中世の街並み、キリスト教文化、地中海料理と街歩きも楽しい小さな島国です。
今回はフィンエアーを利用し、ヘルシンキで乗り継ぎました。10月のフィンランドはすでに肌寒く、空港ではラップランド(フィンランドの北極圏内のエリア)では初雪が降った、なんてニュースを目にしていたものの、マルタの首都ヴァレッタに降り立ってみると、まずはサングラスが必要なほどの強い日差しの歓迎を受けました。マルタはまだまだ夏まっさかり。ビーチにはパラソルが満開です。
アッパー・バラッカ・ガーデンから一望するグランド・ハーバー。これが地中海の青!ヨーロッパでも屈指のリゾート地、というのも納得の気候の良さに、すでに気分はバカンスモード。夏の装いに着替え、ちょっと羽織れるカーディガンをバッグに忍ばせつつ、さっそく外へ出かけましょう。
起伏に富んだヴァレッタの街。左側の店は1894年にオープンした、世界最古のレコード店だそう。どこにでも小さなカフェが地中海クルーズでもおなじみの寄港地で、リゾート感に満ち溢れたマルタ島ですが、実は7000年以上もの歴史ある島。
16世紀にヨハネ騎士団の本拠地がヴァレッタに移されてからは、キリスト教の重要地点として発展、当時建設された中世の街並みが今に残されています。
町全体が世界遺産に認定されており、紀元前から続く良港グランド・ハーバーを一望するアッパー・バラッカ・ガーデン、イタリアの画家カラバッジョの唯一のサイン入り絵画が遺されている聖ヨハネ大聖堂、中世代の重要書物を所蔵する図書館、騎士団長の宮殿など、見どころがたくさん。
キリスト教史上、最重要な建築物のひとつに数えられる聖ヨハネ大聖堂。カラバッジョの絵を探してみようところどころにオープンエアのカフェがあるので、歩き疲れたらお茶でも飲んでほぅっと一息。時折吹き抜ける海風が心地よく、ついつい長居してしまいそうです。
クラシックカーレース「イムディーナ・グランプリ」を観戦さて、もうひとつ、マルタ島でぜひ歩いていただきたいのは、イムディーナ。
島の中央付近にあり、島で最も高い場所に位置しているため、古代にこの地を訪れたフェニキア人も要塞を築いた場所です。かつてはマルタの首都でもあり、貴族の館も多いものの、ヴァレッタに遷都されてからは住む人が減ったため今では"静寂の街"と呼ばれています。
城壁の内側には縦横無尽に石畳の細い路地がめぐらされ、街角にはかわいらしいガラス細工の店やカフェなどが点在。車の通行が禁止されているため、観光客を乗せた馬車がカッポカッポと軽快な足音をたてつつ通り過ぎていき、実にのどかな雰囲気が魅力です。
中世の街を馬車が行き交う。入り組んだ狭い通りが多いのは要塞の街ならではのつくり訪れた10月初旬、このイムディーナではクラシックカーレースの「イムディーナ・グランプリ」が開催されていました。
イムディーナの街の雰囲気に溶け込むクラシックカー。世界各国からクラシックカーが大結集し、街の中央広場にずらりと展示されます。これもレースの一環で、2日目に行われる「デレガンス」と呼ばれるコンテスト。メンテナンスの良さを競うものですが、中世の街並みに、ピカピカに磨き上げられたクラシックカーが映えること! 1930年代製造というかわいらしい車などは、この古都の景色に溶け込んでいて、まるで自分が昔の映画の世界に飛び込んだかのような錯覚さえおこしてしまいます。
ハドック以外は誰でも観戦できる。クラシックカーが全力疾走する様子はなかなかの迫力3日目のレース当日は、かつてマルタ島の主要な交通機関であった通称"マルタバス"もお目見えし、観戦ポイントを無料で巡回しているので、こちらに乗ってみるのもおすすめです。がたごと、のんびりとイムディーナの城壁の外をゆく体験ができるのはこのイベント時だけ。のどかなマルタの生活ぶりもちょっと垣間見ることができるでしょう。
カラフルでレトロなマルタバス。いろいろな色があり、内装も運転手さんによって異なる海辺で地中海料理を堪能たくさん歩いてお腹が空いたら、いよいよお楽しみのお食事の時間です。マルタでいただくのは、なんといっても地中海料理! 薫り高いオリーブオイルや真赤に熟れたトマト、そして獲れたてのシーフードは近年では健康食として注目されていることもあり、なにを食べようか迷ってしまいます。
シーフードをいただくのなら、マルサシュロックの村へ。小さなポートにカラフルなボートがぷかぷか浮かぶ漁村で、海沿いにはたくさんのシーフードレストランが立ち並んでいます。
潮の香りやおだやかにそよぐ風を感じながらいただくほうが、お料理も数段おいしくなりそうです。パスタやピザといったイタリアンが多いのは、やはりシシリアにも近い場所がらでしょう。定番、といってもいいくらい、どこでもペスカトーレ(魚介類とトマトのパスタ)がメニューにありますが、どのお店でもそれぞれ味が違うので、ついついどこでも頼んでしまうのでした。
真赤なトマト、オリーブ、新鮮な魚介類。おいしくないわけがない! この一皿のためにまたマルタに来たいくらい
キンと冷えた白ワインを片手に、まばゆい太陽に目を細める。ゆったりと流れる豊かな時間。ただこの場所に身を置いている、それだけでひしひしと幸福感が押し寄せてくるのです。
取材協力:マルタ観光局 Malta Tourism Authority 、フィンエアー