無印良品が、実は大手スーパーマーケットチェーン・西友のプライベートブランドが前身だったということを、ご存知ない方も少なくないだろう。

 ブランド性を持たせないことで価格を抑えたい、という意味を込めて「無印良品」と名付けられたそうだが、シンプルながらスタイリッシュな商品も多い現在の無印良品を見ると、西友から生まれたとは想像もつかないかもしれない。



 無印良品を運営する良品計画が設立されたのは1989年。今や老若男女から支持されている人気ぶりは業績にも表れており、2018年2月期の営業収益は、前期比の13.9%増となる3795億円を記録。15期連続増収と絶好調なのである。現在では国内外合わせて928店舗(18年2月期の時点)を有する世界的なブランドにまで成長しているのだ。

 ちなみに、多彩な商品展開をする無印良品のなかでも、特に品質と製法へのこだわりが顕著に表れているのが食品であり、どれも評価の高いものばかり。

 しかし、こだわりすぎたがゆえに割高になってしまっているものや、一般ウケしづらくなっているものも、なかには存在しているのも事実。そこで今回、編集部では、700点以上販売されている食品メニューをリサーチし、無印良品の買ってはいけない食品を独断で選ばせてもらった。

●「素材を生かした シチリアレモンのクリーミーチキンカレー 180g(1人前)」/350円(税込、以下同)

 無印良品のレトルトカレーは、本格的な味が好評を博す大人気商品。しかし、本格的ゆえに、クセが強く好き嫌いの分かれやすいものもなかには存在している。

 たとえば、こちらの「シチリアレモンのクリーミーチキンカレー」。非常にマイルドな口当たりで、爽やかなレモンの香りがとても心地よい。ただ、美味しいといえば美味しいのだが、正直なところ、カレーっぽさがあるシチューといった印象だ。


 もちろん、この味が好みだという方は大勢いるだろう。しかし、辛さもほとんどないうえ、カレーとしては異質なレモンの香りが強いこともあって、一般的なカレーらしさを期待する方には、あまりオススメできない。

●「自分でつくる 組み立てる ヘクセンハウス」/1490円

「ヘクセンハウス」というのは、クッキーやゼリーを材料にして作られたお菓子の家のこと。クリスマスの時期ともなると、さまざまなメーカーから発売される商品なので、子どもがいるご家庭であれば、一度は購入してみようかなと思ったことがあるかもしれない。

 無印良品からも毎年発売されるのだが、その内容物は、サンタの砂糖菓子と、クッキーの壁、アイシングパウダーのみ。いってみれば“家の基礎部分”だけなので、豪華なお菓子の家をつくるためには、別途お菓子を購入する必要があるのだ。

 先述した通り、ヘクセンハウスのキットはさまざまなメーカーから発売される。家の基礎部分のみを無印良品より安価に販売しているお店や、多少高くても飾り付け用のお菓子まで含まれたキットを販売しているお店はいくらか存在しているので、コスパという観点で考えると、あまりオトクな商品とはいえない。

 無印良品のお菓子は原材料にこだわっているので、高品質であることは間違いない。しかし、ヘクセンハウスとはそもそも組み立てて楽しむエンタメ性の強いものであるため、若干値の張る無印良品で購入する必然性は低いといえるだろう。

●「台湾茶 凍頂烏龍茶 16.2g(1.8g×9袋)」/390円

 烏龍茶の一種であり、台湾で古くから愛されている凍頂烏龍茶。フルーティで華やかな香りと、苦みが薄く甘みの強い味わいが特徴的で、日本でもじわじわとブームになりつつある。
本商品は、そんな凍頂烏龍茶をティーバッグにしたものだ。

 凍頂烏龍茶をお安く手軽に楽しめるのはうれしいのだが、特徴である香りと味が若干弱めなのが残念なところ。凍頂烏龍茶を楽しみたいなら、少し値が張っても、もっと本格的な商品を買ったほうがいいかもしれない。

 また、これはこれで美味しいのだが、日本で一般的に飲まれている烏龍茶からは大きくかけ離れているという点も、留意しておいてほしい。人によってはまったく口に合わない可能性もあるため、烏龍茶のティーバッグという心づもりで買うのは避けたい。

●「【ネット限定】【まとめ買い】天然水500ml×24本」/2052円

 シンプルでスタイリッシュな見た目がかっこいいとSNSで話題になった、無印良品の「天然水」。

 普段からミネラルウォーターを愛飲している方のなかには、最もコスパのいい“水の仕入先”探しで苦労している人もいるのではないだろうか。ただ、結論をいうと、無印良品の水はあまりコスパがよくない。

 24本で2052円ということは、換算すると1本当たり85円ということになる。1本当たり50円程度のミネラルウォーターセットであれば、ネットストアなどを探せばそれなりに見つかるため、あえて無印で買う必然性は薄い。

 また、店頭での販売価格は、1本当たり90円。コンビニで買うよりは安いが、ドラックストアやディスカウントストアほど安くはないという微妙なラインである。
いずれにせよ、味やパッケージが好みという理由がない限りは、わざわざ買うべきではないだろう。

●「堅焼きビスケット レモン味 40g」/100円

「堅焼きビスケット レモン味」も、ここで紹介しておきたい。実はこちら、“無印良品のお菓子は素朴な味わい”という固定観念をひっくり返す、無印良品の異端児なのである。

 実際に食べてみると、甘さはまったくなく、代わりにレモン特有の酸味と苦味が口の中に広がる。つまるところ、レモンそのものの味がするのだ。もはやビスケットの食感をしたレモンと言ったほうが正しいかもしれない。

 実際、本商品には「おやつのつもりで買ったら全然おいしくなかった」などという口コミが多数寄せられている。ただ、同時に「レモンそのままの味でキツイのに手が止まらない」という“中毒者”も生み出しているようだ。ハマる人はハマるタイプのビスケットということだろう。気になるならば一度食べてみてもいかもしれない。

 今回は5つの食品を“買ってはいけない”と評したが、あくまでコスパや一般ウケといった、ひとつの側面から独断で評価させていただいたということは、改めてご了承いただきたい。もちろん今回紹介した5商品を好んで何度も購入しているという方も多いだろう。
気になる方は、ぜひチャレンジしてもらいたい。
(文・取材=山本愛理/A4studio)

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