「国宝」という言葉が誕生したのは、今からちょうど120年前の明治30年(1897)のこと。「すべてが国宝、数十年に一度というレベルの展覧会」と、大きな話題を集めている「国宝展」(場所/京都国立博物館)が開かれるなど、今、国宝への関心が高まっている。
9月25日発売の『日本の宝』(KKベストセラーズ)から、「国宝びっくり豆知識」を紹介する。 

Qそもそも国宝とは何?

 文字通り、国民の宝。「文化財保護法 第27 条」によると、国宝とは「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」とある。

 重要文化財のなかでも特に歴史的価値、学術的価値が高いものが国宝に指定される。


Q国宝はいつからあるの?

 明治30(1897)年に「古社寺保存法」が制定され、重要な文化財が「国宝」と呼ばれるようになった。その後、昭和4(1929)年に「国宝保存法」が制定され、「古社寺保存法」で指定された国宝は、「国宝保存法」における国宝となった。このとき宝物類が3705 件、建造物が845 件、国宝に指定されている。

 戦後の昭和24(1949)年に、法隆寺金堂壁画が焼損したことをきっかけに「文化財保護法」が制定。このとき従来の「国宝」(旧国宝)は全て「重要文化財」とされ、翌年にその中から、あらためて「国宝」が選定された。これが現在の「国宝」(新国宝)の始まりだ。

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Q国宝は誰が決めているの?

 法律上、文部科学大臣の決定による。もちろん大臣が勝手に決めるわけではなく、手続きを経て指定される。

 まず、文化庁により、重要文化財の中から国宝指定候補が決められ、さらに調査が重ねられる。

 その後、文部科学大臣の諮問を受け、大学教授など有識者が文部科学省の文化審議会で審議を行う。

 その審議結果から、最終的に文部科学大臣が国宝指定をする。

監修:京都国立博物館
〈『日本の宝』より構成〉

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