コンビニエンスストアチェーン最大手のセブン-イレブンといえば、弁当やおにぎり、おかず類などの惣菜に定評があるが、その味は「結局、セブン-イレブンが一番美味しい」(50代主婦)などと主婦の間でも高い評価を得るほどだ。そのほかにも、「セブン-イレブンのお惣菜のクオリティの高さは、他社を圧倒しているように感じる」(30代男性)、「PB(プラベートブランド)の豆腐ひとつとっても、入念に商品開発していると感じる」(30代女性)、「おにぎりやサンドイッチなど、どれをとっても他のコンビニより“こだわり感”を感じる」(40代男性)など、絶賛の声が多いのは事実だ。



 では具体的に、セブン-イレブンと他のコンビニチェーンでは何が違うのだろうか。コンビニ研究家の田矢信二氏に話を聞いた。

「セブン-イレブンがなぜ多くの人に選ばれるのかというと、商品をつくる商品開発力が現段階で他社よりも優れているからでしょう。コンビニの商品は料理人がつくるわけではなく、工場でつくられます。では、工場で料理人の役割を果たすものが何かといえば、機械です。セブン-イレブンは機械の技術が一番高く、他社よりも優れた商品をつくることができるため、必然とたくさんの人が足を運んでいるというわけです」(田矢氏)

 たとえばサンドイッチ。セブン-イレブンの工場はパンをカットする機械に「丸刃スライサー」を導入しており、従来のものよりも断面がなめらかに仕上がるという。さらに、口当たりがしっとりするだけでなく、挟んだ食品とも馴染みやすいそうだ。

「今ではおにぎりはどのコンビニでも売れ筋商品ですが、実は一時期おにぎりが売れなかった時代がありました。その状況を変えるために商品開発に力を入れたのがセブン-イレブンなのです。セブン-イレブンは幾度の試行錯誤を繰り返し、果敢にチャレンジを続けました。その結果、おにぎりはコンビニの一番商品へと変わっていったのです」(同)

 顧客が求めるニーズにいち早く目をつけ、ニーズに合わせて商品開発ができる技術を身につけている変化対応力こそ、セブン-イレブンがコンビニの頂点に居続けられる理由なのかもしれない。


●健康面への配慮

「加えて近年セブン-イレブンの商品は健康面への配慮が顕著に表れています。たとえば、揚げ物でしたらコレステロールの低い油を使っていますし、サンドイッチならば『こだわりのツナサラダサンド』に使われているツナはカツオではなく、より脂の乗ったマグロを材料にしています。今、日本では健康ブームが起こっており、体にいいかどうかは商品を選ぶときの大事な基準になっていますから、消費者に選ばれやすいのも必然でしょう」(同)

 セブン-イレブンに主婦客が多いのも、子どもに食べさせても安全なように、健康に気を遣った商品を販売しているからなのかもしれない。

●ホテルのレストランのレベルを追求

 そして、田矢氏はセブン-イレブンに高品質な商品が多い理由を次のように分析する。

「投資によって絶えず商品力を磨き、よりおいしくなるように改良を重ねているからだと思います。たとえな、黒毛和牛(アンガス種)を利用しリニューアルした『金のハンバーグ』は、以前はファミリーレストランをマーキングした印象を受ける商品でしたが、リニューアル後はホテルのレストランを意識しているともいえるほどのレベルの味になりました」(田矢氏)

 では、セブン-イレブンが目指す理想のコンビニとは一体なんなのだろう。

「私が思うに、セブン-イレブンは“日常の最先端”であるとともに“最高級の日常”であろうとしているのだと思います。ホテルやレストランなどは基本的に高い料理や丁寧なサービスによって、オシャレな空間やトキメキ感という“非日常”を提供する場。ですので、日常的に利用しようとすると多大なお金と時間が必要となってしまいます。一方、コンビニの場合は週に4、5日も通うようなヘビーユーザーも多く、あくまで顧客にとって日常でなければいけない。セブン-イレブンは近くて便利なだけではなく、高品質の商品という付加価値を提供することで、顧客にとっての至極の日常を提供することを目指しているのではないでしょうか」(同)

 もはやコンビニは私たちの生活になくてはならない存在といっても過言ではない。だからこそ、日常に彩りをあたえてくれるセブン-イレブンは私たちの心をつかんで離さないのだろう。

(文=盛竜也、日下部貴士/A4studio)

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