さて以前の本連載で、増え続ける外国人滞在者のために、英語の入った標識が導入されたという話を書いた。これだけ訪日者が増えているのだから、標識もそれに対応していくのは当然だろう。
写真を拡大 「STOP」の表記入りの「一時停止」標識こうしたグローバル化の流れに、一番対応が遅れているのはおそらく高速道路である。一般国道にはいずれも路線番号が振られているので、日本語がわからなくとも数字さえ追っていけば、一応目的地にたどり着ける。しかし高速道路には番号がなく、「東名高速道路」「中央自動車道」など漢字の名称のみであるから、外国人旅行者には非常にわかりにくい。もちろん日本人にとっても、「東名」「東北道」「東関道」などの紛らわしい名前を、時速100kmで走りながら見分けるのは、決して楽な芸当ではない。
ちなみに、日本の道路の番号と名称の使い方は全くバラバラである。国道は「国道1号」のように路線番号のみだが、都道府県道の多くは「神奈川県道21号横浜鎌倉線」のように、番号及び起点と終点を並べた路線名が併用されている。一方で都市高速は、「首都高速3号渋谷線」と、番号及び行き先を示す路線名という形式だ。どうしてこうなった、と思うほどの不統一っぷりなのである。
というわけで、高速道路にも番号をつけるべきという議論は以前からあった。ただし、利用者にわかりやすい、規則性のある付番システムというのはなかなか難しい。
そうした中、2017年についに高速道路のナンバリングが実施されることになった。注目の(?)番号の付け方は、並行する国道に合わせるという方法が採用された(マップはこちら )。たとえば国道1号(東京~大阪)に並行する東名高速と名神高速は「E1」、国道50号(前橋~水戸)に並行する北関東道は「E50」という具合だ。また、並行する国道がない高速道路には、E59~E98の番号が充てられることになった(国道59号~100号は欠番)。東京外環や圏央道などの環状道路には、「C3」「C4」というようにCが頭につけられる。
なるほど、わかりやすくするためにいろいろ考えたなあとは思ったが、このシステムでは同じ番号の国道と高速道路が近くに走ることになるから、案内の仕方次第では混乱を招くことにもなる。国道1号に行くつもりで東名高速に向かってしまったなどということのないよう、案内看板や標識も工夫が必要なはずだ。
そうした中、高速道路の路線番号入り標識が設置され始めたというニュースが入った。標識ファンとしては何より色めき立つ場面である。たとえば筆者の住む茨城県では、一般道の青い案内看板(通称青看)に、下のような形で路線番号(圏央道を示す「C4」)が入れられたものが登場した。

また、高速道路上にも路線番号が姿を表した。

このように高速道路上の案内標識は、ベースとして緑色が使用される。青色を基調とした一般道の標識と、一見してわかるよう区別されているわけだ。
【おにぎり型から発光タイプまで。「国道」のレア標識】 ■今までにない「どんぐり型」さてそうなると、国道標識や県道標識に相当する、単独の「高速道路番号標識」はないのだろうか。ネット上には四国や中部縦貫道あたりで設置されていたという話がちらほら出てきていたが、このほど茨城県にも登場した。やはりつくばジャンクション付近の常磐道で発見した、こちらである。

新標識は、縦長の六角形という今までの標識にないデザインであった。道路ファンは国道標識を「おにぎり」、県道標識を「ヘキサ」と通称するが、これは何と呼ぶべきだろう。とりあえずここでは「どんぐり」とでも呼ぶことにしよう。
しかしこうした高速道路の標識は、撮影が難しいのが泣き所である。
今のところ、このどんぐり型標識はまだ数少ない。また、国土交通省による「道路標識一覧」には掲載されていないので、正式なものではないのかもしれない。とはいえまだまだ低い高速道路ナンバリングの知名度を上げていくため、この標識の背負う役割は大きいことだろう。
なかなか見かけることはなく、見つけても一瞬で通り過ぎてしまう、幻のような緑のどんぐり。読者のみなさんも、ぜひ探してみていただきたいと思う次第である。
【幽霊が出る?「ビックリマーク」標識の噂は本当か】