どんなクルマなのか?

 多人数で乗車できる3列シートのミニバンは人気の高いカテゴリーです。この中でも特に好調に売れている車種が、トヨタ自動車「シエンタ」です。

全長を4260mmに抑えた5ナンバーサイズのボディは最小回転半径も5.2mに収まり、混雑した街中でも運転しやすいです。

 その一方で、薄型燃料タンクの採用により、車内後部の床を低く抑えました。ボディが小さいわりに3列目シートも快適で、畳めば大容量の荷室になり、荷物を積みやすいです。実用性が優れています。

人気を得ている理由

 多人数で長距離を移動するならミドルサイズ以上のミニバンが必要ですが、短距離が中心のユーザーにはムダが増えてしまいます。多人数乗車の移動時間が片道30分程度なら、コンパクトなシエンタで十分でしょう。運転がしやすくて価格も割安、燃費も良いために、ファミリーユーザーの間で人気を高めました。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★★☆

 ボディが小さく全高も1700mm以下ですが、薄型燃料タンクで床が低いです。3列目に座っても窮屈ではないです。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★★☆

 薄型燃料タンクの採用で荷室の床面地上高も505mmと低いです。荷物を大きく持ち上げずに積めます。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★★★☆

 ミニバンではボディが小さく、最小回転半径も5.2mに収まります。

ただし、ななめ後方の視界は良くないです。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★☆☆

 車両重量が1300kgを超えるので、1.5Lエンジンでは加速力がおとなしいです。走行安定性は良いです。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 乗り心地は少し硬いですが、デコボコを通過したときの突き上げ感は抑えました。内装は価格のわりに上質です。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★☆

 ノーマルエンジンでもJC08モード燃費は20.2km/Lで、エコカー減税は取得税が20%、重量税は25%軽減されます。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 歩行者を検知できる緊急自動ブレーキ、ペダルの踏み間違いで生じる急発進を防ぐ機能などが備わります。

(8)価格の割安感

★★★★☆

 ノーマルエンジンのX(7人乗り)は181万6560円。緊急自動ブレーキやエアバッグを充実させて、約197万円です。

選ぶときに確かめたい3つのメリット

・床が低いので、3列目のシートにも快適に座れて荷物も積みやすいです。

・全高が1700mm以下なので、運転すると腰高感が抑えられ、安定性も優れています。

・トヨタ「ヴォクシー」などのミドルサイズに比べて価格が約50万円安く、燃費も良好です。

後悔しないための3つの要チェックポイント

・3列目を畳むには2列目も動かす必要があり、シートアレンジが少し面倒です。

・メーターの位置が高く、小柄なドライバーには圧迫感が生じます。視界も不満です。

・乗り心地が少し硬めです。登り坂の動力性能も含めて試乗車で確認しましょう。

こんなユーザーにおすすめ

 視界はあまり良くないですが、ミニバンではボディが小さくて小回りも利くため、コンパクトカーに近い感覚で運転できます。初心者ドライバーにも適したミニバンといえるでしょう。また、多人数で乗車する機会はあるものの、短距離に限られるユーザーにも適します。長距離でなければ不満は生じません。しかも、価格が割安で維持費も安く経済的です。

今後のモデルチェンジ予想

 現行シエンタは2015年に発売されました。今はフルモデルチェンジを行う周期が延びているので、今後2~3年は大きな変更を受けないでしょう。

緊急自動ブレーキには改善を加えて、歩行者検知も可能にしたので、基本的には今のシステムを維持します。細かな改良や特別仕様車の追加はありますが、購入時期を先伸ばしにする必要はありません。今が買い時です。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 冒頭でも触れたように、シエンタの人気は高いです。発売から約4年を経過しますが、小型/普通車の販売ランキング順位を見ると4~5位に入ります。ミニバンではボディが小さいために運転しやすく、経済的で、なおかつトヨタの全店(全国に約4900店舗)で買えることも魅力でしょう。

 購入時には、トヨタの4系列間でシエンタ同士を値引き競争できます(販売会社を統合した東京地区を除く)。下取り車の査定額、ローンを使う場合は月々の返済額も比べましょう。他メーカーの車種では、コンパクトミニバンのホンダ「フリード」を相手に、条件を比べたり競わせたりするのが効果的です。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 シエンタは人気車なので、数年後に売却するときの価値が大幅に下がる心配はありません。しかし、現時点でも発売から4年を経過しており、人気車でもありますから、3~5年後には現行シエンタが中古車市場に大量に流通しています。

 従って、数年後のリセールバリューは平均水準になるでしょう。

メーカーの見積りシミュレーションを見ても、残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残存価値の割合)は3年後で45%なので平均的です。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★★☆

 車内の広さや3列目シートの居住性は、ヴォクシーや日産自動車「セレナ」に比べると見劣りしますが、コンパクトサイズのわりには余裕があります。3列目のシートは、薄型燃料タンクの採用で、床と座面の間隔を相応に確保しました。3列目に座る乗員の足が2列目の下側に収まりやすいこともあり、膝の持ち上がる窮屈な着座姿勢にはなりません。各シートともにフリードと同等の居住性を備えています。

 そして、価格が割安で燃費性能も優れています。ただし、ハイブリッドは価格が割高です。ノーマルエンジンも燃費が良いですから、ハイブリッドの価格上昇分を燃料代の差額で取り戻しにくいです。買い得グレードは、ノーマルエンジンを搭載したXかGになります。後方視界があまり良くないので、試乗車を使って縦列駐車や車庫入れを試しておくと安心です。

(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

編集部おすすめ