しかし、小学校に上がってしばらくすると2対1の図式になり、私は徐々に仲間はずれのような形になっていきました。
小学生のことですから、やることも直球です。2人で私を見ながら内緒話をして笑ったり、わざと私が知らない話ばかりしたり、私にランドセルを押しつけて2人だけで走って行ってしまったり......。
いま思うと幼いイジメですが、とても悲しく感じたことを覚えています。
女性が3人集まると、2対1になってひとりが仲間外れになりがちという話は、大人になっても聞くことがあります(男性3人組でも男女混合の3人組でも発生しがちな問題ではありますが、ここでは話を単純化するために、オンナ3人問題とします)。
この話を思い出したのは、ある読者のエピソードがきっかけでした。
この方の妹さんは母に愛されて育ち、大人になったいまも毎日のように母と連絡を取り合ったり、定期的に母と顔を合わせたりしているとのこと。
しかし姉であるご本人は母のストレス発散の対象にされていて、妹と正反対の育てられ方をしたという思いがあり、いまだに会えば文句ばかりの母と顔を合わせたくないという思いを抱いているそうです。
調べてみると、母が兄弟姉妹のうちのひとりを搾取の対象とし、ほかの兄弟姉妹ばかり可愛がるというパターンは珍しくないようです。
とくに子供が姉妹で、母を含めたオンナ3人組が家族の中に構成されている場合、誰か1人がスケープゴートにさせられるという例が目立ちます。
もちろん、親として君臨している母がスケープゴートになるはずはありません。母によって姉妹のどちらかが搾取の対象にさせられ、どちらかひとりにだけ存在を否定するような言葉を浴びせ続けるほか、食事や小遣いの差をつけたり、ひとりにばかり家事を押しつけたり、金銭的な余裕があるにも関わらず進学させなかったりといった仕打ちがなされるという悲劇もあります。
まるで、シンデレラのようです。
母の搾取を恐れ、だんまりを決め込む家族では、優遇されたほうの姉妹は、この状況をどう思っているのでしょうか?
自分の姉、あるいは妹が搾取の対象になっていることに気づいて密かに心を痛める人もいれば、気づきながらも母の搾取が自分に及ぶことを恐れて無視をする、あるいは、あえて母のイジメに加担するという人もいます。
父親がいる家族もありますが、父親の影が薄いというのも、このパターンの家族の特徴といえるでしょう。母が姉妹を差別していることに気づいている父親は、そんな家庭環境を嫌い、見て見ぬふりをしがちです。
あるいは、父までもイジメに加担するということもあります。ひとり搾取されている子供は父母のストレスのはけ口となり、小さな心と身体で受け止めながら育っていくしかないのです。
こうした育てられ方をしてきた子供は、母や姉妹に辛かった過去を理解してほしい、そして、一言謝罪してほしいと考えてしまいがちです。でも、家族の関係をオンナ3人組の友情に置き換えて考えてみてください。謝ってほしいという願いは持つだけムダだということがよくわかるはずです。
オンナ3人組の友情がいつしか2対1となり、自分ひとりがのけ者にされたとき、「なんで私を無視するの?」とか「私はとても悲しいんだよ!」などと主張したとしても、ほかの2人に煙たがれ、鼻で笑われるだけですよね。
あるいは、「イジメてなんかいないよ」と開き直られるかもしれません。結局、気持ちをわかってほしいという願いはかなわず、恨みだけが募っていきます。
もっとも良い方法は、その3人組からさっさと離れ、ほかの友情を育むことです。3人組の1人から再び呼び出され、ほかの1人の悪口を聞かされたとしても動じてはいけません。
なぜなら、いつの間にか悪口を言っていたのはあなたということになり、元の2対1の形に収まるだけなのですから。
母親との関係もこれに似ています。母はたまに姉妹の悪口をあなたに告げて、あなたが離れていこうとするのを引き留めようとするかもしれません。
でも、彼女の言葉に一喜一憂して振り回されるのは、搾取の対象であったときと同じです。母に期待をし、今度こそ自分の気持ちを分かってほしいと期待しているうちは、母との健全な距離を取ることができません。
母から解放されたいのなら、「理解してほしい」「謝罪してほしい」といった期待を捨て去ることです。このままでは幼いころの自分が救われない、悔しいと思う人もいるでしょう。でも、期待を捨て去ったその先に、未来は必ず広がっているのです。
#母がつらい を語りましょう「毒親」ーーそんな言われ方をすることもあります。
でも、実際にはそこまでの親ではないれど、ちょっぴり"微毒"な母だからこそ、娘は、いくつになっても苦しみ続けてしまうものです。
そう考えた私は、"いい子"なまま大人になった女性たちに向けて『逃げたい娘 諦めない母』を書きました。「母の善意のアドバイス」に対してどうNOを告げるか、物理的・精神的に適正な距離を取るにはどうしたらよいかを、母との関係に悩む主人公の物語を通じて描いています。
本書の解説を担当してくださったカウンセラーの信田さよ子先生は、「同じような経験をしている仲間を持ち、励ましあうことが大切」と述べています。そこで今回、母と娘の関係に悩む女性たちの声を募集します。
40代の大人になってもなお、母の影響力から逃れられない。母の反対にあうと決断が揺らいでしまう。そんなことはないでしょうか?
母に対して割り切れない思いを、ぜひお寄せください。
SNSで発信する場合ご自身のTwitterかFacebookで「#母がつらい」のハッシュタグをつけて投稿
エピソードをお寄せいただく場合朝倉さんの連載エッセイで紹介するエピソードを募集します。あなたと母親のエピソード、母親への思いを聞かせてください。その際にお名前など個人を特定する情報が掲載されることはありません。
メール件名:母がつらいエピソード
宛先:info_cafeglobe@mediagene.co.jp
image via Shutterstock イラスト/宮田翔
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