どうも、私、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。マネージャー目線から見た芸能ニュースのウラ側をお伝えする本連載、昨年末まではwezzyというメディアでお世話になっておりましたが、2019年からは心機一転、こちらビジネスジャーナルにて引き続き、執筆させていただこうと考えています。

今後も、ちょこっとずつではありますが、芸能界の内幕をみなさまにお伝えしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!

 さて、とうとう始まりましたね、本年のNHK大河ドラマ! そうです、宮藤官九郎さん脚本の『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』です。みなさん1月6日に放送された第1回目、そして13日に放送されたその第2回目はご覧になりましたか?

 ご存じかもしれませんが、ぼく、ドラマが大好きなので今回の大河ドラマもとっても楽しみにしていました。だってクドカン脚本に中村勘九郎さん&阿部サダヲさんのW主演ですよ。おもしろそうな予感しかしないじゃないですか!

 案の定、初回は情報量たっぷり、濃い内容で軽快なテンポのクドカンワールド炸裂でした。主演のお2人、中村勘九郎さんと阿部サダヲさんの出演シーンはものすごく少なく、勘九郎さんに至ってはラスト5分前でやっと登場するという面白い構成でしたが……勘九郎さんが現れた瞬間、「待ってました!よっ、中村屋!」と思わず叫んでしまいそうなドラマチックな登場でしたね。最後のシーンで、帽子の染料が汗で落ちて顔が赤く染まってしまうという場面があったんですが、よく見るとその模様が歌舞伎の「隈取り」になっているなんてところも気が利いてました。

 そして、初回のメインエピソードとなっていた、“オリンピックの父”嘉納治五郎を演じる役所広司さんが「マラソンだ!」「マラソンしかない!」とアツく吠えるたびに「あれ? これ『陸王』(2017年、TBS系)だったっけ……?」と混乱したのはぼくだけではないはず(笑)。

 とにかくキャストがすごくて、すでに名前を挙げた3名のほかに、北野武小泉今日子星野源生田斗真森山未來神木隆之介橋本愛杉咲花杉本哲太竹野内豊古舘寛治平泉成、そしてまだ登場してないけど綾瀬はるか荒川良々勝地涼ピエール瀧……と、これでもかというほどの豪華な顔ぶれが並んでいます。

 さらに、あのオープニングシーンが撮影された明治~大正~昭和初期の街並みを復元したオープンセット! 何棟もビルを建てて、実際に路面電車が走ることもできる線路も敷いてあるという、とんでもなく豪華なものなんですけど、このセットも今回の『いだてん』の撮影に合わせて作られたそうです。水戸にあるワープステーション(マネージャーにはお馴染みの撮影場所ですね)にあるので、僕も一度見に行ってみたいですね~。めちゃくちゃ遠いけど。


●“のん”の前事務所訪問を「フライデー」がスッパ抜き

 で、キャストを見ればなんとなく気がつくと思うのですが……小泉今日子、橋本愛、杉本哲太、古舘寛治、荒川良々、勝地涼、ピエール瀧、平泉成…とくれば、そうです! 2013年に放送されて大ブームを巻き起こしたNHKの朝ドラあまちゃん』(NHK総合)と同じキャストがズラリ。今回の大河ドラマは脚本・宮藤官九郎、音楽・大友良英、制作統括・訓覇、演出・井上剛と、『あまちゃん』チームが再集結したことでも話題になっているんです。

 そうなると当然気になってくるのは、この連載の第1回目でも取り上げたアノ女優の動向ですよね。そう、「“のん”こと能年玲奈ちゃんの大河出演はあるのか!?」という問題です。ネットでも「このキャストで能年ちゃんが出演しないのはおかしくない?」「能年玲奈はいつ出るの?」と、能年さんを待望する声が溢れていますよね。

 ここで思い出されるのが、昨年10月に「フライデー」(講談社)にスッパ抜かれた「のんが、独立をめぐってモメた前所属事務所のレプロエンタテインメントに謝罪し、和解を申し入れた」という記事。これね、その記事にも書いてあったけど、NHKのプロデューサーは間違いなくのんちゃんを大河ドラマに出演させたいんじゃないかと思います。ていうかまあ、日本中がそれを望んでいますよね……。

 でもそのためには、前事務所と不義理な形で決裂という状態のままではマズイ。のんサイドにちゃんと前事務所への“筋”を通してもらわないといけない。それで、「ちゃんとレプロと話をつけてきてください」という話になったんじゃないかと。それで能年さんがレプロの事務所を訪問したところを「フライデー」にキャッチされた……というのが、あの記事だったと見て間違いないと思うんです。


●“情報漏洩”に不信感を抱いたレプロ

 その後の報道によると、「フライデー」に写真を撮られてしまったのは、和解を既成事実にしたい能年サイドからの情報リークだとしてレプロ側が激怒、和解も難航している、とのこと。レプロは「能年氏から、過去についての謝罪と、弊社にマネジメントを再度依頼したい旨の要望があり、本人との面会に至りました。しかしながら、なんら解決には至っておりません。なお、当事者しか知り得ないはずの情報が事前に外部に漏れ、このような記事が出たことについては、大変不可解であり、誠に遺憾であります」とコメントを出していました。いやあ、めちゃくちゃ不快感を露わにしてますよね……(笑)。

