かつて、だれもが夢見たであろうマイホーム。その夢は、バブルの崩壊によって庶民の手から遠のくことになるが、その時代に、大阪の郊外を中心に建設されたニュータウンが多数存在する。
我がBT編集部が、ことを知ったのは、このツイートがきっかけだった。
これは、不動産業界最大のツイッター集団、業界の裏事情から社会風刺まで、歯に衣着せぬ発言で話題となっている全宅ツイ。彼らが運営するクソ物件オブザイヤーでのつぶやきだ。
この案件は、少子・高齢化の波にさらされている日本の地方の今後の世界を象徴している事案なのかもしれない。
一体どのようなニュータウンなのだろう。

千里中央駅からバスに乗車するとすぐに、あたり一面何もない坂道に出迎えられる。よく言えば“のどか”、悪く言えば“殺風景”と言ったところだろうか。問題のニュータウンは、ここからまだ峠道をかけ上がった奥地。

時間の経過とともにさらに勾配とカーブがきつくなり、ふと視線を車内に向けると乗車客はみな眠りの世界へ誘われていることに気づく。「寝た方がいいですよ、酔いますから」と乗車客。彼女は大学生で、毎日往復4時間、年間数十万円の定期代をかけて市内まで通学しているそう。その先、車のすれ違いが難しいほど狭い山道を進んでいくと、希望ヶ丘が現れた。

山の中腹に広がるニュータウン。

さらに歩くと、希望ヶ丘四丁目のバス停でようやく地元民に出会うことができた。話を聞くと「昔はお店もあったけど、ここまで物資を運ぶのが大変だからか、どんどん閉店していって。そのせいか、周辺に空き家も目立ってきた」という。

住宅街の中だけ見れば何の変哲もないが、周辺施設・交通環境を踏まえれば、絶望ヶ丘と揶揄されてもおかしくない厳しい状況。そんな場所に作られたニュータウンだから、この時代、好き好んで新規で住民になる者はいないのかも。しかし吉報もある。近年この界隈は、新名神の開通や北大阪急行の延伸に向けて、開発が著しいエリアなのだ。近い将来、北大阪急行が新箕面駅までつながり、駅へと向かうバスの本数が改善されれば、“絶望ヶ丘”から“希望ヶ丘”に生まれ変わるかもしれない。

ところで、この話には、まだ続きがある。こんな数奇な不動産物件にまつわる、話が大好きな諸君!
2014年から2019年まで世間を騒がせた不動産取引の問題点を、物件ファンという一般の方でも理解できるように丁寧に解説し、さらに現場の今を追跡取材し、6年分の、喜劇、悲劇と化した不動産取引の真のストーリーを凝縮! あの『クソ物件オブザイヤー』が初めて1冊の本となって発売中!!
さらに、この忖度しない姿勢で臨む、お騒がせツイッター集団「全宅ツイ」著による作品が『クソ物件オブザイヤー』も含めた6冊同時で発刊という怒濤のラインナップとなっているので要チェック!!