ミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者が麻薬取締法違反(使用)の疑いで逮捕されたことを受けて、芸能界に激震が走っている。特にインターネット上では、サブキャストに名を連ねているNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の対応に注目が集まっているようだ。



 名脇役として抜群の存在感を発揮していた瀧容疑者が逮捕されたのは3月12日のこと。その影響は多岐にわたり、冠番組『ピエール瀧のしょんないTV』(静岡朝日テレビ)は打ち切りが発表された。映画『居眠り磐音』(松竹)は代役を起用して撮り直すことで予定通り5月に公開するという。声優としてオラフ役を務めているアニメ映画『アナと雪の女王』(ウォルト・ディズニー・ジャパン)の続編(11月公開予定)も、公式サイトで声優の交代を発表した。

 一方、映画『麻雀放浪記2020』(東映)は観客の判断にゆだねるかたちで予定通り4月5日に公開すべく最終調整しているというが、すでに違約金や損害賠償は総額30億円とも100億円規模ともいわれている。

 NHKは、BSプレミアムで3月16日に放送予定だった映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(東宝)、23日放送予定の映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(同)、24日放送予定のドラマ『あまちゃん総集編 後編』の3作について中止を発表した。また、10日に放送された『いだてん』第10話の再放送(16日13時5分から)については、瀧容疑者の出演シーンをカットして放送するという。

『いだてん』で瀧容疑者が演じているのは足袋職人の黒坂辛作で、主人公の金栗四三(中村勘九郎)とのからみも多い重要な役どころだ。撮影はすでに3カ月先の放送分まで進んでいるため、ネット上では「作品に罪はないけれど、イメージ重視のNHKなら出演シーンカットも仕方ないのか」「黒坂は主人公にとってなくてはならない存在だけに、役が消滅するのは避けてほしい」「代役を立てるなら相当な名脇役を連れてこないと違和感しかなさそう」といった声が相次いでいる。

 報道によると、NHKはすでに瀧容疑者の代役探しに本腰を入れているという。ネット上では、「塚地武雅が合いそう」「青木崇高の黒坂役を見てみたい」「西田敏行でいいんじゃない」「遠藤憲一」「体格は違うけどコワモテなら寺島進」「大穴でムロツヨシか竹中直人」などと、早くも代役の俳優を予想する声が多く上がっている。

 また、なかには「劇中でも悪いことをして捕まったことにすればいい。
クドカンならやってくれそう」「志ん生役のたけしに『消えーる瀧』と言ってほしい。それぐらいのブラックジョークをNHKは許してほしい」といった声も。ちなみに、3月放送分(17、24、31日)の同作には瀧容疑者の出演シーンはないという。

 今回のケースに限らず、これまでにもさまざまな事情で代役が立てられた事例は多い。たとえば、明石家さんま企画・プロデュースのドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』(ネットフリックス)では、主演予定だった小出恵介が2017年6月に未成年女性との飲酒・不適切行為で無期限活動休止に。代役に玉山鉄二を起用して完成にこぎ着けた。

 16年に高畑裕太が逮捕された際には、出演映画『青の帰り道』(NexTone)が撮影中断・公開延期の憂き目に遭った。その後、不起訴処分になったことを受け、代役に戸塚純貴を起用して撮影を再開、公開に至っている。また、17年の映画『東京喰種 トーキョーグール』(松竹)にトーカ役で出演した清水富美加は芸能活動を休止して“出家”したことで話題に。「千眼美子」に改名後も女優活動を継続しているが、今夏公開予定の続編ではトーカ役が山本舞香にバトンタッチされている。

 海外でも代役などの対応が大きな話題になることがあり、日本でも人気の映画『ワイルド・スピード』シリーズもそのひとつだ。第7作を撮影していた13年、主演のポール・ウォーカーがプライベートで事故死し、その後の撮影では過去の映像を合成したり弟を代役に立てたりしている。
また、ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』では主演のケヴィン・スペイシーが性的暴行で訴追され降板。共演女優のロビン・ライトが主演に昇格した。

 果たして、『いだてん』の黒坂役は誰にバトンが渡されるのだろうか。
(文=編集部)

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