アイドルグループ・欅坂46の絶対的エースに何が起きたのか――。

 独特の存在感で人気を獲得していた平手友梨奈が、グループからの脱退を発表。

“卒業”とは異なる表現に、ファンの間でさまざまな憶測が飛び交っている。

 欅坂46は2016年4月に『サイレントマジョリティー』でデビュー。同曲のセンターに抜擢された平手は、ブログに「嬉しいという気持ちは全くありませんでした。とにかく申し訳なさと不安とプレッシャーでしょうがなかったです」と綴ったことでも話題を呼んだ。

 従来のアイドルグループとは異なる雰囲気を放つ欅坂46の中でも、平手は圧巻のパフォーマンスで評価を高めてきた。一方で休業やイベント欠席を繰り返し、彼女の体調面に不安を覚えたファンも多い。たとえば、初の全国ツアーとなった2017年8月の神戸公演では、アンコール曲直前にステージから離脱。同年末の『NHK紅白歌合戦』では、パフォーマンス直後に過呼吸で倒れ、18年12月には精密検査で「仙腸関節不安定症」などの症状が判明している。

 また、平手は以前出演した歌番組『SONGS』(NHK)のなかで、“欅坂46に入って1番つらかったこと”を聞かれて「たくさんあります」と表現。“辞めたいと思ったことはあるか”との質問にも、「あります」と率直に回答していた。そのため、今回の脱退発表を受けて、ネット上には「精神的にも負担が大きかっただろうし、仕方がないと思う」「やっぱり、という印象。あれだけ体調に不安があって本人もつらかったんじゃないかな」とおもんばかる声が多く見られる。

 さらに、“卒業”という表現が使われていない点に疑問の声が相次ぎ、「脱退という言葉にはマイナスイメージがある。運営と揉めたのでなければいいけど」「卒業と脱退の違いはなんだろう。円満に決まったわけではないの?」と、心配する声も目立つ。

 グループの中心メンバーを失うことになった欅坂46。同じく人気メンバーだった長濱ねるが19年7月に卒業したのも記憶に新しいところだ。今回は平手の脱退発表と同時に織田奈那鈴本美愉の卒業、佐藤詩織の活動休止も公表されている。

 1月24日にブログを更新したメンバー・菅井友香は、「それぞれの意志の固さを感じました。本人たちの背中を押してあげることが1番だと思いました」とコメント。続けて「1度きりの人生、チャレンジしたいことには本気でぶつかって欲しい! 自分を大切にしてね」とエールを送っている。

平手友梨奈脱退は欅坂46にとって好都合

山口百恵AKB48ア・イ・ド・ル論』(宝島社)などの著者でアイドル評論家の北川昌弘氏は、平手の脱退は欅坂46がイメージチェンジするチャンスになると語る。

「平手友梨奈は、冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京系)などではほとんど見かけないですが、楽曲ではセンターとして圧倒的存在感を示してきました。普通のアイドルユニットであれば平手はとても不思議な存在でしたが、欅坂46のこれまでの躍進を考えると、その構造がよかったとしか言えないと思います。

ほかのアイドルユニットとわかりやすく差別化できたわけですから。

 そういう意味では、圧倒的なエースがいきなり脱退は、これから欅坂46がどうなっていくのか、不安を持って見守るしかないのですが、残ったメンバーにとっては、次は誰がセンターになるのか、とても大きなチャンス到来といえます。ファンとしても、誰がセンターになるのか固唾の飲んで待つわけですが、ここまで知名度と実績があれば、誰がなっても、そのために急激に人気がなくなるとは考えにくいです。誰を次期センターに据えて、どのようなイメージチェンジをしてくるのか、注目でしょう。

 逆に言えば、平手が脱退しなければ、センターを替えてイメージチェンジしても、多分、賛否両論巻き起こって混乱を招きかねなかったわけで、それによって平手や新センターが精神的ダメージ負うリスクを考えたら、今回の平手脱退は好結果を生む可能性が高いでしょう」

 卒業ではなく、あえて脱退という道を選んだ平手。決断に至った真意が、本人から語られる日を待ちたい。

(文=編集部)

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