安価なのに高品質な商品がたくさん手に入る100円ショップ。なかでも「セリア」は、「ダイソー」と「キャンドゥ」と並んで業界大手3社に位置する人気ブランドだ。



 セリアは1985年に創業してからというもの、“100均ブーム”が爆発したバブル崩壊後を見事に生き抜いてきた。実直な企業努力により、今や加盟店を含め、日本全国で1506店舗を展開している(2018年3月末時点)。

 喫茶店や雑貨屋で使われていても遜色ない、シンプルでモダンな商品ラインナップは、若い女性だけでなく、“100均DIY”にハマる男性たちからの評判も上々。しかし現実的には、「オシャレだけれど使いづらい」「謳い文句の割に使い勝手がイマイチ」といったガッカリ商品も、いくつか存在するようだ。

 そこで「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」では今回、家のあちこちの道具を一新したくなるこの季節には不向きなアイテムを、独断と偏見に基づいて5つ紹介する。

●ハンガーラック窓枠用/108円(税込、以下同)

 最初に紹介するのは「ハンガーラック窓枠用」だ。心機一転の春、溜まった洋服の整理などに使えそうなものだが、いったいどこに落とし穴があるというのだろうか。

 このハンガーラックは折りたたみ式になっており、金属製の歯を窓枠に噛ませて固定するタイプ。窓枠が木製の場合は特にだが、歯をガッチリと食い込ませればその分だけ傷が残ってしまいやすいため、まずはこの前提条件を受け入れられるかどうかという問題があるのだ。

 それに、ハンガーラックのサイズは3段階にしか調節できず、もし自分の環境と合わなかった場合は、そもそも取りつけできない。さらに耐荷重も2kgと心もとなく、重めのコートとスーツをかけただけで、もう重量オーバーになってしまう。これだけ欠点が挙げられると、いくら108円と安くても買い控えたいものだ。


●トイレブラシふた一体タイプ/108円

 次に取り上げるのは「トイレブラシふた一体タイプ」である。トイレの水回りは油断しているとすぐに汚れてしまうので、だからこそしっかりとしたお掃除用具を揃えておきたいものだが、この商品では力不足感が否めないかもしれない。

 さすがはセリアというべきか、シンプルでミニマムなフォルムは客の購買意欲を掻き立てるものの、肝心なブラシ部分は密度が低く、スカスカした印象を受けるのだ。トイレ掃除のときは強めにこする人が多いだろうが、これでは先端が早々とヘタってしまいそうである。

 もうひとつ残念なのは、ブラシの収納ケースだ。収納部分がお椀状になっているため、掃除後の汚れた水滴が溜まり、雑菌が繁殖してしまいかねない。たとえデザインはセリアのほうが気に入ったとしても、トイレブラシは別ブランドの100円ショップで探すべきだろう。

●毛通れません/108円

 本来ならお掃除シーンで活躍するはずだった商品を、もうひとつ紹介しよう。それは「毛(もう)通れません」と命名された、お風呂場用の排水口フィルターだ。ずいぶんと自信たっぷりのネーミングだが、実際のところは排水口に固定しにくいという、かなり大きなデメリットを持っている模様。

 この商品は基本的に、細いプラスチック製のピンを排水口中央の溝に差し込むことで、フィルターの移動を防ぐ仕組みになっている。しかし中央に溝がないタイプの排水口では、他の中途半端な場所にある溝に差し込むしかなく、水圧が強いと、横に簡単にズレてしまうのだ。


 一方、排水口と床に段差がない場合は、流れていく毛が横から滑り込んでしまい、思うように毛を確保することができないのもマイナスポイント。また、排水口と壁の距離が近いお風呂場ではフィルターをハサミで切ってサイズ調整しないとうまくハマらず、この作業を面倒に思う人もいるだろう。「毛通れません」、もしかしたら名前負けしてしまっている商品かもしれない。

●泡立ちポンプボトル 350ml/108円

 続いては「泡立ちポンプボトル 350ml」。ワンプッシュするだけで泡立った洗顔料やシャンプーが出てくるアイテムなので、非常に重宝するかと思いきや、意外にもユーザーからは不評のようだ。

 まず、ポンプの空気穴の分だけボトルのスペースを空けておかねばならない仕様上、350mlという容量は見た目以上に少なく感じる。おまけにポンプのチューブが短く、四隅まで届かないため、中身を最後まで使い切るのが難しいという課題も。

 これに加え、もし空気穴に洗剤が入り込んでしまうと、ポンプをスライドさせる潤滑油がはがれてしまい、破損につながる恐れもあるという。「しょせんは108円」と割り切るならともかく、買い物上手を目指したいのであれば検討が必要だろう。

●spice bottle 7 hole/108円

 最後の商品は「spice bottle 7 hole」だ。レンガ状の外装が施された容器に、お好みのスパイスを詰め替えて使用すればオシャレなキッチンを演出できるという人気商品ではあるのだが、待ったをかけておきたい。

 第一のツッコミどころは、この容器のウリであるはずの外装で、レンガの隙間の目地には、使っているうちにどうしても汚れが溜まりがちなのだ。


 そしてもうひとつ、容器の口に大きな問題点がある。出っ張った部分を押し込むと、フタがテコの原理で開くつくりになっているのだが、浮いたフタが視界をさえぎってしまい、スパイスをふりかけるときにどれくらいの量が出ているのか見えづらいのだ。これは料理をする人にとって、結構なイライラポイントのはず。

 セリアの商品はオシャレで高品質なものが多い印象だが、必ずしもすべてがそうとは限らないらしい。108円という低価格に高望みしすぎているのかもしれないが、できることなら“地雷”を踏むのは避けたいもの。良品かどうかを見極められるようになれば、100円ショップでの買い物はより楽しくなることだろう。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

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