかも、こういう場合は、たいてい先方の確認ミスというケースが多いのです。
後から書類が出てきた際に「悪いことしちゃったなあ、あのとき対応してくれて助かった」というよい印象しか残りません。
「すみません」という謝罪の言葉が、〝口先だけではない〞ことを、しっかり先方に伝えるようにしてくださいね。
<『大人の対応力28』より構成>