 これですね、何が問題だったかっていうと、やっぱり、写真を撮られてしまったということ。写真を見るとわかるんですけど、レプロって東京・目黒の大きなオフィスビルの中に入ってるんですけど、のんは、そのオフィスビルのエレベーターホールにいるところを「フライデー」に撮られている。そのタイミングでその位置から撮れるっていうことは、のんがレプロに出入りすることをわかったうえで、待ち伏せして撮った写真なわけですよ。しかもそのビルにはほかの会社もたくさん入っているわけで、「フライデー」がただ単にのんを張り込みしていたのではなく、レプロへの訪問情報をつかんでいたのは間違いないと思います。

 NHKとしても、もしのんちゃんの出演が決まったら、タイミングを熟考したうえで派手にサプライズ発表することだってできたでしょう。でも、まだ和解交渉がどうなるかもわからない時点で、「フライデー」に情報が流れて、それがオープンになってしまった……。そのあたりの脇の甘さを、レプロは不快に感じているんだと思いますよ。


●「給料5万円」は決定的な要因ではない

 そもそも、2016年の独立騒動のときにも、のんサイドは「『あまちゃん』に出演していた頃、給料は月5万円だった」「担当マネージャーが仕事を入れてくれなかった」など、当事者でないとわからないような内情を暴露していましたよね。あれもよくなかった。

 やっぱり、どう考えてものんちゃんは、おカネが原因でレプロのことがいやになったわけではないと思うんですよ。おカネはあくまでも、最終的にモメた要因のひとつに過ぎないのであって、根本にある問題は、レプロのマネージャーさんとか社長さんとかの態度に、のんちゃん的にどうしても納得できない、許せないものがあったってことなんだと思うんです。

 タレントと事務所の関係を、ぼくらはよく「家族」というようないい方で表現することがあるんですが、たとえば実際の家族でいっても、“親からもらってるお小遣いが少ない”とかでケンカすることはあっても、それだけでその家から出ていったりはしないじゃないですか。親から愛されてるという感覚を子がきちんと持てていれば、衣食住が満たされていてある程度の生活ができてさええれば、そう簡単に家出なんてしないですよね。

 逆にいえば、その家を飛び出すってことは、「この親のもとでは暮らしたくない」って、子の側が心の底から思ってしまった時。そんなときに、おカネの問題っていうのは、要素のひとつにはなっても、決して決定的な要因にはなり得ないように思います。

 で、おカネとかではなく感情のこじれでそういうふうにモメてしまったのだとしたら、タレントと事務所のどちらが悪いっていうと……ぼくの個人的な見解では、やはり“どちらも悪い”、つまり喧嘩両成敗だと思う。

●『いだてん』への出演もまだあり得る!?

 で、より重要なのは、どちらがいいとか悪いかとかそういうことではなくて、「そのあとどうするか」ってところですよね。いったん事務所とモメたとなれば、のんちゃんは、その後はなるべく周りに迷惑をかけないで辞めるべきだったんだと思う。だけど、そういった意味で、のんちゃんはよくなかった。
さんざんモメた挙げ句、音信不通になったりして、そういったもろもろの結果、いろんな人にたくさんの迷惑をかけてしまいました。彼女も当時は相当追い詰められていたとは思うし、感情的になってしまったのは仕方ないとは思うけど、前事務所とのトラブルが未解決な状態のまま、個人事務所の立ち上げを発表するのは…… なかなか厳しいですよね。やっぱりのんちゃん(とその周辺の人々)は、どこかで折り合いつけて、いろんな人に迷惑かけないようにしないといけなかった。

 今回も、結局変わらないままののんサイドのそういう姿勢に、レプロは不快感を持ったんでしょうね。ただ、報道では「和解の既成事実を作りたいがために、のん側がフライデーに情報をリークした」なんていうふうな分析もされていますけど、さすがにのんちゃんには、そういう計算はなかったんじゃないかな。ただ単に情報管理がされてなくて、思わずどこかで関係者が喋っちゃったとか、そういうことなんだと思いますよ。「フライデー」側も、その情報をつかんでしまったからには、芸能メディアとして撮らないわけにはいかないでしょうしね……。「フライデー」のあの報道さえなかったら、今頃「のんが大河ドラマで電撃復帰!!!」なんて、華々しく発表されていたかもしれないのに……あーあ、のんちゃんのあの才能を思えば、つくづく残念です。

 以前、彼女が「私の20歳という歳が干されて終わる」と事務所の社長に訴えた……という話がメディアに流出してましたが、20歳どころか、のんちゃんももう25歳。女優としてのいい時期であったはずの彼女を、地上波のテレビ放送で見れなかったのはホントにもったいなかったなぁ。
 
 でも、もしかしたらですよ? のんサイドとレプロの話し合いは続いているかもしれないし、なんならもう話がついていて『いだてん』への出演が決まっているかもしれない。そんな可能性もまだまだありますよね。


“ドラマ中盤の目玉”として、「ベルリン大会篇」に登場する水泳の金メダリスト・前畑秀子役としてのんちゃんが出演するという噂もありますしね……。そのうち、“バーン!”と発表があるかもしれませんよ! 楽しみに待ちたいと思います。

(構成/白井月子)

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