わたしもそのひとりですが、この本を読んで、そんなモヤモヤが晴れました。
いままでに人物インタビュー、ルポルタージュ、エッセイ、コラムなど、雑誌、新聞、ウエブ媒体など多方面で、のべ2,000人以上の方にインタビューされてきたライターの森綾さん。その中でもとくに心に残っているインタビューをまとめた書籍『一流の女が私だけに教えてくれたこと』が発売になりました。
「自分で道を選び取ってきた女性たちの言葉には、はっと目の前が開けるような思いがすることがありました」と森さん。本の中では、黒柳徹子さんをはじめ、加藤登紀子さん、黒木瞳さん、鈴木保奈美さん、田辺聖子さん、野際陽子さん、安田成美さん、山本容子さんといった著名人、そして、仕事のプロの女性たちが登場します。
実際に彼女たちに直接お会いして、打ち解けあいながら、言葉を引き出してきた森さん。インタビューを通して、一流の女性たちに共通するものは、どんな点だったのか、お聞きしました。
まず、こまやかな観察眼をもとにした心配りがあるんです。現場では、アシスタントの行動に至るまで、全て見えているようなところがありますよね。そして、とてもやさしい。例えば、周りのスタッフに対して、時に厳しいことを言うけれども、それは、スタッフたちのことを思っているからであって、悪いところはちゃんと指摘をする。それだけみると怖いようにもみえるんですが、それは、やさしさからの言葉なんだと思います。
そして、みなさん「まだ次の自分」を信じてがんばっていらっしゃいます。
ある程度のポジションを確立された方でも現状に甘えるわけではなくちゃんとビジョンを持って先を見ているんですね。
その他にも、がんばりどき、休みどきを知っている、言葉より行動で示す、予想もしない出会いや運命を前向きに受け入れる、いいと思ったことを惜しげなく人に教えるなど森さんが今まで接してきた一流の女性たちから学んだことがたくさん綴られています。
今日の私にできることさらに興味深かったのは、女性たちのインタビューを受けて、森さんが「今日の私にできること」も書かれている点。例えば、作家の田辺聖子さんのパートでは「やばい、かわいい、あざっすなど安易に使わない! 」と書いてあり、どれも今、すぐ誰でも実践できるようになっています。
実は、編集者から"有名人のエピソードだけでは、みんな、それは私とは遠すぎると感じる"と言われたのです。確かに、当時の私も絶対に追いつけないよ、という思いでいっぱいでした。
でも、大事なことは、今日から一歩ずつ、できることをやってみることだと思うんです。私自身、そんなにすごい人間でもなんでもないからこそ、一生懸命努力して、インタビュアーという立ち位置に立てる努力をしてきました。そんな自分がやってみて、よかったことをお伝えしようと思ったんです。
ぜひ、今の自分をあきらめないで、一歩でも納得できる自分を目指してください。それが一流の女がやっていることの最大のことなんです。
一流の女性たちの言葉から森さんのフィルターを通して、届けられる言葉はとても親しみがあって、本当にわたしもがんばろう! と思うことばかり。
一流の方たちも生まれつき一流だったわけではありませんし、いつも華やかなシーンばかりではなく、当たり前のように影で努力をしています。その姿は、普段の生活の中で仕事や家事で悩むわたしたちとそう変わらないとも思いました。
頻繁にエステに行くとか、高級料理を食べるとか、そういったことではなく、気持ちの持ちようや振る舞いを美しくするのにはお金も時間もかかりません。
意識を変えれば、いつでも、わたしたちだって、一流になれるはずです。
[一流の女が私だけに教えてくれたこと]
著者:森 綾
価格:1,296円
出版社:マガジンハウス
Beautiful romantic woman via Shutterstock
(松崎桃子)
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