この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。


【今回ご回答いただいた企業】
 ファミリーマート様


 ヒット商品がひとつ出ると、その類似商品が現れるのは世の常である。

 最近で言うと、エナジードリンク市場がそうかもしれない。日本にレッドブル(レッドブル・ジャパン)が進出して以来、同じような国内産エナジードリンクが数多く売り出された。
 
 これって、平たく言えば「パクリ」だ。オリジネーターのアイデアをまんまパクって「美味しいところ」だけいただこうとする。

 もちろん私の職場、テレビ業界も例外ではない。何かひとつヒット企画が生まれたら、他局でその類似番組が雨後のタケノコのように出てくる。皆さんもお気づきだろうが、ここ最近、海外で暮らす日本人を訪ねて行く番組がやたら多い。恐らく元祖は『世界の村で発見!こんなところに日本人』(テレビ朝日系)だと思われるのだが、テレビ東京でほぼ同時期に『世界ナゼそこに?日本人』という番組が始まった。

 どちらの番組も、何回かの特番トライアルを経てのレギュラー昇格。特番時代は別曜日の単発のオンエアだったのであまり目立たなかったのだが、レギューラー番組は同じ金曜日夜に重なっちゃったから、さあ大変。「どっちがどっちなの?」と混乱しているお年寄りの視聴者も多いんじゃないでしょうか。

 それだけでもなかなかなカオスな状態なのだが、そこにTBSで『世界の日本人妻は見た!』(毎週火曜夜)が満を持して(笑)スタートしてしまった。

一番後発だけあって、今度は世界で暮らす同じ日本人でも、奥さんに特化した企画に。柳の下のどじょう、3匹目である。

 これ何がすごいって、3番組ともそこそこ数字を獲っているのが驚きで、もともとのコンセプトが優秀だったという証明だな。

 ちょっと前までやたらめったら工場見学の番組が増えて「最近、よくテレビがうちの工場に来るわね~」ってパートのおばさんが言ってたって笑い話があったくらいなのだが、多分、いま世界のいろんな国で暮らしている日本人の元にも、各番組からオファーが殺到しているに違いない。最後まで生き残るのは、どの番組なのか? テレビ業界的には興味津々なのである。

 そんな中、今回のギモンである。ファミリーマートで売ってるプライベートブランド「ボクのおやつ」シリーズにある「チョコツリー」というお菓子。これ、どこから見てもあの大ヒット定番ロングセラー商品「きのこの山」(明治)そっくり。いや、まんま同じと言っても過言ではない。「世界で暮らす日本人」なんて目じゃないくらい酷似しているのだ。

 だから直接、ファミリーマートお客様相談室に聞いてみた。

「ファミリーマートで売ってる『チョコツリー』って、まんま『きのこの山』のパクリじゃないんですか?」

担当者 チョコツリーの件ですね。

(製造の)担当者の者に確認いたしまして、確かに、こちらの商品は「きのこの山」を参考にして製造させていただいているとのことです。

--(あら、あっさり認めちゃったよ!)明治がつくっている「きのこの山」まんまなので、怒られたりしないのかなと思いまして。

担当者 そうですね、今の段階では特に問題はないというふうに聞いておりますが(きっぱりと)。

--参考にしてつくっているということですね?

担当者 はい(あっさりと)。

--こういうのって、悪く言うと明らかに「パクリ」ですよね?

担当者 そうですね。そういった捉え方もされることはございます。このようなご指摘をいただいたということは、関係部署のほうにはお伝えさせていただきます。

--同じ「ボクのおやつ」シリーズのキャラメルコーンやポリンキーはちゃんとメーカーと提携して販売しているのに、なんで「チョコツリー」だけそうじゃないんですか?

担当者 申し訳ございませんが、その辺りに関しては、こちらではご案内は難しいです。あくまでも企業内の製造上の問題ですので、そういった開発に関わる細かい内容に関しては、こちらではご案内できかねます。

 あら、まさかの逆ギレ。でもやっぱりつくっているほうも「きのこの山、いんじゃね?」ってノリで思わず真似してしまったのは間違いないようである。

 実はテレビ業界には、そんな時に便利な魔法の言葉がある。

「どう見てもパクリじゃねーかよ」と指摘された時に、半ば開き直ってこう言い放つのだ。

 「これは、オマージュです!」

 そう、パクった相手へのリスペクトを込めてオマージュしているのだと。まったくタチの悪い開き直りではあるが、モノは言いよう。

「きのこの山」のオマージュお菓子「チョコツリー」、味はけっこうイケるので、一度食べてみてください。
(文=鮫肌文殊/放送作家)

【近況】
 夏休みに四日市と広島に遠征してアナログレコード漁り&8月のはじめに小西康陽さんら出演のDJイベントに出演と、趣味の大きな行事が終わって、猛暑の中ただいま抜け殻状態。今月の終わりに沖縄のお笑いコンクールの審査員に行って参ります。今から沖縄のレコードを漁るのが楽しみです。

●鮫肌文殊(さめはだ もんぢゅ)
1965年、神戸にて誕生。放送作家。『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)、『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)などを手がける。NOT地上波で、ちょっと面白い新番組やります。詳しいことはおいおい。

あと作家仲間の中野俊成と、東京銀座のコミュニティFM、中央FMにて毎週金曜夜8時から『決定! レコ歌ベストテン』の選曲&DJやってます。聴きたい方は、その時間に銀座までラジオ持ってきて聴いてください(笑)。

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