良くも悪くも話題のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』に、のん(本名:能年玲奈)の出演の可能性はもうなくなった――。こんな情報が、芸能関係者の間を駆け巡っている。



 のんといえば、出世作となったNHK朝の連続テレビ小説あまちゃん』(2013年、NHK総合)の大ヒットで国民的人気を博しながら、デビュー以来の所属事務所であったレプロエンタテインメントからの独立騒動を経て、活動名を本名の能年玲奈から「のん」に改名したことは周知の通り。以降、16年のアニメ映画『この世界の片隅に』における声優としての高評価はありつつも、多数の人気タレントを抱える大手芸能プロとのトラブルを抱える“爆弾女優”となってしまい、地上波テレビやメジャー級映画への出演は一切ないまま、25歳を迎えている。

「昨年10月には、古巣のレプロとの“極秘会談”を週刊誌『フライデー』(講談社)に写真付きですっぱ抜かれた。この情報がフライデーに漏れた原因がのん側にあるのではないかということでレプロ側が激怒、結局、のんのレプロへの復帰も、それに伴う芸能界のメインフィールドへの復帰もかなわないまま、舞台や音楽活動を中心とした活動を続けている。あれだけの才能のある女優が……“惜しい”の一言に尽きます」(芸能プロ関係者)

●『いだてん』“絶不調”で、高まるのんへの期待

 そんなのんの“復帰”が、昨年末以来まことしやかに囁かれてきたのは、今年1月より放送が開始された『いだてん』のせい。同作の脚本は宮藤官九郎、音楽は大友良英、プロデューサーに訓覇、そして出演陣には小泉今日子橋本愛杉本哲太古舘寛治荒川良々勝地涼ピエール瀧らが名を連ねており、これはまさにのんが世に出るきっかけとなった『あまちゃん』と重なる布陣。放送終了後には“あまロス”という名のムーブメントがSNSを中心に巻き起こるなどした同作の「あの感動よ、再び!」というドラマファンの期待も相まって、「『いだてん』で、のんが再び国民的女優として地上波ドラマに戻ってくる!」との観測は、ネット界隈のみならず、芸能ニュースでも盛んに流れた。

「単なる噂話ではなく、NHKサイドもかなり以前から、のんを『いだてん』に出演させるべく、いろいろと動いていました。大手芸能プロであるレプロに対する“不義理”を抱えたままではNHKとしては彼女を使えないため、レプロときちんと和解をするよう、のんサイドにも再三話をしていたといいます」(芸能誌記者)

 そしてさらに、彼女の『いだてん』出演への“期待”をより高めたのは、はからずも『いだてん』の“絶不調”である。

「初回放送時より視聴率はかんばしくなく、その後も『登場人物として、誰でもわかる歴史的有名人が出てこない』『ストーリーが複雑すぎる』など、ネットやメディアでさんざんの言われよう。2月10日放送の第6話では、“NHK大河ドラマ史上最速”という不名誉な速さで視聴率が一桁台を記録してしまいました(ビデオリサーチ調べで関東地区は9.9%、関西地区は8.0%)」(同・芸能誌記者)

 これに対し、NHK上層部までもが仕方なく反応。上田良一・NHK会長が2月7日の定例会見で『従来の大河の視聴者にはまだ受け入れられていないことはあると思う』と語れば、木田幸紀・NHK放送総局長も2月13日の定例会見で『わかりにくいといったところを、PRとか解説番組とか、いろんな形で補強』とコメント。
NHK上層部がいよいよ“テコ入れ”を明言したということで、「最大級のテコ入れとして、どんな手段を使ってでも『いだてん』にのんを出演させるのでは?」といった観測も流れてきたのである。

●のんはキャスティングされず、オーディションはすでに終了

 しかし、である。これに対し、「いや、のんの『いだてん』出演は、もはやほぼないだろう」との情報が、にわかに芸能関係者の間を駆け巡っているのだ。都内のあるキー局関係者が、声を潜めてこう語る。

「一部メディアも報じていましたが、NHK側が『いだてん』において“のんの役”として用意していたのは、ドラマの中盤以降に重要な役割を担う、女子水泳選手・前畑秀子の役。“ナチス・ドイツの宣伝大会”と揶揄されることも多い1936年開催の第11回ベルリン五輪において、女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した女性です。

 ところが、この役のオーディションがすでに終了しており、のんではない女優がその役に決まったらしいんですよ。このオーディションにはのんは参加していなかったということですから、おそらく、のんの出演がほぼなくなった結果として、このオーディションが開催されたということ。のんの『いだてん』出演、そして彼女の6年ぶりの地上波ドラマへの“華々しい復帰”は、さまざまな折衝にもかかわらず、実を結ばなかった――ということなのでしょうね」(同・キー局関係者)

 2月24日放送の第8回放送でも視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/関西地区は7.7%)と、記録的にはいまだ絶不調の『いだてん』。しかしながら、この第8回『敵は幾万』では、「少しずつ面白くなってきた」「泣けた」「さすがクドカン脚本」「今後が楽しみ」などといった評もネット上では散見されるようになり、ドラマ好きの間では評価も上向きつつある。

 思えば、平均視聴率20.6%、最終回の視聴率42.2%(共にビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、いまや“伝説的傑作”として語り継がれている『あまちゃん』も、NHK朝ドラの歴史から見れば、数字的には「記録的大ヒット」を残した作品というわけでは決してない。

 ドラマ好きの期待を背負い、まだまだ盛り返しの可能性をおおいにはらんだ『いだてん』。
平成最後のこの大河ドラマに、“のん”こと能年玲奈の名前がクレジットされることがもはやないのだとすれば――。『いだてん』の今後がどうなるにせよ、それは、一部のドラマファンにとってはおおいに悲しむべきこととなるであろう。
(文=編集部)

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