今年も乾燥の季節がやってきました。今年の夏は厳しい暑さが続いた影響で、例年以上に秋の急激な気温と湿度の低下を感じる可能性が高いと考えられます。

季節の変わり目は肌の状態が不安定になりやすく、普段は気にしないという人でもニキビや乾燥、カミソリ負けなど、肌トラブルが起きやすい状態に。そこで、野村皮膚科医院院長の野村有子先生に、秋の敏感肌の予防やケアについて伺いました。

「季節ダメージ」×「日常ダメージ」=秋の“敏感肌”

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こ...の画像はこちら >>

 野村有子先生によると、「本来、肌は汗と皮脂が混ざり合うことで皮脂膜が作られ潤いが保たれていますが、気温が下がり発汗量が減ると、この潤いが急速に失われます。10月に入り湿度が下がると、さらに肌の水分が奪われ一気に乾燥してきます。ま、汗や紫外線による夏の肌ダメージがまだ残っているタイミング。これら『季節ダメージ』により、毎年この時期に肌の乾燥を訴える患者さんが急増します。さらに加えて、味覚の秋で食べ過ぎ飲み過ぎ、年末に向けての忙しさ、日頃の睡眠不足やストレスといった『日常ダメージ』が重なることで、“敏感肌“(=肌のバリア機能が低下し、トラブルが起きやすくなっている状態)になりやすく、男性はもちろん、女性もいつも以上に注意が必要です。」

 

■こんな生活をしている人は要注意!
“敏感肌”になりやすい生活・・・敏感肌チェックリスト

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~

●就寝はいつも深夜2時以降。慢性的な睡眠不足の方…せめて週3日は0時前に寝ましょう
「残業やスマートフォンの見過ぎ、飲み会などで、寝るのがいつも深夜を過ぎていませんか? 肌にとって理想的な睡眠は、22時~深夜2時のゴールデンタイム。一日最低6時間は寝ること。ただし忙しい現代人にとっては難しいこともあるでしょう。できれば週の半分は、0時前にベッドに入るようにしましょう。」

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~

●野菜不足の乱れた食生活の方…野菜がたっぷり取れる“お鍋”を積極的に取り入れましょう
「外食やファストフードばかりでは、野菜が不足し、栄養が偏りがち。これからの秋冬の季節には、“お鍋”がおすすめです。

肉、魚、野菜などビタミンやタンパク質、ミネラルなどあらゆる栄養素をバランスよくたくさん摂れるうえ、湯気で部屋が加湿されるので、お肌も潤います。お鍋一つあれば、一人暮らしの男性でも簡単においしく食べられるのもポイントです。」

●PCルームなど乾燥した部屋に長時間いる方…手軽な卓上加湿器を取り入れましょう
「職種によっては、乾燥したオフィスで一日中PCの前に座りっぱなしという人も多いはず。ただし広いオフィスでは、空間全体の加湿が難しい場合もあるでしょう。そんな時は、市販の卓上加湿器を置いて自分の周りだけでも加湿をしましょう。熱湯を注いだマグカップを置いても保湿効果が期待できます。」

●バスタイムは湯船につからず、シャワーのみの方…この時期はしっかり湯船に浸かりましょう
「朝晩のバスタイムをシャワーだけで済ませていませんか。特に男性は水圧の強いシャワーが好きな人も多いですが、これは肌表面の脂分を削ぎ落としてしまい、乾燥を招く要因に。なるべく湯船に浸かって、肌の潤いを保ちましょう。」

 

★女性はスキンケア用品を秋冬用に見直し

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~

「女性は洗顔石けんや化粧水などのスキンケア用品を秋冬用に切り替えることをおすすめします。ポイントは保湿力の高いもの。ただし、これは女性にも男性にもいえることですが、ニキビがある人は乾燥するからといって保湿しすぎると、油分過多で悪化することがあるので注意が必要です。皮膚は1か月かけて生まれ変わりますので、肌荒れ改善には最低1か月はかかります。これから年末に向けてクリスマスなどのイベントがたくさん待ち受けていますから、綺麗な肌で年末を過ごせるよう、今からしっかりケアをしておきましょう。」

★男性は、肌に優しいヒゲ剃りを実践しましょう

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~

「生活習慣に気をつけていても、肌のバリア機能が低下しているこの時期は、肌トラブルが起こりやすくなっています。とくに男性に多いのが、シェービング後の“カミソリ負け”。

ニキビや毛嚢炎(もうのうえん)、カサカサ、赤みなどの肌荒れがシェービングした部分にあれば“カミソリ負け”の可能性があります。上記の敏感肌チェックリストが一つでも当てはまり、カミソリ負けを起こしやすいという人は、今が毎日のシェービングを見直す絶好のタイミングです。何もつけずにいきなりカミソリでヒゲを剃ってしまっている方は、シェービングフォームやジェルをつけてヒゲを剃ってみてはいかがでしょうか。また、肌への負担を軽減する五枚刃や、ヒゲを剃りながら潤いを与えるジェル付きなど、敏感肌用のカミソリを使用するのもポイントです。肌に優しいシェービングで、肌トラブルを回避することができますので、年末に向けてキレイ肌の準備をしっかり怠りなくしていただきたいと思います。」

日々の保湿が肝心!
特に男性は、ヒゲ剃り後の“ゴールデンタイム”の保湿を

野村先生によると、「乾燥シーズンは肌の保湿をすることも“敏感肌”対策においては重要です。正しいスキンケアをしっかり行うことによって、トラブルが起きにくい肌を作ることができます。この時期は、刺激が少なく、保湿力の高いスキンケア用品を選ぶようにしましょう。また、普段あまりスキンケアをしない男性も、しっかりと保湿をして肌にバリアを作るようにしましょう。特に、カミソリを使ってシェービングをした後は、不要な角質が除去され、保湿効果がよりいっそう高まる“ゴールデンタイム”。男性は毎日ヒゲを剃ると思うので、シェービング後の保湿ケアをぜひ習慣にしてほしいです。面倒だと思う方でも、洗面所の見えるところにスキンケア用品を置いておけば、ほんの数秒の手間でできます。ただ、このとき注意してほしいのが、女性と男性の肌では水分量と油分量のバランスが異なるため、男性向けに開発された商品を使用した方が、より効果的であるということです。

男性の肌は皮脂が多く分泌されるため、化粧水で水分をたっぷり補うことが基本。そのうえで、特に乾燥を感じる部分には、乳液を付けることがポイントです。また、スキンケアだけでなく、バランスの取れた食事をすること、夜更かしを控えることなどの基本的な生活習慣を整えることも、健やかな肌作りには欠かせません。」

乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~
乾燥シーズン到来!皮膚科医が教えてくれた“敏感肌”対策 ~こんな人は要注意!!~

野村皮膚科医院 院長
野村有子先生

プロフィール
野村皮膚科医院院長・医学博士、日本皮膚科学会認定専門医。

1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。同大学助手、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務を経て、98年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。
「一人ひとりの患者を大切にし、最高の医療を提供する」という医療理念のもとに、あらゆる皮膚疾患についてていねいに説明をし、治療からスキンケアにいたるまできめ細かな指導を行っている。
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