7日間の恋を重ねる少女と少年に訪れた変化を描き出した映画『一週間フレンズ。
記憶障害という難役に挑戦した川口春奈。確かな演技力に基づく透明感を見せたこの作品におけるスタンスと恋愛観とは。
2月18日(土)の公開を前に、主演を務めた彼女にその撮影秘話を語り尽くしてもらった。写真を拡大 川口春奈 1995年2月10日生まれ、長崎県出身。2007年、雑誌『ニコラ』オーディションでGPを獲得。2009年に『三井のリハウス』『ポカリスエット』のCMで話題になり、月9『東京DOGS』で女優デビュー。近作に映画『にがくてあまい』やドラマ『Chef~三ッ星の給食』など。
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もし私が、長谷くんの立場になったとしたらーー。
インタビューを通して、揺らぎのない落ち着いた口調からは、川口春奈の女優としての真摯さと、責任感をもたらす俯瞰の目線がひしひしと感じられる。
川口 香織と私は全く似ていないんですけど、どの役も演じているとだんだん愛着が湧いてくるし、どんどん好きになっていくんです。特に香織は演じながら弱い面とか尊敬できる部分を発見するたびに自分の長谷くんへの感情をコントロールされるような不思議な感じはあったんですけど。決して似てはいないです(笑)。
そうして役と距離感の伸縮を重ねつつ、演じる役の気持ちと、全体におけるシーンの意味を計算。
川口 冒頭の電車のシーンでは、普段はあんまり笑わない子なんですけど、長谷くんが後で思い返して恋心を自覚する、初めての衝撃となるシーンなので、笑顔のほうがそうなりやすいかなと思って…。(撮影の順番がバラバラで大変だったのでは?)そうですね、でも、ほとんどの作品がそうなので…まだ撮っていない場面にイマジネーションを働かせながら、どこをどう作っていくのか考えるのがこっちの仕事でもあるというか。そこは想像しながらやっていましたね。
そして、そんな彼女自身にとっても、長谷は大いに好感を持てるキャラクターだったようだ。
川口 やっぱり周りの目を気にして、行きたいけど行けないっていう子のほうが多いと思うから…。自分の周りにも今どきこんなにピュアで純粋で真っ直ぐな子ってなかなかいないですし、演じながらすごく素敵だなって思いました。
好きなタイプを問われて「ないですね、好きになった人がタイプです」ときっぱり答えながら、急に我に返り「何か少し気持ち悪いですね…」と照れ笑い。香織の症状を思いやる長谷は、好意を持ちながら告白はせず、毎週「俺と友達になってください!」と繰り返すが、そこから恋愛関係に発展するのは個人的にアリ?
川口 アリじゃないですか? 全然アリだと思います。逆にひと目惚れとかも全然アリだと思いますし(笑)。昔から知っている仲でも今日知り合った仲でも、どう転ぶかは分からないので、最初からダメというのはないと思う。…というか、結局は相手によると思うので(笑)、そのとき、自分が良いと思うなら良いと思います。
もし仮に長谷の立場なら、「たとえ引くことになっても、想いは一度伝えたい」という彼女だが、物語はある男の登場でそうは行かず…。「演じてるときに長谷くんの顔を見たら、切なすぎて胸がキューンとなった」と語る、卒業式から屋上で迎えるラストまで、ふたりの心の動きに思わず泣かされる。
川口 映画も原作と同じくすごく無垢で純粋で、キラキラしているけどすごく切ないラブストーリー。主人公ふたりの関係性が徐々に変わっていくところや、それ以外のキャラクターがちょっと揺れるところも繊細に描かれていて…。私は試写を見て、演じているときに思っていたより切ない、悲しいって気持ちが分かった気がするし、この気持ちは学生だけじゃなく、いろいろな年代の方に伝わるものがあるんじゃないかなと思いました。自分にとってもすごく大事な作品のひとつになった気がするので、皆さんにも大事に観ていただけたらうれしく思います。