Meeting Around Boardroom Table via Shutterstock

円滑な人間関係や人生の基本は「正直でいること」なんて思っていませんか。

仕事でもプライベートでも様々な人と関わらなければならない働く女性にとって、人間関係をどうやって良好に保つかは死活問題。

でも正直でいることは人間関係においてマイナスにはなってもプラスにはならないという意見があります。

アメリカの哲学者で『Love and Lie(愛と嘘)』の著者でもあるクランシー・マーティン(Clancy Martin)氏は常に正直でいるなどとんでもない!良好な関係を築くためにはウソは必要不可欠だと言います。

ウソが人間関係を円滑にする

人間関係は、考えていることを毎回そのまま口にしない方が長続きするのです。叫びたい時にも、気持ちを隠し、見せかけて、笑わなくてはいけないのです。要するに、ウソをつかなくてはいけないのです。

The New York Times」より翻訳引用

同氏の考えは極端にも思えますが、毎日生活していると様々な感情が入り混じるものです。一時の感情でネガティブな考えが浮かんでも、相手にそれを伝えず、自分の中で抑えるのは誰もが日常的に行っているのではないでしょうか。

研究によると、通常の会話において、私たちは10分毎に平均で2、3回ウソをついています。

 「The New York Times」より翻訳引用

なぜこんなに頻繁に嘘をつく必要があるのでしょう。同氏は思いやりと恐れが主な原因だと言います。

自分の子供が自分を信じられるようにと、教える数々の嘘、もしくはあなたの両親があなたに教えたウソを考えてみて下さい。 「なんでもなりたいものになれるよ」、「人生は楽になるよ」

The New York Times」より引用翻訳

親子関係のみならず、パートナーや友人との間でも、傷つけると分かっていることをあえて言わない、という場面も少なくありません。

例えば、体重が増えて悩んでいる人に、「すごく太ったでしょう?」と聞かれれば、「そんなことないよ」と答えるでしょうし、関係がマンネリ化してくれば「最近あなたに飽きてきた」と伝える代わりに、自ら新鮮さを保つ努力をすることもあるでしょう。

アメリカでは、思ったことをはっきりと口に出す人が多いイメージがあるかもしれませんが、実はそうではありません。たとえば、挨拶代わりの"How are you ?"に対しては、どんな状況であっても笑顔で"I'm fine, thank you"と答えます。

「実は大変なことがあってね」などと、長々と自分の話をしないのが暗黙のルールになっています。相手の気持ちや都合を考えず、自分の感情を表すよりも、負の感情をコントロールして常に穏やかでいる方が品格があると考えられているようです。

自分をよく見せるために他人を貶めるのは許されない

一方で、自身をよく見せる為のウソに関しては厳しいのもアメリカならではです。

最近ではアメリカ随一の人気ニュースキャスターであるブライアン・ウィリアムズ(Brian Williams)氏が、イラク戦争の取材中に自身をヒーローに仕立て上げる嘘のレポートをした問題が再燃し、NBCの看板番組である「NBCナイトリーニュース」の出演を6ヶ月間停止になりました。

発言の影響力が大きいキャスターとして公の場でウソをつき続けたことに加えて、命をかけて戦場に向かう兵士たちの気持ちを鑑みない同氏には批判の声が集まっています。

他人の気持ちを貶しめてまで自分を良く見せるためのウソは問題外ですが、相手を傷つけず、人間関係を円滑にするために、ネガティブな感情を取り繕う......。そんなウソを上手につくのは大人のたしなみと言えそうです。

The New York Times

(白石里美)

■ あわせて読みたい
年齢とともに美しくなる「あのスキンケア」の意外な真実
愛され肌になる近道。30代女性への男性のホンネ
女医さんに聞いた、デリケートゾーンの悩みとさよならするヒント
自分の時間が輝き出す。
スマートな人が実践するシンプル家事

銀河を救うマーベル映画が、ぼくに勇気をくれたんだ
編集部おすすめ