--この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は林賢一氏が、レンタカーのガソリンに関する謎に迫ります。

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【ご回答いただいた企業】
ニッポンレンタカーサービスお客さま相談室

 世間は引っ越しシーズンが一段落したところだが、筆者は個人的事情で引っ越しをすることになり、久しぶりにレンタカーを借りた。

 荷物が少なかったので軽バンを借りたのだが、最近の軽バンはすごい。軽なのに非常によく走る。また荷物を多く載せられる。カーナビ搭載は当たり前で、iPhone接続ケーブルも完備している。筆者が学生時代に借りたボロい軽トラックとは、車のクオリティが違った。便利になったものだ。

 便利になったといえば、今はガソリンを入れずにそのまま返却してもよくなったが、昔はこのようなシステムはなかった。だが、ケチ根性がここで爆発してしまう。ガソリンを満タンにせずに返却した場合、走行距離に応じてガソリン代を精算することになるのだが、レンタカー店で設定されているガソリン代は、近くのガソリンスタンドよりもわずかに高い。

 ならば、ガソリンは入れてから返そう――。恥ずかしながら、そう思ってしまう自分がいる。
ここでふと、レンタカー店の担当者から説明を受けた最寄りのガソリンスタンドがけっこう遠かったことを思い出す。

 レンタカーの店舗から最寄りのガソリンスタンドが遠いと、満タンにしてからけっこう走ることになるため、店舗に戻るときには少し減ってしまっているのではないか。

 返却された際に満タンかどうか、お店はどうやってチェックしているのだろうか。返却する際にガソリンのレシートを見せるが、それで満タンかどうかを確認しているということだろうか。

 そもそも、前にレンタルした方が同じようにガソリンを補給してから返していた場合、筆者が借りた際にも少しは減っていたはずだ。

 うーん、もろもろ気になる。

●ガソリンの量はどう確認している?

 そこで、ニッポンレンタカーサービスお客さま相談室に直接聞いてみた。

「利用客がガソリンスタンドでガソリンを満タンにしても、店舗に返却された時点で少し減っているのではないかと思うのですが、貸し出し時にあらためて満タンにしているのでしょうか」

担当者 近場のガソリンスタンドで満タンにしていただいてから営業所へお戻りになった場合、その後に燃料を補充するということはありません。

--では、戻ってきたらそのまま次に貸し出すということですね。

担当者 そうですね。スタッフが再度ガソリンスタンドに自動車を持ち込んで満タンにしても、店舗へ戻ってくるまでに同じように減ってしまいます。

--それぞれの店舗で、ガソリンスタンドを指定してはいないですよね。


担当者 多くのお客様の声をお聞きしまして、ひとつのスタンドに指定されてしまうと、帰り道が逆方向だった場合などに不便だということで、特に指定はしていないのが現状です。

--店舗から遠い場所にしかガソリンスタンドがなかった場合はどうするのでしょうか。

担当者 店舗の近くにガソリンスタンドがなければ、どのお客様でも同じ条件ですので、そこで給油していただければ結構です。ただ、だいたい近くにあると思います。もし店舗から20km、30kmと離れた場所で給油された場合は、店舗に戻られた際にその分を加味して精算し、スタッフが近場のスタンドで入れ直すのが一般的です。

--それは、何km以内であれば許容されるといったルールはあるのですか?

担当者 営業所の立地条件によって異なってくると思います。店舗から5~6km離れたところにしかガソリンスタンドがない可能性もあるので、そのような場合は、その5~6kmが許容範囲になるでしょう。

--ガソリンの減り具合は、具体的にどのように確認しているのでしょうか。

担当者 レシートを確認させていただくことが基本です。お客様との信頼関係にもとづいて、たとえば常連様は計器を目視で確認するだけという場合も多いと思います。

--レシートを渡した際、走行距離とガソリンの量が合っているかどうかを店員さんは瞬時に判断しているということでしょうか。

担当者 ガソリンメーターを見て、満タンではないことが明らかにわかる場合、あらためて補給させてもらうか、もしくはお客様の許可をいただいて現金精算ということもあります。


--曖昧な部分もあるのですね。

担当者 そうですね。1リットルの狂いもないというほど厳密な運用をしてはいません。

--ありがとうございました。

 このように、答えは「満タンで返されたら、そこに店側が追加補充することは基本的にしない」、その他のルールは「けっこう曖昧」であった。

 ある程度の「信頼関係」の上に成り立ち、ルールにファジーさがあるということは素晴らしいと思う。むしろ、厳格なルールで縛られることが多い現代社会において、このファジーさは逆に貴重である。これからもレンタカー文化の発展のために、残し続けてほしいものだ。ビバ、ファジー。
(文=酒平民 林 賢一/ライター)

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