東京株式市場でワークマン(ジャスダック上場)の株価は7営業日続伸し、9月20日には7590円となり上場来高値を更新した(株式分割を考慮)。10月11日には一時、8910円(490円高)まで上伸。
ワークマンの時価総額は、ジャスダック市場で首位だった日本マクドナルドホールディングスを抜いてトップに立った。ワークマンは7218億円で、マクドナルドは7138億円。東証1部上場の三菱自動車やヤマトホールディングスと肩を並べるところまで急拡大した。
作業服と関連用品の専門チェーンを展開。8月の既存店売上高は前年同月比55%増と爆発的に伸びた。客数は34%、客単価は15%上昇した。猛暑の影響で空調ファン付き作業服など夏物商品が好調だった。アウトドアやスポーツ観戦に着用できるカジュアルなデザインの商品を増やしたことが、売上のアクセルの役割を果たした。9月はそれぞれ16%増、11%増、4%増と堅調に推移した。2019年4~6月期の単独決算の純利益は、前年同期比52%増の31億円だった。
10月からの消費増税で慎重な見方をする小売業界で、ワークマンは強気だ。20年3月期の売上高は19年同期比10%増の733億円、純利益は同11%増の108億円を見込んでいる。
躍進の原動力になったのが「ワークマン女子」。一昔前には考えられなかった現象だが、女性向けの商品開発や店づくりを強化したことが奏功した。女性向けの衣料品販売は19年4~6月期に前年同期比で2倍以上に増えた。「若者や女性向け商品の品揃えの充実が、既存店の客数増に直結した」(大手証券のアナリスト)との声も聞かれる。「機能と価格に新基準」というテレビCMも目立つようになった。
神戸物産神戸物産(東証1部上場)は、大ブームとなったタピオカの恩恵に浴している。大阪税関がまとめた19年上半期(1~6月期)のタピオカの輸入量は前年同期の21倍となるなど需要が急拡大した。タピオカとは、熱帯地域に生育するキャッサバという芋の根茎からとったでんぷんのこと。タピオカミルククティーを売る人気店には、若い女性の長蛇の列ができるほどだ。
「業務スーパー」を全国展開(8月末で838店)している神戸物産の18年11月~19年7月の連結決算は、純利益が前年同期比17%増の92億円。
7月の売上高(単体)は16%増と快走中だ。8月は12%増である。19年10月期(通期)の連結売上高は18年同期比6%増の2819億円、純利益は同4%増の108億円と、いずれも過去最高を見込んでいる。
タピオカブームで渋谷・原宿・表参道エリアは、インスタ映えする「カラフルタピオカ」の店が集まる激戦区となっている。「タピオカ関連銘柄」とはやされている神戸物産の株価は堅調だ。株価は年初の3000円台から右肩上がりに上昇、8月15日に6380円の年初来高値を付けた。株価は乱高下し、4900円(9月20日終値)まで下落した。その後、10月末の1対2の株式分割を発表。
一方で、「神戸物産の株価の動きが鈍ったら、タピオカブームの終焉の先取りになるかもしれない」(外資系証券会社の小売業界担当のアナリスト)といった、うがった意見が聞かれる。
(文=編集部)
【続報】
ワークマンは10月29日、2019年4~9月期単独税引き利益が前年同期比52%増の58億円になったようだと発表した。従来予想の15%増の44億円を14億円上回った。売上高は45%増の418億円。従来予想は329億円だった。株価は10月16日に9650円の上場来高値をつけた後、高値警戒感が台頭。株価は急落したが、それでも10月30日の終値は7840円。一時、8050円まであった。
PB(プライベートブランド)衣料を中心に扱う新型店「ワークマンプラス」を20年3月末までに167店に増やす計画だ。