この分野における25年以上のリサーチ経験をもつカナダの微生物学者ジェイソン・テトロ(Jason Tetro)氏によると、細菌は私たちの恋愛に大きくかかわっているのだそう。
冒頭で触れたように、私たちは育ててくれた女性から細菌をもらいます。結果、体内にはそれぞれの環境に応じた、何千という細菌からなる「微生物叢」が形成されます。
食生活やライフスタイルの変化によってこれらの内在菌が消えてしまうと、体調を崩すことになる
のだそう。健康でいるためには、自分が育った環境で形成された「微生物叢」を保持する必要があるのです。
相手の細菌が自分と似ていると、キスでしあわせを感じるここで重要になってくるのが、パートナーとのキスです。
キスを交わしたとき、相手の口内の細菌が自分と似ているものだったら、幸福感と調和をもたらします。逆に、相手の細菌が似ていなかった場合は、不安を感じます。
つまり、私たちはキスをすることで、相手の細菌が自分の内在菌と似ているか、自分の健康を保てる相手かどうかをチェックしていることになるのです。
「素敵だと思っていた相手なのに、キスをしたらなぜか醒めた」なんて経験はありませんか? もしかしたら、細菌レベルで相手が自分に合っていないことを察知した可能性があります。デートで相手の食生活が気になったり、育った環境が知りたくなるのも、実は、相手が自分にマッチした細菌を持っているかを本能的に調べていたりして......。
Young couple via Shutterstock
(文/メーテル徹子)
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