この連載では、「ヌード」や「セミヌード」になった地下アイドルを紹介している。彼女たちはなぜ裸になる選択をしたのか。
そして、裸になったことは彼女たちにどのような変化をもたらしたのか。地下アイドルが身近な存在である人もそうでない人も、ぜひ見てほしい。援交、地下アイドル、ホス狂い、中絶…風俗嬢エリさんの波乱万丈な人生
地下アイドルが「風俗嬢」になって得たものの画像はこちら >>
 

 今回インタビューしたのは、現役風俗嬢のエリさん(仮名)。

 吸い込まれそうな大きな黒い瞳とふんわりとボリュームのあるダークブラウンの髪の毛が印象に残る彼女。話題がとても豊富で、コロコロと表情を変えて話をする様子はとても魅力的だ。

 そんなエリさんは、数年前まで地下アイドルとして都内のライブによく出演していた。グループでの活動、そしてソロ活動もしていて、ライブを見に来てくれるファンも多くいたという。それと同時に、彼女は風俗嬢として仕事もしていた。

 なぜ彼女はアイドルをしつつ、風俗の仕事をすることを選んだのだろうか。

バンド活動を経てアイドルへ

「もともと小さい頃から音楽が好きだったのですが、人前で歌うようになったのは高校時代からですね。ネットで知り合った人たちと、アニソンカバーのバンドを組んでいたんです 。2週間に1度はスタジオに入って練習していましたよ。

あとたまにですが、ライブへ出たりもしていましたね」

 最初はプロを目指していたわけではなかった。しかしバンドを通して自分の歌を人に聞いてもらう楽しさを味わった彼女は、本格的に音楽を学びたいと思うようになっていく。そして、高校卒業後は音楽の専門学校へ進んだ。

「専門学校では音楽の事を学びながら、色んな事務所のオーディションに受けることができました。私はこういう見た目だからか、アイドルグループのオーディションを斡旋されたんですよね。ハロプロとかが好きだったし、自分が歌える場所があればありがたいなって思って」

 オーディションの結果は合格。晴れてアイドルとしてデビューが決まった。

エリさんが風俗嬢になったわけ

 アイドルとして活動をスタートする時、実はもうすでに彼女は風俗嬢として働いていた。

「アイドルデビューが決まった時は21歳だったのですが、実は風俗の仕事は19歳からしています。きっかけは、成人式で着物を着たかったから。親はスーツでいいじゃないってスタンスで、お金を出してくれることはありませんでした。だからレンタル代の20万を稼ぐために風俗を始めたんです」

 目標額の20万は、たったの3日間で貯まった。

しかし、風俗の仕事は続けたという。

「学校の方からオーディションやライブのために急にスケジュールを空けてって言われることがよくあったので、自由出勤の風俗の仕事がありがたかったんですよね。その当時はお蕎麦屋さんでもバイトしてましたが、土日に急に休むとやっぱり気まずくて。だからそこは辞めて、風俗だけにしました」

 わずか19歳で風俗の道へ。いくら成人式で着物を着たかったからとはいえ、抵抗はなかったのだろうか。

「最初はアダルトグッズのモニターに応募したんですよ。オナニーが大好きだったので、それでお金がもらえるならいいかなっていう軽い気持ちだったんです。でも求人の人に“効率よく稼ぎたいなら風俗が一番だよ”って教えてもらって。サクッと稼げるなら、その方が良かったから。だから流されるままにって感じでしょうか(笑)」

 あまりにもあっさりと風俗の仕事をスタートさせたように思えたため、さらに深く聞いてみた。すると彼女は高校時代での経験を話し始めた。

「もともと高校時代に援交をしていたので、エッチなことに抵抗はあまりなかったですね。

お店を通すか通さないかっていう違いだけで。援交をしていた理由? 家に帰りたくなかったから。とにかく時間をつぶしたかったんですよね。お金をもらわずにエッチしたこともありますよ」

 援交で手に入れたお金で最初に買ったものは、浜崎あゆみのCDだったという。

地下アイドルは風俗嬢ばかり!?

 アイドルデビューが決まってからも、エリさんは風俗の仕事を続けていた。一般的にアイドルが風俗の仕事をするのはご法度のように感じるが、その点についてはどう思っていたのだろうか。

「そりゃ風俗で働いていることがバレたら事務所をクビになるかも、とは思いましたよ。でもレッスンやライブ、動画撮影などでなんだかんだ毎日やることがあるし、常にスケジュールを空けないと仕事がもらえない状態でした。それでいてギャラなんてないに等しいから、普通の仕事ができる環境ではなかったですね」

 では、他の地下アイドルたちはどうしていたのだろうか。

「実家住みの子はなんとかやりくりしてアイドル活動だけ頑張っている子もいましたが、一人暮らししている地下アイドルの子は何かしら私と似たような仕事をしていたと思います。私が所属していたアイドルグループの中にも風俗で働いているメンバーがいましたし。一緒にライブに出る他のアイドルの子たちもキャバクラやオナクラなどで働いているようでした。

そうじゃなきゃ、地下アイドルしながら生活するのは無理ですもん」

 エリさんの見解では、よほど売れているアイドルでない限り、成人していて、一人暮らしをしている女性は風俗関連の仕事で働いているとのこと。これが本当だとすれば、アイドルファンにとってはあまり知りたくなかった事実と言えるだろう。

ライブ活動を休止の理由は…

 専門学校を卒業後も彼女は地下アイドルとして活躍。主に都内のライブハウスでグループやソロで出演していた。しかし、そんな彼女がライブ活動休止を決断する。

「妊娠、しちゃったんですよね。相手はその当時、私の担当だったホストです。私は産むつもりだったんですけど、彼が逃げてしまって。それで結局、子供はおろしてしまいました。それ以来、アイドル活動はしてないですね」

 現在は効率よく稼ぐため、風俗嬢として出稼ぎをしながらホストに通う日々だという。彼女がホストに通い始めた理由はなんだったのだろうか。

「行った理由は、ホストが出演するテレビ番組を見て気になったから。

仕事帰りに時間があったので、歌舞伎町のホストへ一人で行ってみたんです。そしたらハマってしまって(笑)多い時は週5日ペースで通ってましたね。今通っているお店も当時と同じところですが、担当は妊娠させた人とはもちろん違いますよ! 行く頻度は前よりも減りましたが、使っている額は今の方が圧倒的に多いですね」

 ホストの話をし始めると、急にエリさんの目が輝きだし、話したくてたまらないという印象に。本当にホストが好きで、ホストに通うことが彼女の生きがいになっているのだなと感じた。

風俗で働く前の自分に戻れたら

 最後に、風俗嬢になる前の自分に戻ったとしたら、また風俗の仕事をするか聞いてみた。

「ノーですね。普通の人生を歩んだ方が良かったと思う。目の前で覚せい剤を使われたり、殺されるかもっていう経験を何度もしてるから。もしも大事な友達が風俗やりたいって言ったら、全力で止めますね」

 そう一気に話した後、彼女はこうも言った。

「あ、ただ風俗嬢になってなかったら大好きな今の担当とは出会えてないのか。だとするとちょっと微妙だけど…。でも出会うこともなかったら、好きって感情も生まれなかったですしね。

うん、やっぱり戻れたら風俗はやってないと思います」

 風俗嬢になったことで無理なくアイドル活動を続けられ、そして大好きなホストクラブにも通えている。しかしその代償は、もしかしたらエリさんにとってとても大きいものだったのかもしれない。もしも彼女が風俗嬢になっていなかったら…一体どんな人生を歩んでいたのだろうか。

編集部おすすめ