そんな人と、どうすれば建設的な話し合いができるのか。
この切実な悩みに対し、社外人材によるオンライン1on1を通じて組織改革を進める企業を支援している、エール取締役 篠田真貴子さんは「まずは、ちゃんと聴く」ことが解決の糸口だという。
MASHING UP オンラインセミナー Vol.17のテーマは、「意見の違う相手とどう向き合う? DEI推進と『聴く技術』」。なぜ聴くことが重要で、どう聴けばよいのか。DEIを推進する人たちに、多くの気づきをもたらす時間となった。
多様な「石垣」型組織だから、「聴く」ことが大事
資料提供/エール多様性を力に変えて、組織としてよりよくなっていくことが、DEIのあるべき姿。篠田さんは、旧来の組織を同じ形のコンクリートブロックを積み上げた「ブロック塀」、これから目指す多様な組織を「石垣」にたとえる。
ブロック塀の世界ではあるべき姿が決まっているため、汎用的な規範を「伝える」ことが組織構築のために必要なコミュニケーションだった。対して石垣の世界は、石の大きさや形、色、強度がバラバラ。そうした個性豊かな石を組み合わせて強固な石垣を築くには、まず互いを理解しなければならない。だから「聴く」ことが重視されるようになったのだ。
ブロック塀ならブロック同士のつながり方は一様だが、石垣の場合は、そうはいかない。うまく組み上げていくには工夫しなければならず、このつながり方が組織でいうところの“コミュニケーション”にあたる。
「概念整理がないままに 1on1をやっても、(かつての)『伝える』パラダイムが1対1になっただけで、ミスマッチが起きてしまいます。本来、1on1は “多様性を力に変える” という前提のもとで『聴く』からこそ、有効な方法なのです」(篠田さん)
「伝える」のは、同じ景色を見てから
こうした多様性のある世界を共通認識としたうえで、篠田さんは「聞く」と「聴く」の違いについて、改めて言及する。ポイントは、Judgementが含まれるかどうか。
相手が話しているときに同意したり、異なる意見を言ったりするのは、With Judgement=「聞く」。一方、自分の意見を挟まず、相手の話を引き出していくのが、Without Judgement=「聴く」だ。前者は相手と対面する姿勢、後者は肩を並べて同じ景色を見ようとする様子をイメージすると、その違いはわかりやすい。
時間をかけて話を聴くうちに、最初は何が描かれているのかよくわからなかった絵の解像度が上がり、だんだんモナリザだとわかっていくところを想像してみよう。どんな絵なのかがわかって初めて、「ここをもう少し明るくするのはどうですか?」と自分の見解を表明できる、というわけだ。
「まずはちゃんと話を聴いて、同じ景色を見ること。そうしないと、モナリザの絵だと思っていたものが、実はミロのビーナスで、そもそも絵画ではなく彫刻だった……なんてこともありえます。まず『聴く力』で解像度を上げてから、その後『伝える力』で見解を表明する。この順番が大事なんです」(篠田さん)
セミナーでは、この後も、
- 聴く力は「あり方」が先で、傾聴テクニックなどの「やり方」は後
- 高圧的な人や、関係が近すぎる人との向き合い方
- 聴く力、伝える力を鍛えるトレーニング法
などのトピックスを紹介。
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