テレビ東京系で放送され人気を呼び、3月で終了したアニメ『おそ松さん』。日本ではオタク文化が社会現象になることも珍しくないが、ときにはマナーやモラルが問われることも。
同アニメは漫画家・赤塚不二夫の代表作の1つ『おそ松くん』が原作で、メインキャラクターの六つ子が大人になったという設定からタイトルが『おそ松さん』になっている。豪華声優や制作陣が集められ、主に女性視聴者のハートを掴んだ。瞬く間に話題作となったことで、関連グッズも続々発売。インターネット上でも譲渡や交換、買取などの取り引き募集が散見されるが、トラブルも勃発している。
今年1月末、オタク向けのフリマアプリ「オタマート」に1,500円で出品されていた「おそ松さんグッズ詰め合わせ」をめぐる問題が発覚。イメージ画にはパーカーや缶バッジなどが掲載されていたのに、購入者が実際に受け取ったのはキャラクターを意識したらしい色が雑に塗られたネイルチップだったという。
この被害はTwitterを中心にネットで拡散され、2月2日放送のテレビ番組『とくダネ!』(フジテレビ系)でも取り上げられた。番組では運営会社が出品者の売上金を差し押さえ、購入者に返金することになったと説明。また、弁護士によれば「出品者の悪意が認められれば『詐欺罪』(懲役10年以下)になる可能性がある」とのことだった。
さらに、2月14日には雑貨ショップ「サンキューマート」がコラボ商品を発売。ある店舗に行った20代のファンは語る。
「オープンと同時に一部の人たちがダッシュで店内へ。その後はグッズの奪い合いで、後ろからもどんどん押されて潰されるかと思いました。誰かの傘が体にささったり、足を踏まれたりもしました」
Twitterでも同様の証言が見られ、売り切れ後の店内の床に一般の商品が散乱した悲惨な状況を収めた写真がネット上に流れ、マナーの悪いファンへの苦言が寄せられた。また、同グッズがすぐに転売に出されていたことも発覚し、純粋なファンは怒りを露わに。
●高値転売も発生
一方で、列整備や整理券配布など店側の対応のまずさに関する指摘も。しかし、これについては以下のような声も多く、賛否両論が出ている。
「オタク専門店じゃないのにオタクの常識を押し付けるのはどうかと思います。もちろん行き届いた対応があればありがたいですが、お店が悪いような言い方は違うのではないでしょうか」(同)
また、3月にコンビニエンスストア「ファミリーマート」は、対象商品を買うとコラボグッズが貰えるなどのキャンペーンを開催したが、こちらも初日から争奪戦となったほか、すぐにネットで高値転売されていた。人気が出れば出るほど、こうした問題は避けられないのだろうか。
オタク界隈では以前から、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで東京ビッグサイトを使用する影響で、「コミックマーケット」が開催できない可能性が騒がれていた。この件については2月23日の東京都の定例会で、仮設施設を用意するとの対応策が打ち出されたが、今や海外にも誇れる「オタク文化」の発展には今後も期待しつつも、まずはマナーの見直しが必要と思われる。
(文=編集部)