24日に放送されたテレビ番組『あさイチ』(NHK総合)の特集「わが子のおちんちんの悩み むくべきか むかざるべきか」の内容が反響を呼んでいる。番組では乳幼児の「おちんちんのケア」に関して保護者が学ぶ教室の様子を紹介した。

特集は同番組の松岡忠幸アナの持ち込み企画だという。松岡アナが、「長男が生まれてから私自身、ずっと悩んでいたことなんですね。息子のおちんちんの皮を親が剥いてやったほうがいいのか。実は同じ悩みを抱えているお母さん、たくさんいたんです」と企画意図を説明した。

赤ちゃんの頃から剥くと清潔になる

 番組で紹介された教室では、泌尿器科医が赤ちゃんの頃から剥くことで清潔になるといい、炎症予防にもつながると解説している模様が放映された。教室に参加した母親からは「夫に相談してもわからないって言われる」との声も収録。また、道行く男性にもインタビューを実行し、剥く派と妻に任せる派、それぞれの意見を紹介した。

 森三中の大島美幸は「本当にこれいろいろ調べたり、男の子のいるお母さんに相談したりしてたんで、うれしいです」と感心する一方、博多大吉は「正直、見てられないよね。痛すぎるよ」「剥ける前のアソコってめちゃくちゃ痛いから。我慢できないよ」と困惑した様子だった。

 松岡アナは、「幼いうちは剥かなくてもよい」「10歳くらいになると男性ホルモンが出て自然に剥ける」という泌尿器科医の意見も紹介。その後、松岡アナは「私のおちんちん年表」として、自身がいつ頃剥けるようになったかも紹介していた。

 こうした放送にインターネット上では、さまざまな意見が飛び交った。基本的に賛成・反対というよりも、今回の企画に衝撃を受けた反応が多かった。

「泌尿器科医師など、医療・専門家でも意見は割れている。昔は男子乳幼児のを剥くよう指導していた医師も、今は剥いても剥かなくても大差なかった」

「手術しなくても大丈夫です!!!子育て中のママパパも必見!」

「だいたい日本は先進国で健康情報もあふれているのに、性器の手入れ方法や、名称さえ教える事が出来ていない。男児の包皮を剥くか剥かないかで議論している状態、滑稽でさえある。正しい知識もない人が多いから、成形手術のCMが毎日流され、若者が余計に悩んでしまう現実」

大事なのは「剥く時期ではない」

 医学的見地から見て、この問題をどう考えるべきなのか。東京都内の病院に勤務する小児科医は次のように話す。

「番組では剥く時期を強調する松岡アナに少し違和感を覚えました。子供にとって大事なことは『皮をいつ剥くのか』ではなく、ちゃんと洗って陰茎を清潔に保つことです。新生児は100%陰茎に皮がかぶった状態ですが、思春期を迎えて精通できるようになれば、その割合は5%ほどに下がるといわれています。

 番組で指摘していた尿路感染症や亀頭包皮炎などは、お風呂に入ったときにきちんと洗ってあげれば十分、予防できます。洗いやすいかどうかで言えば、剥けているほうが良いともいえますが、それでもお子さんのケースバイケースとしか言えません。

そこはかかりつけ医に相談してみてください。

 幼児期に割礼することが多いアメリカでも、手術そのもののリスクと炎症に罹るリスクを勘案した結果、手術の実施例は減少しています。

 また宗教的、文化的な背景も考慮する必要があります。例えば親がイスラム教徒の場合、子供にその儀礼を施すのは子供の自己決定権を侵しているのではないかという議論が米国にはあります。命にかかわる病気であれば、保護者が手術を決定しなければならいこともありますが、割礼はどうかという議論もあります。いずれにせよ、日本にもこういう話を気軽に話すことができる雰囲気はほしいですよね」

 ある意味、タブーともいうべき問題に一石を投じた今回の放送。しばらく議論はやみそうにない。

(文=編集部)

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