ファッションの都・パリ。

ストリートから、モード界まで、そのファッション文化には常に世界が注目しています。

そんなパリのファッションと女性の歴史をおしゃれでレトロなポスターで振り返ることができる展示がはじまります。

窮屈なコルセットを身につけていた女性たち

フランス・パリで最初の万国博覧会が開かれたのは1889年、今から126年前のことです。同じ年に、パリには電灯が誕生。蒸気、電気といった動力を得て、数々の革新的アイディアが花咲いた時期です。

反面、女性はいまだ窮屈なコルセットに身を包んでいました。

パリの老舗デパート、プランタン・オスマンのアーカイブ・ポスターを見ると、1895年には、びっくりするくらい細く絞られたウエストと、大きく膨らんだジゴ袖のドレスが人気だったことがわかります。

« Archives Historiques du Printemps »

細く絞られたウエストに、膨らんだジゴ(袖)が特徴的なウエディングドレス(右)と付添人(左)のドレス

実は、コルセットを使用しないドレスがオートクーチュールの世界に現れるのは1906年になってからのこと。デザインしたのは、近代ファッション界のピカソと呼ばれるPaul Poiret(ポール・ポワレ)でした。

その後、1920年代には、ファッションもアールデコの影響を受け、直線的でシンプルなデザインが中心となります。

« Archives Historiques du Printemps »

アールデコの時代を感じるまっすぐな線

コルセット時代から30年も経たないうちのこの変わりようです。当時を代表するデザイナーのひとりココ・シャネルのデザインがどれだけ旧スタイルからみて革新的だったのかもわかります。

時代の気分を表すモード

1929年世界大恐慌によって、人々が保守的になってくると、モードの世界にも、女性らしさへの懐古がみられるようになります。

例えば、上述ポール・ポワレは、1933年、自身のコレクションショーを、初めてデパートで行いました。当時のポスターを見ると、直線ラインはそのままながら、身体に吸い付くようなすべらかなラインが長く続くドレスが描かれています。

このように、時代時代の風潮は、モードにもはっきり表れているんですね。

1948年、第二次世界大戦の痛手からようやく立ち直りつつある時期。この春のファッションショーのポスターは、華やかな夜会服。時代の希望が描かれているかのようです。

« Archives Historiques du Printemps »

二度の大戦からようやく立ち直りつつある時期。プランタンでの春のファッションショー。

過去150年のポスター公開

これらのポスター、来月10月9日(金)から20日(火)までパリのど真ん中、パレ・ロワイヤル広場で自由に鑑賞することができます。

展示されるのは、プランタン150年の貴重なアーカイブの中から選ばれた約60枚。服飾歴史家Catherine Örmen(カトリーヌ・オーメン)のコメント入りで、「パリと女性とモードの歴史」を振り返る貴重な機会となりそうです。

加速度をつけて変化する現代社会に生きる私たち。

とかく目の前のことだけで手いっぱいになりがちですが、こういう機会に少し時代を振り返り、女性たちが通ってきた道を見直すのもいいかもしれません。

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